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ep7.5
ep7.5『夢千夜』 “PTA vs RTA SEX” 第二夜
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教室内に咆哮が響き渡る。
声にならない獣のような悲痛な叫びは宮田のものだった。
床に透明な水溜りが広がる。
唸り声を上げ、全身を震わせた宮田は失禁していた。
理科室は水を打ったように静まり返っている。
女子の啜り泣く声が僅かに響く。
誰も宮田にも田所にも誰も近付けず、その場に居る全員がただ呆然とするしかなかった。
年配の女性教諭は真っ青な顔で腰を抜かしている。
立つことすらままならない様子だった。
この教室内の誰もが金縛りに遭ったように身動きひとつ取れずにいた。
田所は死ぬかもしれない。
だとしたら。
そう思った俺は混乱に乗じて気配を断ち、廊下にするりと抜け出した。
それから全速力で美術室に向かって走った。
理科室は校舎の一階の一番端に位置している。
授業中の他のクラスはシンと静まりかえっていた。
俺達のクラスで起こったことはまだ外部には漏れていない。
俺は二階への階段を駆け上がると美術室の扉を全力で開けた。
中は空だった。
誰もいない。
六時間目に美術の授業があるクラスは無かったらしい。
直ぐに隣の美術準備室へ向かう。
勢いよく扉を開けるとそこでは小泉が机でプリントを整理する作業をしている最中だった。
「……佐藤か。なんだ、授業中だろう?」
急いで走って来て何かあったのか、と小泉は怪訝そうに俺を見る。
「……大変だ……センセェ」
全速力で走ったからか、呼吸が乱れて上手く喋れない。
……田所が……ナイフで刺された、と俺が告げると小泉は動きを止めた。
「……は?」
俺の言った事が飲み込めてないんだろう。
「……宮田が田所を刺したんだ。ついさっきのことで」
俺もどう説明していいかわからない。
こっちだって状況がよく理解できてないんだ。
どうしてこうなったのか。
前から田所は宮田への弄りが酷かったけど─────堪忍袋の尾が切れたというか、と俺なりの認識を付け加える。
けど、と俺は続けた。
「このままだと田所は死ぬかもしれねぇし、宮田は殺人犯になっちまう────────」
別に田所とは全く接点はねぇし、寧ろキョロ充特有のイキりがウザイと思っていたまである。
だからといってこのまま死んでもいいって思ってるワケじゃない。
俺が気になってるのは宮田の方だった。
さっきの教室内は混乱状態にあったが──────暫くしたら我に返った誰かが職員室の他の教師に知らせに行くだろう。
田所を助ける為に救急車が呼ばれて……同時に警察も来るだろうということは想像に難くない。
そうなれば宮田は少年院や鑑別所の類に送られるんじゃないか?
宮田がお咎め無しになることはまずあり得ない事のように思われた。
「……センセェ」
俺は思い切ってこう小泉に切り出した。
「今回だけは俺─────────宮田を助けてやりたいんだ」
声にならない獣のような悲痛な叫びは宮田のものだった。
床に透明な水溜りが広がる。
唸り声を上げ、全身を震わせた宮田は失禁していた。
理科室は水を打ったように静まり返っている。
女子の啜り泣く声が僅かに響く。
誰も宮田にも田所にも誰も近付けず、その場に居る全員がただ呆然とするしかなかった。
年配の女性教諭は真っ青な顔で腰を抜かしている。
立つことすらままならない様子だった。
この教室内の誰もが金縛りに遭ったように身動きひとつ取れずにいた。
田所は死ぬかもしれない。
だとしたら。
そう思った俺は混乱に乗じて気配を断ち、廊下にするりと抜け出した。
それから全速力で美術室に向かって走った。
理科室は校舎の一階の一番端に位置している。
授業中の他のクラスはシンと静まりかえっていた。
俺達のクラスで起こったことはまだ外部には漏れていない。
俺は二階への階段を駆け上がると美術室の扉を全力で開けた。
中は空だった。
誰もいない。
六時間目に美術の授業があるクラスは無かったらしい。
直ぐに隣の美術準備室へ向かう。
勢いよく扉を開けるとそこでは小泉が机でプリントを整理する作業をしている最中だった。
「……佐藤か。なんだ、授業中だろう?」
急いで走って来て何かあったのか、と小泉は怪訝そうに俺を見る。
「……大変だ……センセェ」
全速力で走ったからか、呼吸が乱れて上手く喋れない。
……田所が……ナイフで刺された、と俺が告げると小泉は動きを止めた。
「……は?」
俺の言った事が飲み込めてないんだろう。
「……宮田が田所を刺したんだ。ついさっきのことで」
俺もどう説明していいかわからない。
こっちだって状況がよく理解できてないんだ。
どうしてこうなったのか。
前から田所は宮田への弄りが酷かったけど─────堪忍袋の尾が切れたというか、と俺なりの認識を付け加える。
けど、と俺は続けた。
「このままだと田所は死ぬかもしれねぇし、宮田は殺人犯になっちまう────────」
別に田所とは全く接点はねぇし、寧ろキョロ充特有のイキりがウザイと思っていたまである。
だからといってこのまま死んでもいいって思ってるワケじゃない。
俺が気になってるのは宮田の方だった。
さっきの教室内は混乱状態にあったが──────暫くしたら我に返った誰かが職員室の他の教師に知らせに行くだろう。
田所を助ける為に救急車が呼ばれて……同時に警察も来るだろうということは想像に難くない。
そうなれば宮田は少年院や鑑別所の類に送られるんじゃないか?
宮田がお咎め無しになることはまずあり得ない事のように思われた。
「……センセェ」
俺は思い切ってこう小泉に切り出した。
「今回だけは俺─────────宮田を助けてやりたいんだ」
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