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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 Talking about SEX and LIFE その③
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まあ、話がちょっと逸れちゃったけどさ~と佑ニーサンはボトルからグラスに酒を注ぐ。
ビシャビシャと飛沫がテーブルに飛び散る。
てか、コレって高い酒じゃねぇのか?
ここの店って採算取れてるんだろうか?
佑ニーサンの酒代だけで店が傾きそうだ。
ぼんやりと俺がそんなことを考えていると───────二人の間で話はどんどんと進行して行っていたようで。
「つまりさ~。優秀な人材だとか、何か確固たる信念や目標があるって子なら都会に出てっても上手く行くとは思うんだよ~?」
けどね、と佑ニーサンはグラスの酒を煽った。
「特に目標もなくてただなんとなく、とか~都会に行けば自分も何者かになれるかも?みたいな子はさ~。地元に残ってた方がいいパターンもあると思うんだよね~」
ふむ。
「……都会だと余計な誘惑が多くて学業に専念出来なかったり……目標を見失ったりしかねないってことっスか?」
概史がやや真剣な面持ちで話を纏めようとしている。
そうか。
佑ニーサンは泥酔してっからな。
どうにか話の要点を整理して上手く着地させねぇと話がとっ散らかってしょうがないんだろう。
「つまりさ。佑ニーサンが言いたいのは────────『都会の生活こそが至高』とか『起業して成功!』みたいな幻想に惑わされずにコツコツ真面目に地元で働いて家庭を築いてる鈴木先輩の生き方が最強、ってコトなのか?」
俺はさっきの話からなんとなく推測した結論を言ってみた。
ヤンキー最強説とか言ってたもんな?
こういう方向性の話じゃないかって気がするんだが───────
うーん、と佑ニーサンは首を捻る。
「そうだったかも~?あれ、なんか、何言おうとしたか忘れちゃった~」
おいおい。
佑ニーサンて普段からこんな調子だからな。
こうなったらもう何を言いたかったのか、とか俺らにはわからねぇよ。
あwじゃあこういうことじゃないスかwwと概史が手を挙げる。
授業中の発表じゃねぇんだぞ。
なんだそのテンションは。
概史がおもむろに立ち上がり、仰々しく口を開いた。
「つまりwww佑ニーサンが言いたかったのはww麻雀で言うところの『早くて安い手で上がれ』ってコトじゃないスかwwwスピード重視って言うかwww」
ん?どういうことだ?
俺は概史の次の言葉を待った。
「『高くても重くて遅い手』ってのは上がれなきゃ結局意味なくてwwwいい手を抱えたまま流局するくらいだったらwww早い段階で切り替えて上がる方向で行った方がいいってwwwそう言いたかったんスよねwww?」
……なるほどな。
なんとなく話が見えて来た気がしたぞ。
つまり、人生ってのは麻雀みたいなモンでさ。
上がれなきゃ流局しちまう。
けど、麻雀と違うのはやり直しがきかねぇってトコでさ。流れちまったらもうそれで最後なんだよ。
巻き返すとかが出来ねぇんだ。
高めの役を狙って上がれずに流局するくらいだったら安くても早い役で上がった方がいいって─────そういう意図の話なんだろうか?
『配られたカードで勝負するしかない』的な名言ってあるだろ?よく耳にするよな。
人生もそれと同じってことで────────────
配牌の時点で────────つまり実家が太いとか、本人の頭が相当いいとか、何かの才能があるとか。
そういう奴は思い切って高めの役を狙って行くべきなんだろう。チャンスを生かさない手はないもんな。
だけど。
生まれ持って家が貧乏とか、ウチみたいに親が居ないだとか。特別な才能も無いし追いかける夢も無い平凡な人間、或いはそれ以下の場合はさ。
つまりだ。手牌がバラバラでどうしようもない奴はもう、スピードや勢いだけでとにかく上がるしかねぇんだ。
そう言いたいんだろうか?
なるほど、概史にしては上手く纏めたじゃねぇか。
概史の上手い例え方に俺は少し感心した。 確かに今までの話が要約されている気がする。
「まあww鈴木先輩の場合はww早くて安い役なんてモンじゃないでしょwww開幕からいきなり上がってるようなモンじゃないスかwwwマジで “天和(テンホー)”っスよwww」(※1)
チート過ぎるwwwとゲラゲラ笑う概史に対し、鈴木先輩がやれやれと言った風に首を振った。
「さっきから聞きょうたらなんじゃ。ワシのことを買い被り過ぎじゃろ」
そぎゃあなモンじゃない、と謙遜する鈴木先輩に対し、概史はまたしても煽ってくる。
「またまたぁwwwあんな超絶美少女の奥さん射止めてwwwベルファイヤ乗ってて住宅ローンに通ってwww年収500万とかwww」
無敵すぎるじゃないスかwwwマジでチートwwwと概史が囃し立てる。
「佑ニーサンが言いたかったのってこういうことっスよね?www」
概史のその言葉に対し、佑ニーサンはゆっくりと首を振った。
「ん~。結局、僕が言いたかったのは一言で言うと~」
次の言葉を聞いた俺は自分の耳を疑った。
「『若いうちにどんどんセックスしとけ』ってことだよ~」
ビシャビシャと飛沫がテーブルに飛び散る。
てか、コレって高い酒じゃねぇのか?
