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ep9
ep9『夢千夜』 “偽りの花嫁” 第六夜
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それって女はみんなそうなんだろうか?
小泉もか?
まあ、小泉の場合はコスプレ的な側面が強いからわかんねぇよなあ。
普段から巫女服やメイド服着てるからあんま変わらんだろ。
俺がぼんやりとそんなことを考えていると────────車は結婚式場に着いた。
「ちょっと車停めてくるから~二人は先に行っててよ~」
佑ニーサンは一旦俺たち二人を下ろし、式場裏の専用駐車場に向かった。
「じゃあ、先に行ってるか」
俺がそう言うと、由江さんは俺の手を引っ張った。
「ちょっと待って」
この格好じゃちょっとね、と言いながら由江さんは俺の服装をマジマジと見る。
「え?なんかマズい?」
式場に着ていく服がわからん、って聞いたらさ、『いつもの制服でいーよ~?」って佑ニーサンが言うからその通りにしたんだが。
「まず、ボタンをキチンと留めないと」
由江さんは俺の学ランのボタンを上から全部留めていく。
「えっ……」
それから……そうね、と言いながら再び由江さんは俺の姿をじっと見つめた。
「髪型、もうちょっとどうにかならないかしら?」
由江さんはそう言いながら鞄からブラシを取り出した。
セットした髪をわしゃわしゃと崩される。なんか恥ずかしい。
「……ほら。髪をこうやって下ろしたら────────普通の学生に見えるわよ」
ブラシで髪を整えられ、手鏡でそれを見せられる。
「えー?!」
そこには、普通に髪を下ろされた俺の姿が映っていた。
制服もボタンをキチンと留められたせいでなんか真面目な優等生みたいだ。
「見学とはいえ、他の参加者もいるでしょうし───────こういうのはちゃんとしとかないとね」
そう言って由江さんは笑う。
ちょっとドキリとした。
こんなナリはあんまり好きじゃないが──────まあ、“郷に入っては郷に従え”って言うしな。
そこのエリアのドレスコードに合わせなきゃなんねぇだろう。
車を停め終えた佑ニーサンと合流し、俺たちは式場の敷地内に足を踏み入れた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その光景を目の当たりにした俺は絶句した。
画像で見たのとは違う圧倒的で荘厳な雰囲気。
壁の向こう側は異世界だった。
マジで異世界。え?俺っていつの間に異世界転生しちゃった?
そんな気分だ。
3000坪の敷地って聞いてもピンと来なかったが、滅茶苦茶スケールがデカい。
サクラダファミリアのような大聖堂は築20年くらいと聞いていたが──────────それが逆にアンティーク感を醸し出している。
風化した外壁がヨーロッパにある本物の由緒正しい城みたいになっていて、リアルなエイジング加工って感じになっていた。
正面の噴水も異国感が出ている。
正面玄関の前には映画の世界から抜け出して来たようなヴィンテージ風の車が横付けされていた。
守衛のようなボーイがドアの前にスタンバイしている。え、こんな光景現実にあるんだ。マジで城じゃん。
まるで別世界みたいな場所に──────────────俺のテンションはMAXになった。
小泉もか?
まあ、小泉の場合はコスプレ的な側面が強いからわかんねぇよなあ。
普段から巫女服やメイド服着てるからあんま変わらんだろ。
俺がぼんやりとそんなことを考えていると────────車は結婚式場に着いた。
「ちょっと車停めてくるから~二人は先に行っててよ~」
佑ニーサンは一旦俺たち二人を下ろし、式場裏の専用駐車場に向かった。
「じゃあ、先に行ってるか」
俺がそう言うと、由江さんは俺の手を引っ張った。
「ちょっと待って」
この格好じゃちょっとね、と言いながら由江さんは俺の服装をマジマジと見る。
「え?なんかマズい?」
式場に着ていく服がわからん、って聞いたらさ、『いつもの制服でいーよ~?」って佑ニーサンが言うからその通りにしたんだが。
「まず、ボタンをキチンと留めないと」
由江さんは俺の学ランのボタンを上から全部留めていく。
「えっ……」
それから……そうね、と言いながら再び由江さんは俺の姿をじっと見つめた。
「髪型、もうちょっとどうにかならないかしら?」
由江さんはそう言いながら鞄からブラシを取り出した。
セットした髪をわしゃわしゃと崩される。なんか恥ずかしい。
「……ほら。髪をこうやって下ろしたら────────普通の学生に見えるわよ」
ブラシで髪を整えられ、手鏡でそれを見せられる。
「えー?!」
そこには、普通に髪を下ろされた俺の姿が映っていた。
制服もボタンをキチンと留められたせいでなんか真面目な優等生みたいだ。
「見学とはいえ、他の参加者もいるでしょうし───────こういうのはちゃんとしとかないとね」
そう言って由江さんは笑う。
ちょっとドキリとした。
こんなナリはあんまり好きじゃないが──────まあ、“郷に入っては郷に従え”って言うしな。
そこのエリアのドレスコードに合わせなきゃなんねぇだろう。
車を停め終えた佑ニーサンと合流し、俺たちは式場の敷地内に足を踏み入れた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その光景を目の当たりにした俺は絶句した。
画像で見たのとは違う圧倒的で荘厳な雰囲気。
壁の向こう側は異世界だった。
マジで異世界。え?俺っていつの間に異世界転生しちゃった?
そんな気分だ。
3000坪の敷地って聞いてもピンと来なかったが、滅茶苦茶スケールがデカい。
サクラダファミリアのような大聖堂は築20年くらいと聞いていたが──────────それが逆にアンティーク感を醸し出している。
風化した外壁がヨーロッパにある本物の由緒正しい城みたいになっていて、リアルなエイジング加工って感じになっていた。
正面の噴水も異国感が出ている。
正面玄関の前には映画の世界から抜け出して来たようなヴィンテージ風の車が横付けされていた。
守衛のようなボーイがドアの前にスタンバイしている。え、こんな光景現実にあるんだ。マジで城じゃん。
まるで別世界みたいな場所に──────────────俺のテンションはMAXになった。
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