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ep6『さよなら小泉先生』 ゼロ距離の二人とコンプレックス

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普通に考えたら腐っててもおかしくないだろう。

だが、俺がついさっき食ったカントリーマアムに異常は無かった。

やっぱり、この小泉(中学生)って幽霊の類なのか……?

俺はもう一度じっくりと小泉(中学生)の姿を見た。

髪の毛先やスカートの裾は透けている。

もしこの小泉(中学生)が幽霊とか生霊とかなら──────触ろうとしたらすり抜ける?

だって透明だもんな。

ホログラムみたいな感じだろうか。

俺はそろりと小泉(中学生)の髪に手を伸ばした。

「……きゃっ!?」

小泉(中学生)は驚いて悲鳴を上げた。

「……えっ!?……な、何…?」

小泉(中学生)は怯えたような視線で俺を見る。

「あっ!……悪ィ、そんなつもりじゃなくて!」

俺は慌てて首を振った。

しまった、全然普通に触れるんじゃん。

これじゃ俺が変態か痴漢みたいじゃねぇか。

「なんか……綺麗な髪だなって思ってさ!」

急にゴメン、と俺が謝ると小泉(中学生)は少し硬い表情のまま頷いた。

「……あっ。そっか。私こそゴメンね」

なんでコイツが謝るんだよ、と思いつつ俺は更に適当な言い訳を追加した。

「……その……俺って剛毛でさ!髪質がゴワゴワしてて毎朝、セットすんの大変で……!」

だから、サラサラの髪質の奴って羨ましくって……!つい……と俺はそれらしいエピソードで場を誤魔化した。

小泉(中学生)は意外そうな表情で俺を見て言った。

「そうなんだ……佐藤くんて何の悩みも無さそうって感じしてたから……意外」

悩みが無さそうって何だよ。酷ぇなあ、と俺は思わず素で返す。

俺だって生活のことや呪いのことで毎日生きてんのがギリギリなんだが。

「あっ!違うの!」

小泉(中学生)はブンブンと頭と手を振った。

「……ほら、佐藤くんて多分だけどクラスのカーストって上の方でしょ?……だから」

カースト上位の人にも悩みってあるんだなって、と小泉(中学生)は俯きながら小さく言った。

「俺がカースト上位?」

妙な事を言うなあと思った俺はそのまま聞き返した。

「うん、だってそうでしょ?」

小泉(中学生)は小さく頷いた。

「……だって佐藤くんてカッコいいし……それに絶対モテるでしょ?」

「えっ」

小泉が────俺のことを“カッコいい”って言ったのか?









幽霊がどうとかってより、そっちの方が意味がわからなさ過ぎて俺は思わず思考を停止させた。
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