193 / 1,060
ep.4.
ep4. 「暴かれた世界」 セックスしたら出られる部屋 その④
しおりを挟む
俺は小泉の着物の襟の部分を掴む。
もう全部脱がせてる余裕はなかった。
とにかく着てるモノを剥がしていくより他ない。
小泉が俺の腕を掴んで抵抗する。
双方がお互いの腕や身体を掴んで睨み合っている状態だった。
なんだこれは?
俺たちは何をやってるんだ?
それはさながら柔道の試合のようだった。
いやいやいや。
こっからどうやって寝技に持ち込むんだよ?
力を緩める気が全くしない、手負いの獣のような小泉の様子に俺も動揺する。
は?そこまでか?
そんなに俺が嫌なのかよ。
死を目前にしてもなお、俺にはヤられたくねぇって?
どんだけ嫌われてるんだよ俺は。
男としての自信だのプライドだのの類が木っ端微塵になったような気がした。
小泉は俺の肩を掴み、全身の力を込めて抵抗している。
不意に俺の視界がグラリと揺れた。
脳震盪を起こしたような衝撃が走る。
気付けば、俺は地面に背中を付けていた。
「え?」
小泉に足払いを掛けられた俺は見事にダウンを奪われていた。
ていうか、俺が押し倒されてどうすんだよ?
普通は逆だろうがよ?
小泉は勝ち誇ったような目で俺を見ている。
マジでこれ、どういう状況だよ?
やっぱ可哀想だと思って多少手加減してやってたのにふざけやがって。クソが!
俺は起き上がりざまに小泉の身体を力任せに壁へ打ち付ける。
小泉の肩に強めの力を込めて壁に押し当てた。
今度は逃げられないように全体重を掛ける。
「なあ、俺のコト舐めてんの?」
全力で行ったらセンセェの力じゃどうにもなんねぇだろ?と俺は小泉を睨みつけた。
「舐めるのも舐められるのもどっちもお断りだ」
小泉は不敵な笑みを浮かべる。
意味がわからない。
この状況で尚もそんな強気な台詞を吐ける小泉の精神状態が心底理解できなかった。
「おい、このままじゃアンタは俺と心中することになるんだぜ?」
なあ?と俺は至近距離で小泉の目を覗き込む。
小泉の瞳に俺の姿が映ってるのが見えた。
こんな体勢でこんな距離、恋人同士だとロマンティックな感じなんだろうな。
だが、今の俺たちは一触即発の殺し合いでも始めかねない状況だった。
お互いに一歩も引かずに睨み合う。
って言うか、今の俺はマジで小泉を◯すか、◯しかねない精神状態だった。
もう頭がおかしくなりそうだった。
このままだと死ぬ局面でさ、死ぬよりマシな選択肢があるのに拒否られてんだぜ?
でも他にどうしようもねぇんだ。俺は再度、小泉の説得を試みる。
「ネットとかでよく見るだろ?『セックスしないと出られない部屋』ってさ。アレと同じじゃねぇか」
マジでアレと同じだろ?
まさかガチで存在してるとか思わねぇじゃん。
ただし、今回の場合は時間制限付きだし、出られないと死ぬっていうハードモードだ。
いや、ハードモードどころじゃねぇな。インフェルノかナイトメアモードじゃねぇか。
少しの間、小泉はポカンとした様子で俺を見つめた後、こう言った。
「それは違うぞ、佐藤」
小泉は首を振る。
「何が違うんだよ?」
「『セックスしないと出られない部屋』はセックスが絶対条件だ。だが、『セックスしたら出られる部屋』の場合はこの限りではない」
セックスしたら出られるとは言っているが、それ以外の方法については言及されてないだろう?と小泉は冷静に自論を展開する。
「じゃあどうしろって言うんだ?何か他の方法があるって言うのか?」
「さあな」
小泉はまたも冷静に言ってのける。
時間は刻一刻と迫っていた。
もう迷っている暇はなかった。
俺は小泉の身体に覆い被さるように密着する。
「もう時間がねぇんだよ!解れよ!?」
小泉は一瞬、動揺したような表情を浮かべたものの、また直ぐに冷めた視線で俺を見つめる。
「断ると言ったはずだ」
なんで解ってくれねぇんだよ小泉は!?
「マジで!スグに済むし?!秒で終わらせるし多分痛くしねぇから!」
必死になった俺は自分でも何を言ってるかよくわからなくなった。
「ほう?秒で終わるのか?本当だな?」
小泉がニヤリと笑ったような気がした。
「いや、秒は言い過ぎた!5分!5分で済むから!」
俺は必死で訂正する。
「5分?本当に開始から終了まで5分で終わるのか?」
全部の工程だぞ?と小泉は確認するように俺を見つめる。
いやいや、工程ってなんだよ。訳わかんねぇよ。何も作ってねぇだろうが。あ、子ども作るのか。そういやそうだな。違う、そうじゃなくて!
