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ep6
ep6『さよなら小泉先生』 I RAVE U
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え?
一瞬、耳を疑う。
この小泉も─────どこか何か”変“なのか?
訳がわからず混乱している俺を見た小泉は頷いた。
「まあ、お前が戸惑うのも無理はない」
順を追って話そう、と小泉はこちらを向いた。
地下道から抜け、本殿の前の広場で俺と小泉は焚き火を囲んでいた。
小泉に渡された『二次元の萌え美少女キャラ』のバスタオルで身体を覆う俺。
「まさかあの時、九石さんが置いてったバスタオルがまだ残ってたなんてな」
美少女アニメキャラのバスタオルを身体に巻いた俺を小泉はどこか懐かしそうに眺めた。
「あの時って……あの地下牢の時のか?」
俺達二人がギャーギャー騒いでる間に、あのオタク男はスエカ婆ちゃんに報告する為に一足先に帰ったんだっけ。
「多分、ずぶ濡れの私達の為に気を利かせて予備を置いてくれてたんだろう」
本堂の入り口に未開封のまま置いてあったから中身は無事だったようだ、と小泉はどこか楽しそうに呟いた。
「そりゃ、ずぶ濡れだったから助かったけどさ……」
本題はそこじゃねぇだろ、と俺が言うと小泉はまた笑った。
「おっと。そうだったな。まあ、時間も余りない事だし手短に話そう」
小泉は少し真剣な表情を浮かべると俺の顔を真っ直ぐに見ながらこう言った。
「急なことで信じられないかもしれないが─────私は約10年後の未来から来たんだ」
お前を助ける為にな、という小泉の言葉に対し、俺は頷いた。
「……10年後か。もう何を聞いても驚かねぇよ」
あのやつれ果てた白髪の小泉を見た後なんだ。
小泉が元気な姿で生きてくれてさえいれば、10年後だろうが100年後だろうがどっちだっていいんだ。
それは俺の本心だった。
小泉が目の前に居てくれる。
今はもうそれだけで十分だった。
「でもさ、それはいいとしてどうやって未来から来たんだ?」
小泉はポケットから何かを取り出し、手のひらに載せた。
それは何の変哲もない黒い石だった。普通に河原とかに落ちてそうな石だ。
「この石の残りの力で一回だけ時間を戻ることが出来たんだ。だけど、そう長くは持たない」
少しの間だけしかここには居られないからな、と小泉は言った。
「そこらにありそうな黒い石にしか見えないんだが……まあ、これにそんな力があるって言うならそれでもいいんだ」
問題はそこじゃない。
「なあ、さっきさ。『もう小泉じゃない』って言ってたのって─────」
俺は単刀直入に質問した。
時間が無いって言うなら尚更、直球で聞いた方がいいと思ったからだ。回りくどいのは俺も苦手だからな。
「ああ、それは……」
その瞬間、俺は小泉の言葉より先に事実を理解した。
小泉の左手の薬指に嵌められた指輪。
小泉は結婚している。
俺はそう確信した。
俺が指輪をガン見しているのに気付いたんだろう。小泉も俺の顔を見る。
「ん?もしかして気付いたのか?流石に目敏いな」
ふふ、と笑う小泉にはどこか余裕のようなものが感じられた。
こういうのがが“大人”になるってことなのか?
「なんかセンセェ、変わったよな。雰囲気っていうか、体型っていうか、その──────」
俺が言葉を選びながらそれを伝えようとしたことは小泉には見透かされていた。
「ん?ああ、それは……」
小泉の言葉は俺に更なる衝撃を与えた。
「今、妊娠中だからな。腹に赤ん坊が居るんだ」
一瞬、耳を疑う。
この小泉も─────どこか何か”変“なのか?
訳がわからず混乱している俺を見た小泉は頷いた。
「まあ、お前が戸惑うのも無理はない」
順を追って話そう、と小泉はこちらを向いた。
地下道から抜け、本殿の前の広場で俺と小泉は焚き火を囲んでいた。
小泉に渡された『二次元の萌え美少女キャラ』のバスタオルで身体を覆う俺。
「まさかあの時、九石さんが置いてったバスタオルがまだ残ってたなんてな」
美少女アニメキャラのバスタオルを身体に巻いた俺を小泉はどこか懐かしそうに眺めた。
「あの時って……あの地下牢の時のか?」
俺達二人がギャーギャー騒いでる間に、あのオタク男はスエカ婆ちゃんに報告する為に一足先に帰ったんだっけ。
「多分、ずぶ濡れの私達の為に気を利かせて予備を置いてくれてたんだろう」
本堂の入り口に未開封のまま置いてあったから中身は無事だったようだ、と小泉はどこか楽しそうに呟いた。
「そりゃ、ずぶ濡れだったから助かったけどさ……」
本題はそこじゃねぇだろ、と俺が言うと小泉はまた笑った。
「おっと。そうだったな。まあ、時間も余りない事だし手短に話そう」
小泉は少し真剣な表情を浮かべると俺の顔を真っ直ぐに見ながらこう言った。
「急なことで信じられないかもしれないが─────私は約10年後の未来から来たんだ」
お前を助ける為にな、という小泉の言葉に対し、俺は頷いた。
「……10年後か。もう何を聞いても驚かねぇよ」
あのやつれ果てた白髪の小泉を見た後なんだ。
小泉が元気な姿で生きてくれてさえいれば、10年後だろうが100年後だろうがどっちだっていいんだ。
それは俺の本心だった。
小泉が目の前に居てくれる。
今はもうそれだけで十分だった。
「でもさ、それはいいとしてどうやって未来から来たんだ?」
小泉はポケットから何かを取り出し、手のひらに載せた。
それは何の変哲もない黒い石だった。普通に河原とかに落ちてそうな石だ。
「この石の残りの力で一回だけ時間を戻ることが出来たんだ。だけど、そう長くは持たない」
少しの間だけしかここには居られないからな、と小泉は言った。
「そこらにありそうな黒い石にしか見えないんだが……まあ、これにそんな力があるって言うならそれでもいいんだ」
問題はそこじゃない。
「なあ、さっきさ。『もう小泉じゃない』って言ってたのって─────」
俺は単刀直入に質問した。
時間が無いって言うなら尚更、直球で聞いた方がいいと思ったからだ。回りくどいのは俺も苦手だからな。
「ああ、それは……」
その瞬間、俺は小泉の言葉より先に事実を理解した。
小泉の左手の薬指に嵌められた指輪。
小泉は結婚している。
俺はそう確信した。
俺が指輪をガン見しているのに気付いたんだろう。小泉も俺の顔を見る。
「ん?もしかして気付いたのか?流石に目敏いな」
ふふ、と笑う小泉にはどこか余裕のようなものが感じられた。
こういうのがが“大人”になるってことなのか?
「なんかセンセェ、変わったよな。雰囲気っていうか、体型っていうか、その──────」
俺が言葉を選びながらそれを伝えようとしたことは小泉には見透かされていた。
「ん?ああ、それは……」
小泉の言葉は俺に更なる衝撃を与えた。
「今、妊娠中だからな。腹に赤ん坊が居るんだ」
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