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ep8
ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 合法的な諜報活動
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「……これだけは勘違いしないで欲しいんだけど」
佐々木はそう言いながら封筒から小さなプラスチックの板も出した。
アクリルスタンドっていうヤツなんだろうか?
カードとアクリルスタンド。
それらが封筒の中に入れられていたのか。何か意味があるんだろうか?
佐々木はお姫様のキャラクターを机の上に立たせた。
「わたしは違法な事は何もしてないわ。あくまでも偶然─────────向こうからの雑談にヒントがあっただけのことで」
「へ?何の話だ?」
訳がわからない俺はもう一度佐々木に聞き返す。
「このアカウントに対しては[グッズ譲渡]の書き込みを見てDMしたのよ。ほら、水森さんがアリア推しでしょう?」
別件で彼女に協力して貰ったこともあったし────────お礼も兼ねてプレゼントしようと思ったのよ、と佐々木は指先でアクリルスタンドに触れた。
ふむ。なるほど?
「こういうSNSでのグッズ譲渡にはいくつかのやり方があるのだけど……今回は相手の銀行口座に代金を振り込んで、グッズを郵送して貰うっていうオーソドックスな方法を取ったの」
うむ、と小泉がすかさず頷いた。
「SNSでのグッズ譲渡や交換においては最もメジャーな方法とも言えるな」
「え?じゃあその時の口座の名義から怜斗なる人物の本名を知ったってことか?」
俺が確認すると佐々木はこう答える。
「まあ……そのやり方だとこちらも本名と住所をオープンにする必要もあるんだけどね」
だけど、と佐々木は続けた。
それが今回、一條刻夜に繋がる重大なヒントに結びついたの、と佐々木は封筒の宛名を指し示した。
「え?向こうの住所じゃなくて?佐々木の方の住所にヒントが?」
俺がそう尋ねると佐々木はスマホを開き、メッセージの画面を表示させた。
[こんにちは。お世話になっています。本日無事にお品物を受け取りました。友人へのプレゼントとして探していたので助かりました⸜(*˙꒳˙*)⸝また機会がありましたらどうぞ宜しくお願いいたします]
これは佐々木からのメッセージだろうか。普通の文面にも思えるが。
[商品が無事に届いてよかったです。アクスタは郵送中に割れたことが過去にあったので心配してました(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)無事で本当に一安心です☆ところで、なな@雑多垢さんは⬛︎⬛︎市にお住まいなんですね~!当方も高校卒業までそちらに住んでたことがあるので懐かしいなって思っちゃいました☆また機会があったらお気軽にお声がけくださいね(๑>◡<๑)この度はお取引ありがとうございました!!]
目がチカチカする内容だが───────つまり、怜斗という人物は以前にこのエリアに住んでた?
てか、佐々木の奴『なな@雑多垢』ってアカウント名で調査してんのか?
「まあ、簡単に言うと──────今回わたしが手に入れたのはこの怜斗って人の本名、それから以前にこっちに住んでたって情報だけなのだけれど……過去の投稿にも重大なヒントがあったことに気付いたの」
佐々木はそう言いながらSNSの画面をクリックし、ある画像を表示させた。
ラケットを持ち、テニスのユニフォームを着た一條刻夜と怜斗の写真。
日付はやっぱり二年ほど前だ。
「え!?コイツらテニスやってんの!?そんな風に見えなかったけど!?」
俺がそう反応するとすかさず小泉が口を開く。
「……それは違うぞ、佐藤。これもれっきとしたコスプレなんだ」
「ハァ!?」
その画像をよく見ると────────────一條も怜斗も茶髪や金髪のウィッグを被っているのに気付く。
「某テニス漫画のコスプレだな。この二人は特に人気の高いキャラクターなんだ」
小泉がしたり顔で解説を入れてくる。
「へぇ。なんか女子にもてそうなキャラだなあ?」
「──────そうね。でも問題はそこじゃないわ。二人の会話にあるの」
佐々木はマウスで画面をスクロールさせていく。
画面には二人のコメントのような書き込みが表示されている。
[久しぶりのテニヌ合わせ☆]
[二人とも中学の時はテニス部で万年補欠だったよね(ワラ)]
……!?
「え?二人とも同じ部活だったって意味か!?」
そうね、と言いながら佐々木は別のブラウザを開き、検索サイトに幾つかのキーワードを打ち込む。
「怜斗っていう人の本名と中学テニス部の県大会予選や市の大会の近辺を探して出てきたのがこれよ」
佐々木がエンターキーを押し、表示された画像を見た俺は思わず身構えた。
『⬛︎⬛︎市 わくわくスポーツだより』と銘打たれた保護者向け広報誌のWEB版。
そこにあったのは───────市内中学テニス部の交流戦の様子を報じた記事だった。
「─────────それでこの……一條刻夜の本名に辿り着いたって訳なのかよ!?」
佐々木はそう言いながら封筒から小さなプラスチックの板も出した。
アクリルスタンドっていうヤツなんだろうか?