またしても俺は全力で訂正する。
「いや……確かに5分は盛り過ぎた……!10分!10分あったら終わるから!」
「どんどん時間が延びてるじゃあないか。本当に10分で終わるのか怪しいものだ」
小泉はわざとらしくため息をついてみせる。
いや、ヤられる気はないのになんでダメ出ししてくるんだよ。
俺と小泉は身体を密着させたまま超至近距離で睨み合っていた。
もう全部脱がせてる余裕はなかった。
とにかく着てるモノを剥がしていくより他ない。
小泉が俺の腕を掴んで抵抗する。
双方がお互いの腕や身体を掴んで睨み合っている状態だった。
なんだこれは?
俺たちは何をやってるんだ?
それはさながら柔道の試合のようだった。
いやいやいや。
こっからどうやって寝技に持ち込むんだよ?
力を緩める気が全くしない、手負いの獣のような小泉の様子に俺も動揺する。
は?そこまでか?
そんなに俺が嫌なのかよ。
死を目前にしてもなお、俺にはヤられたくねぇって?
どんだけ嫌われてるんだよ俺は。
男としての自信だのプライドだのの類が木っ端微塵になったような気がした。
小泉は俺の肩を掴み、全身の力を込めて抵抗している。
不意に俺の視界がグラリと揺れた。
脳震盪を起こしたような衝撃が走る。
気付けば、俺は地面に背中を付けていた。
「え?」
小泉に足払いを掛けられた俺は見事にダウンを奪われていた。
ていうか、俺が押し倒されてどうすんだよ?
普通は逆だろうがよ?
小泉は勝ち誇ったような目で俺を見ている。
マジでこれ、どういう状況だよ?
やっぱ可哀想だと思って多少手加減してやってたのにふざけやがって。クソが!
俺は起き上がりざまに小泉の身体を力任せに壁へ打ち付ける。
小泉の肩に強めの力を込めて壁に押し当てた。
今度は逃げられないように全体重を掛ける。
「なあ、俺のコト舐めてんの?」
全力で行ったらセンセェの力じゃどうにもなんねぇだろ?と俺は小泉を睨みつけた。
「舐めるのも舐められるのもどっちもお断りだ」
小泉は不敵な笑みを浮かべる。
意味がわからない。
この状況で尚もそんな強気な台詞を吐ける小泉の精神状態が心底理解できなかった。
「おい、このままじゃアンタは俺と心中することになるんだぜ?」
なあ?と俺は至近距離で小泉の目を覗き込む。
小泉の瞳に俺の姿が映ってるのが見えた。
こんな体勢でこんな距離、恋人同士だとロマンティックな感じなんだろうな。
だが、今の俺たちは一触即発の殺し合いでも始めかねない状況だった。
お互いに一歩も引かずに睨み合う。
って言うか、今の俺はマジで小泉を◯すか、◯しかねない精神状態だった。
もう頭がおかしくなりそうだった。
このままだと死ぬ局面でさ、死ぬよりマシな選択肢があるのに拒否られてんだぜ?
でも他にどうしようもねぇんだ。俺は再度、小泉の説得を試みる。
「ネットとかでよく見るだろ?『セックスしないと出られない部屋』ってさ。アレと同じじゃねぇか」
マジでアレと同じだろ?
まさかガチで存在してるとか思わねぇじゃん。
ただし、今回の場合は時間制限付きだし、出られないと死ぬっていうハードモードだ。
いや、ハードモードどころじゃねぇな。インフェルノかナイトメアモードじゃねぇか。
少しの間、小泉はポカンとした様子で俺を見つめた後、こう言った。
「それは違うぞ、佐藤」
小泉は首を振る。
「何が違うんだよ?」
「『セックスしないと出られない部屋』はセックスが絶対条件だ。だが、『セックスしたら出られる部屋』の場合はこの限りではない」
セックスしたら出られるとは言っているが、それ以外の方法については言及されてないだろう?と小泉は冷静に自論を展開する。
「じゃあどうしろって言うんだ?何か他の方法があるって言うのか?」
「さあな」
小泉はまたも冷静に言ってのける。
時間は刻一刻と迫っていた。
もう迷っている暇はなかった。
俺は小泉の身体に覆い被さるように密着する。
「もう時間がねぇんだよ!解れよ!?」
小泉は一瞬、動揺したような表情を浮かべたものの、また直ぐに冷めた視線で俺を見つめる。
「断ると言ったはずだ」
なんで解ってくれねぇんだよ小泉は!?
「マジで!スグに済むし?!秒で終わらせるし多分痛くしねぇから!」
必死になった俺は自分でも何を言ってるかよくわからなくなった。
「ほう?秒で終わるのか?本当だな?」
小泉がニヤリと笑ったような気がした。
「いや、秒は言い過ぎた!5分!5分で済むから!」
俺は必死で訂正する。
「5分?本当に開始から終了まで5分で終わるのか?」
全部の工程だぞ?と小泉は確認するように俺を見つめる。
いやいや、工程ってなんだよ。訳わかんねぇよ。何も作ってねぇだろうが。あ、子ども作るのか。そういやそうだな。違う、そうじゃなくて!
またしても俺は全力で訂正する。
「いや……確かに5分は盛り過ぎた……!10分!10分あったら終わるから!」
「どんどん時間が延びてるじゃあないか。本当に10分で終わるのか怪しいものだ」
小泉はわざとらしくため息をついてみせる。
いや、ヤられる気はないのになんでダメ出ししてくるんだよ。
俺と小泉は身体を密着させたまま超至近距離で睨み合っていた。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる