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ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 キラキラ呪詛

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「そうだな……方向性で言えば“オカルト”に近いようなニュアンスで語られる場面もあるだろうが──────」

小泉の言葉は俺にはよくわからない。

「だってさ、占星術?古代文明?癒し?……なんかそれっぽいよな。魔法みたいな系統じゃないのか?」

俺がそう言うと藤川さんが助け船を出すかのようにこう続けた。

「そうね。佐藤くんが魔法っぽいって思うのも無理はないわね──────私の感覚で言えば“キラキラしたオカルト”って感じに近いかしら」

おお、そうだな、と小泉がポンと手のひらを叩く。

「”キラキラとしたオカルト“とは言い得て妙だな。確かにしっくりくる。キラキラした呪いとも捉えていいかもしれんな」

今の時代、ただでさえこの世界やネット上にはキラキラした呪詛が溢れているとも言える、と小泉は少し考え込むような素振りを見せた。

なるほど。キラキラしたオカルトか。それならわかりすいしキャッチーだな。

「じゃあやっぱり魔法のジェネリック版みたいな感じなのか?それでどんな効果が得られるんだ?」

俺がそう尋ねると藤川さんが困ったような表情を浮かべた。

「まあ一般的には……『意中の相手と上手くいく』とか『金運が良くなる』とか『キレイになれる』みたいな謳い文句が多いのかしらね?」

「そうなのか?じゃあ便利じゃねぇか」

そう頷いた俺はふと、何か引っ掛かるものを感じた。

ん?さっきの文言────────つい最近どっかで目にしたな?どこでだろう?

「それってさ……”“ってヤツと似た感じなのか?女子に人気なんだろ?」

俺がそう尋ねると小泉は頷いた。

「ん?対象年齢と動く金額に違いはあるだろうが、まあ似たようなものと思っていていいだろう。そもそもお前には縁のないジャンルだからな」

小泉のその答えに、俺はなんとなく胸がザワつくのを感じた。

“と”“。

それらは別なような物であって実は似たジャンルなのか?

俺には”おしるこ“と”ぜんざい“の区別がつかないのと同じでさ。専門家からしたら『違う』ってモンでも素人や興味ない人間からしたら同じように見えるものってあるじゃん?それと一緒って事か?

だけど。

その”スピリチュアル“とやらが女子の間で流行ってるって事は────────何か良くない兆候なんだろうか?

俺が黙ってしばらく考えこんでいたからか、藤川さんが俺の顔を覗き込む。

「どうかした?佐藤くん」

あ、いや、と俺は適当に首を振った。

「確かに男の俺にはピンと来ない話だなって──────ところで、二人共その”おまじない“や”スピリチュアル“ってのにハマったりした事はあったりすんの?」

俺がそう尋ねると藤川さんはふふ、と笑った。

「やった事あるわよ。”おまじない“。小学生の頃かな。好きな子と両思いになれるってヤツだったんだけどね」

「意外だな。藤川はそういうのに興味無さそうだと思ってたんだが──────」

小泉が意外そうに藤川さんの顔を見た。

「新品の消しゴムに好きな人の名前を書いてね、誰にも見つからずに使い切ったら両思いになれるっておまじないなの。クラス内で流行ってたなあ」

なるほど。そういう感じなのか。藤川さんて見かけによらず可愛いトコがあるんだな。

「それってどうなったんですかw?その男子と両思いにはなれましたw?」

ふざけ半分で俺がそう尋ねると────────藤川さんは俯いた。





「その子ね……私が中二の時に亡くなったの」








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