カードとアクリルスタンド。
それらが封筒の中に入れられていたのか。何か意味があるんだろうか?
佐々木はお姫様のキャラクターを机の上に立たせた。
「わたしは違法な事は何もしてないわ。あくまでも偶然─────────向こうからの雑談にヒントがあっただけのことで」
「へ?何の話だ?」
訳がわからない俺はもう一度佐々木に聞き返す。
「このアカウントに対しては[グッズ譲渡]の書き込みを見てDMしたのよ。ほら、水森さんがアリア推しでしょう?」
別件で彼女に協力して貰ったこともあったし────────お礼も兼ねてプレゼントしようと思ったのよ、と佐々木は指先でアクリルスタンドに触れた。
ふむ。なるほど?
「こういうSNSでのグッズ譲渡にはいくつかのやり方があるのだけど……今回は相手の銀行口座に代金を振り込んで、グッズを郵送して貰うっていうオーソドックスな方法を取ったの」
うむ、と小泉がすかさず頷いた。
「SNSでのグッズ譲渡や交換においては最もメジャーな方法とも言えるな」
「え?じゃあその時の口座の名義から怜斗なる人物の本名を知ったってことか?」
俺が確認すると佐々木はこう答える。
「まあ……そのやり方だとこちらも本名と住所をオープンにする必要もあるんだけどね」
だけど、と佐々木は続けた。
それが今回、一條刻夜に繋がる重大なヒントに結びついたの、と佐々木は封筒の宛名を指し示した。
「え?向こうの住所じゃなくて?佐々木の方の住所にヒントが?」
俺がそう尋ねると佐々木はスマホを開き、メッセージの画面を表示させた。
[こんにちは。お世話になっています。本日無事にお品物を受け取りました。友人へのプレゼントとして探していたので助かりました⸜(*˙꒳˙*)⸝また機会がありましたらどうぞ宜しくお願いいたします]
これは佐々木からのメッセージだろうか。普通の文面にも思えるが。
[商品が無事に届いてよかったです。アクスタは郵送中に割れたことが過去にあったので心配してました(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)無事で本当に一安心です☆ところで、なな@雑多垢さんは⬛︎⬛︎市にお住まいなんですね~!当方も高校卒業までそちらに住んでたことがあるので懐かしいなって思っちゃいました☆また機会があったらお気軽にお声がけくださいね(๑>◡<๑)この度はお取引ありがとうございました!!]
目がチカチカする内容だが───────つまり、怜斗という人物は以前にこのエリアに住んでた?
てか、佐々木の奴『なな@雑多垢』ってアカウント名で調査してんのか?
「まあ、簡単に言うと──────今回わたしが手に入れたのはこの怜斗って人の本名、それから以前にこっちに住んでたって情報だけなのだけれど……過去の投稿にも重大なヒントがあったことに気付いたの」
佐々木はそう言いながらSNSの画面をクリックし、ある画像を表示させた。
ラケットを持ち、テニスのユニフォームを着た一條刻夜と怜斗の写真。
日付はやっぱり二年ほど前だ。
「え!?コイツらテニスやってんの!?そんな風に見えなかったけど!?」
俺がそう反応するとすかさず小泉が口を開く。
「……それは違うぞ、佐藤。これもれっきとしたコスプレなんだ」
「ハァ!?」
その画像をよく見ると────────────一條も怜斗も茶髪や金髪のウィッグを被っているのに気付く。
「某テニス漫画のコスプレだな。この二人は特に人気の高いキャラクターなんだ」
小泉がしたり顔で解説を入れてくる。
「へぇ。なんか女子にもてそうなキャラだなあ?」
「──────そうね。でも問題はそこじゃないわ。二人の会話にあるの」
佐々木はマウスで画面をスクロールさせていく。
画面には二人のコメントのような書き込みが表示されている。
[久しぶりのテニヌ合わせ☆]
[二人とも中学の時はテニス部で万年補欠だったよね(ワラ)]
……!?
「え?二人とも同じ部活だったって意味か!?」
そうね、と言いながら佐々木は別のブラウザを開き、検索サイトに幾つかのキーワードを打ち込む。
「怜斗っていう人の本名と中学テニス部の県大会予選や市の大会の近辺を探して出てきたのがこれよ」
佐々木がエンターキーを押し、表示された画像を見た俺は思わず身構えた。
『⬛︎⬛︎市 わくわくスポーツだより』と銘打たれた保護者向け広報誌のWEB版。
そこにあったのは───────市内中学テニス部の交流戦の様子を報じた記事だった。
「─────────それでこの……一條刻夜の本名に辿り着いたって訳なのかよ!?」
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