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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 Talking about SEX and LIFE その⑥
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まあ、それもあるんだけどね~と佑ニーサンはヘラヘラと笑う。
「仕事柄色んな人と話すことが多いんだけど~そういうの、後悔してる人も結構居るんだよね~」
例えばさ~と佑ニーサンは皿に盛ったナッツを摘みながら続けた。
「40代後半でファイヤーした人が居てね。あ、ファイヤーってのは仕事を辞めても大丈夫なフトコロ状態になってから早期リタイアすることね~」
早期リタイア?会社辞めたって意味か?
「で、仮想通貨だかFXだかはよく知らないんだけどね~独身でそこそこの資産を築き上げたみたいなんだけど───────その人、すっごい後悔してるって言っててさ~」
「後悔?かなりの額の金持ってるんスよね?」
金があって後悔することなんてあるんスか、と怪訝そうな概史に対し、佑ニーサンは大きく頷く。
「幾らお金があったって、一人だともう使うことが無いんだって。美味しい物でも若いときみたいに沢山は食べられないし、体力が衰えて来たら趣味も楽しめなくなるし───────」
そういうモンなのか?
金なんか幾らあっても足らないっていう貧乏状態の俺からしたら信じられない話なんだが。
それに、と佑ニーサンはこう強調した。
「もしも願いが叶うなら全財産投げ打ってもいい、若い頃に戻りたいって。貧乏でも結婚して家庭を持ちたいってさ……いつもその人、そう言ってるんだよねぇ……」
え!?どういうことだよ!?
折角、苦労して資産を築いたのに全財産捨ててもいいって!?
俺と概史がポカンとしていたからか、佑ニーサンがこう追い討ちを掛ける。
「まあ、若い君達には信じられないだろうけどね~。人間、歳を取ったらさ~。今まで当たり前に出来てた事が出来なくなるんだよね~」
ああ、と俺は以前に聞いた言葉を思い出した。
「前に聞いた事があるぜ。歳取ったら肉とか食えなくなるってな。あとはケーキバイキングとかも無理になるって」
ええ!と概史が悲鳴に近い声を上げる。
「マジっスか!今の俺www無限に肉もケーキも食えるけどwwwww」
そうだよな。俺だってそうだ。
でも。
それは期間限定の機能で─────────いずれは失われるっていうんだろうか。
「まあ、幾ら大金を積もうが若さは買えないんだよ~。若い時間は100億、1000億積もうが戻って来ないんだし~」
大富豪が全財産投げ打っても絶対に手に入れられないものを君達は持ってるんだから~という佑ニーサンの言葉に俺は衝撃を受ける。
────────その発想はなかった。
そんなことは考えたこともなかった俺にとって、その言葉は重く心にのしかかる。
「同じくさ~社会的に成功した人、資産を築き上げて中高年になった人が全財産使ったとしても……もう二度と手に入れられないものにさ…『青春』てのがあるんだよねぇ~」
「『青春』?」
思わず俺は反射的に聞き返す。
そうだよ、と佑ニーサンは俺の目を見ながら頷いた。
「『若い頃に同年代の女の子と恋愛してセックスした』って経験は──────────後からどうあがいても取り戻せない事象の一つだからね」
「仕事柄色んな人と話すことが多いんだけど~そういうの、後悔してる人も結構居るんだよね~」
例えばさ~と佑ニーサンは皿に盛ったナッツを摘みながら続けた。
「40代後半でファイヤーした人が居てね。あ、ファイヤーってのは仕事を辞めても大丈夫なフトコロ状態になってから早期リタイアすることね~」
早期リタイア?会社辞めたって意味か?
「で、仮想通貨だかFXだかはよく知らないんだけどね~独身でそこそこの資産を築き上げたみたいなんだけど───────その人、すっごい後悔してるって言っててさ~」
「後悔?かなりの額の金持ってるんスよね?」
金があって後悔することなんてあるんスか、と怪訝そうな概史に対し、佑ニーサンは大きく頷く。
「幾らお金があったって、一人だともう使うことが無いんだって。美味しい物でも若いときみたいに沢山は食べられないし、体力が衰えて来たら趣味も楽しめなくなるし───────」
そういうモンなのか?
金なんか幾らあっても足らないっていう貧乏状態の俺からしたら信じられない話なんだが。
それに、と佑ニーサンはこう強調した。
「もしも願いが叶うなら全財産投げ打ってもいい、若い頃に戻りたいって。貧乏でも結婚して家庭を持ちたいってさ……いつもその人、そう言ってるんだよねぇ……」
え!?どういうことだよ!?
折角、苦労して資産を築いたのに全財産捨ててもいいって!?
俺と概史がポカンとしていたからか、佑ニーサンがこう追い討ちを掛ける。
「まあ、若い君達には信じられないだろうけどね~。人間、歳を取ったらさ~。今まで当たり前に出来てた事が出来なくなるんだよね~」
ああ、と俺は以前に聞いた言葉を思い出した。
「前に聞いた事があるぜ。歳取ったら肉とか食えなくなるってな。あとはケーキバイキングとかも無理になるって」
ええ!と概史が悲鳴に近い声を上げる。
「マジっスか!今の俺www無限に肉もケーキも食えるけどwwwww」
そうだよな。俺だってそうだ。
でも。
それは期間限定の機能で─────────いずれは失われるっていうんだろうか。
「まあ、幾ら大金を積もうが若さは買えないんだよ~。若い時間は100億、1000億積もうが戻って来ないんだし~」
大富豪が全財産投げ打っても絶対に手に入れられないものを君達は持ってるんだから~という佑ニーサンの言葉に俺は衝撃を受ける。
────────その発想はなかった。
そんなことは考えたこともなかった俺にとって、その言葉は重く心にのしかかる。
「同じくさ~社会的に成功した人、資産を築き上げて中高年になった人が全財産使ったとしても……もう二度と手に入れられないものにさ…『青春』てのがあるんだよねぇ~」
「『青春』?」
思わず俺は反射的に聞き返す。
そうだよ、と佑ニーサンは俺の目を見ながら頷いた。
「『若い頃に同年代の女の子と恋愛してセックスした』って経験は──────────後からどうあがいても取り戻せない事象の一つだからね」
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