ここの店って採算取れてるんだろうか?
佑ニーサンの酒代だけで店が傾きそうだ。
ぼんやりと俺がそんなことを考えていると───────二人の間で話はどんどんと進行して行っていたようで。
「つまりさ~。優秀な人材だとか、何か確固たる信念や目標があるって子なら都会に出てっても上手く行くとは思うんだよ~?」
けどね、と佑ニーサンはグラスの酒を煽った。
「特に目標もなくてただなんとなく、とか~都会に行けば自分も何者かになれるかも?みたいな子はさ~。地元に残ってた方がいいパターンもあると思うんだよね~」
ふむ。
「……都会だと余計な誘惑が多くて学業に専念出来なかったり……目標を見失ったりしかねないってことっスか?」
概史がやや真剣な面持ちで話を纏めようとしている。
そうか。
佑ニーサンは泥酔してっからな。
どうにか話の要点を整理して上手く着地させねぇと話がとっ散らかってしょうがないんだろう。
「つまりさ。佑ニーサンが言いたいのは────────『都会の生活こそが至高』とか『起業して成功!』みたいな幻想に惑わされずにコツコツ真面目に地元で働いて家庭を築いてる鈴木先輩の生き方が最強、ってコトなのか?」
俺はさっきの話からなんとなく推測した結論を言ってみた。
ヤンキー最強説とか言ってたもんな?
こういう方向性の話じゃないかって気がするんだが───────
うーん、と佑ニーサンは首を捻る。
「そうだったかも~?あれ、なんか、何言おうとしたか忘れちゃった~」
おいおい。
佑ニーサンて普段からこんな調子だからな。
こうなったらもう何を言いたかったのか、とか俺らにはわからねぇよ。
あwじゃあこういうことじゃないスかwwと概史が手を挙げる。
授業中の発表じゃねぇんだぞ。
なんだそのテンションは。
概史がおもむろに立ち上がり、仰々しく口を開いた。
「つまりwww佑ニーサンが言いたかったのはww麻雀で言うところの『早くて安い手で上がれ』ってコトじゃないスかwwwスピード重視って言うかwww」
ん?どういうことだ?
俺は概史の次の言葉を待った。
「『高くても重くて遅い手』ってのは上がれなきゃ結局意味なくてwwwいい手を抱えたまま流局するくらいだったらwww早い段階で切り替えて上がる方向で行った方がいいってwwwそう言いたかったんスよねwww?」
……なるほどな。
なんとなく話が見えて来た気がしたぞ。
つまり、人生ってのは麻雀みたいなモンでさ。
上がれなきゃ流局しちまう。
けど、麻雀と違うのはやり直しがきかねぇってトコでさ。流れちまったらもうそれで最後なんだよ。
巻き返すとかが出来ねぇんだ。
高めの役を狙って上がれずに流局するくらいだったら安くても早い役で上がった方がいいって─────そういう意図の話なんだろうか?
『配られたカードで勝負するしかない』的な名言ってあるだろ?よく耳にするよな。
人生もそれと同じってことで────────────
配牌の時点で────────つまり実家が太いとか、本人の頭が相当いいとか、何かの才能があるとか。
そういう奴は思い切って高めの役を狙って行くべきなんだろう。チャンスを生かさない手はないもんな。
だけど。
生まれ持って家が貧乏とか、ウチみたいに親が居ないだとか。特別な才能も無いし追いかける夢も無い平凡な人間、或いはそれ以下の場合はさ。
つまりだ。手牌がバラバラでどうしようもない奴はもう、スピードや勢いだけでとにかく上がるしかねぇんだ。
そう言いたいんだろうか?
なるほど、概史にしては上手く纏めたじゃねぇか。
概史の上手い例え方に俺は少し感心した。 確かに今までの話が要約されている気がする。
「まあww鈴木先輩の場合はww早くて安い役なんてモンじゃないでしょwww開幕からいきなり上がってるようなモンじゃないスかwwwマジで “天和(テンホー)”っスよwww」(※1)
チート過ぎるwwwとゲラゲラ笑う概史に対し、鈴木先輩がやれやれと言った風に首を振った。
「さっきから聞きょうたらなんじゃ。ワシのことを買い被り過ぎじゃろ」
そぎゃあなモンじゃない、と謙遜する鈴木先輩に対し、概史はまたしても煽ってくる。
「またまたぁwwwあんな超絶美少女の奥さん射止めてwwwベルファイヤ乗ってて住宅ローンに通ってwww年収500万とかwww」
無敵すぎるじゃないスかwwwマジでチートwwwと概史が囃し立てる。
「佑ニーサンが言いたかったのってこういうことっスよね?www」
概史のその言葉に対し、佑ニーサンはゆっくりと首を振った。
「ん~。結局、僕が言いたかったのは一言で言うと~」
次の言葉を聞いた俺は自分の耳を疑った。
「『若いうちにどんどんセックスしとけ』ってことだよ~」
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