[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep9

ep9『夢千夜』 “偽りの花嫁” 第五夜

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翌日。

早起きした俺は佑ニーサンの運転する車に乗り込んだ。

助手席には既に由江さんが座っている。

めかし込んだ由江さんは上機嫌なように見受けられた。

「なんか早くね?」

時計の針は8時過ぎを指している。

「ん~?開始は9時からみたいだし~?」

このくらいの時間で丁度いいんじゃないの~?という佑ニーサンの間延びした声が車内に響く。

俺を拾った車は市内中心部の駅裏に向かって走り出した。

俺らの住んでる市内のすみっこ、郊外エリアからだと3~40分は掛かるからな。

確かに、この時間からの出発で丁度いいのかもしれない。

結婚情報誌を広げた由江さんは俺に向かって微笑みかけた。

「……それにしても。佐藤君、今日はありがとうね」

「え!?なんで由江さんが礼なんか言うんだよ?」

礼を言いたいのはこっちなんだけど、と俺が言うと由江さんはふふ、と笑った。

「ユウったらね、私が何度誘ってものらりくらりと逃げちゃって────────結婚式場の見学になかなか行けなかったのよ」

いい機会になったわ、という由江さんとは対照的に、佑ニーサンの顔は気のせいか青い。

二人の関係ってどんな感じなんだろうか。

ガキの俺には何もわからないが───────とりあえず佑ニーサンが悪かったんだろう。

「ねぇ、見て。『エリア最大級の大聖堂!圧巻のヴァージンロード』ですって!楽しみね」

由江さんが俺に結婚情報誌を俺に見せてくる。

とんでもない高さの天井とファンタジー世界みたいな光景の写真が掲載されていた。

敷地にはプールもあるし、キラキラしたこの式場に女性が憧れるというのもなんとなく頷けるが───────────

「けど、まあ……俺からしたら『ミシュランで星を獲得したシェフによるフルコース試食』の方がメインて感じなんだけどさ」

しかし本当にこんな豪勢なフルコースをタダで食っていいのだろうか。

「あ、そうそう。佐藤君はわたしの弟って設定にしておいたからね」

俺の不安を見透かしたように由江さんがそう言った。

「弟?」

俺が聞き返すと由江さんが頷く。

「弟ってのは普通はあまりないパターンなんでしょうけど──────新郎新婦の両親が見学会に同伴するケースも多いらしいわ」

今回は両親を亡くして姉のわたしが一人で弟を育ててる的な設定にしとくわね、とさりげなく言い放つ由江さんに多少ビビる。

しかし。

結婚式ってのは一体どういう概念なんだろうか。

見学会の参加者は無料で─────────でも挙げるとなると総額は数百万するイベント。

世の中の大人ってみんなこういうことすんのか?

小泉は確か、このエリアでも3~400万はザラだって言ってたよな?

そんな巨額の費用を投じてまでやるもんなのか!?

よく考えたらめっちゃ怖いよな。

佑ニーサンが結婚式場の見学に誘われても逃げ回ってたってのも、さっきから顔が真っ青になってんのもなんとなく解る気もした。

例えばさ、3~400万で車とか買うのだったらわかるぜ?マイホームの頭金とかさ。

けど、結婚式って大規模なパーティー的な感じだろ?

たった1日で3~400万使うのってめっちゃ意味わかんねぇんだけど。

俺が悶々としていると、由江さんがまた笑った。

「……『解せない』って顔をしてるわね。佐藤君」

ええ、まあ、と俺は適当に返事をする。

「女の子はね、みんなそうなのよ」

由江さんは俺の目を見ながらこう言った。











「子どもの頃からずっと夢見てるの。自分が物語の主役になれる────────ウェディングドレスを着てお姫様になれる日を」
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