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ep.3.
ep3 . 『夜間非行』 俺たちに明日はない
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相棒の実家、寺にほど近い場所で少年はバイクを停めた。
「……警察はここまで来れるだろうか?」
どこか待ち遠しそうにも聞こえる様子に少年は思わず吹き出す。
「多分無理だろうぜ。それどころじゃねぇだろうしな」
「……どうしてそう言い切れる?」
「助手席側と運転席側、両方のドリンクホルダーにストゼロ缶突っ込んであったし」
今、警察に来られちゃマズイのはアイツらの方だろうからな、と少年は思い出したように笑った。
「イロイロと常習っぽいしな。仲間でも呼んで拾って貰って帰ってるだろうぜ」
逃走と敗走。
触法少年達と大人の男二人。
全く異なる世界に住み異なるロジックで動く人種だった。
これからどうするんだ?と問いかける相棒に少年は少し表情を曇らせ答えた。
「最後にやり残した事あるからよ、ちょっと片付けて来るわ」
“また明日な”、と呟き少年はバイクのエンジンを掛け再び走り出した。
少年にはわからない。
何が正しくて何が間違っているのか。
誰が正しくて誰が間違っているのか。
世界は何も答えを示してはくれない。
他人を裁くより自分を裁く方がずっと難しい。
だから自分自身が世界を動かす他ないのだ。
少年は世界の全てを飲み込む。
市街地の中心から少し逸れた箇所で少年はバイクを停め、電話を掛ける。
暫く話した後、バイクを降りると小綺麗な戸建ての家に入っていく。
「は!?ちょっと、どうしたのよその怪我!?」
玄関で少年を出迎えた褐色の少女は思わず叫ぶ。
少年の『彼女』であるこの少女は明らかに困惑の色を隠せなかった。
突然の訪問。
ガラス片の飛沫をいくつか浴びた少年はあちこちから出血していた。
「悪ィ、ちょっとシャワー貸してくんね?」
警察に見つかる前によ、と少年は靴を脱ぎ勝手に家に上がりこむ。
「いやいやいや……その前に無免じゃない?帰りにソッコーで捕まるじゃん」
いいからいいから、と少年は気に留める様子もなく勝手にバスルームに向かっている。
「良くないわよ!いくら今日はうちの親が遅いからっても……」
「へぇ」
そりゃ好都合だな、と少年は呟いた。
「ちょっと風呂借りるわ。着替えとタオルよろしく」
少女の制止も聞かず少年は勝手に脱衣所に入っていく。
「なんなのよ、急に……」
全くその通りであった。
少年の訪問は少女にとっても予想外のものであった。
少女はブツブツと言いながらタオルとTシャツを脱衣カゴに入れる。
少年が脱衣所に投げ散らかした衣類を拾っている最中、何かがポケットから転がり落ちた。
少女はそれを確認し、その身体を硬直させた。
慌ててそれを元の学ランに仕舞うと、少女は急いで脱衣所を後にした。
20分後。
少女の自室に湯上がりの少年が入ってくる。
すっかり自宅気分で萎縮する事なくリラックスした様子である。
少女は少年の姿を見ると溜息を吐いた。
「……なんなのよアンタ、何して来たのよ」
別に、ちょっと遊んで来ただけだし、と少年は事もなげに答えた。
「嘘。違うでしょ」
少女は少年の顔を見た。
少女の自室のローテーブルには麦茶の入ったグラスが2個置かれている。
貰うぜ、と少年はグラスに口をつける。
「本当は今日どこに行って何をして来たのよ?」
少女は俯きがちに尋ねる。
少年は少女の部屋をグルリと見回した。
デスクの上に置かれたフォトフレームが目に入る。
写真の中に見覚えのある銀髪の人物を見つけた少年は少女に尋ねる。
「こいつ、お前のダチなんか?」
「ハナシを逸さないでよ!」
アタシ、見たのよさっき、と少女は泣きそうな表情で少年に言った。
「見たって、何をだよ?」
「アンタのポケットから飛び出てたものよ!」
少女が青い顔をして叫ぶ。
そういやコイツがコンドーム用意したって相棒は言ってたよな、と少年は思った。
おいおい、俺のポケットに入ってたコンドームの缶を見ちまったのか。そう警戒するなよ。
「……警察はここまで来れるだろうか?」
どこか待ち遠しそうにも聞こえる様子に少年は思わず吹き出す。
「多分無理だろうぜ。それどころじゃねぇだろうしな」
「……どうしてそう言い切れる?」
「助手席側と運転席側、両方のドリンクホルダーにストゼロ缶突っ込んであったし」
今、警察に来られちゃマズイのはアイツらの方だろうからな、と少年は思い出したように笑った。
「イロイロと常習っぽいしな。仲間でも呼んで拾って貰って帰ってるだろうぜ」
逃走と敗走。
触法少年達と大人の男二人。
全く異なる世界に住み異なるロジックで動く人種だった。
これからどうするんだ?と問いかける相棒に少年は少し表情を曇らせ答えた。
「最後にやり残した事あるからよ、ちょっと片付けて来るわ」
“また明日な”、と呟き少年はバイクのエンジンを掛け再び走り出した。
少年にはわからない。
何が正しくて何が間違っているのか。
誰が正しくて誰が間違っているのか。
世界は何も答えを示してはくれない。
他人を裁くより自分を裁く方がずっと難しい。
だから自分自身が世界を動かす他ないのだ。
少年は世界の全てを飲み込む。
市街地の中心から少し逸れた箇所で少年はバイクを停め、電話を掛ける。
暫く話した後、バイクを降りると小綺麗な戸建ての家に入っていく。
「は!?ちょっと、どうしたのよその怪我!?」
玄関で少年を出迎えた褐色の少女は思わず叫ぶ。
少年の『彼女』であるこの少女は明らかに困惑の色を隠せなかった。
突然の訪問。
ガラス片の飛沫をいくつか浴びた少年はあちこちから出血していた。
「悪ィ、ちょっとシャワー貸してくんね?」
警察に見つかる前によ、と少年は靴を脱ぎ勝手に家に上がりこむ。
「いやいやいや……その前に無免じゃない?帰りにソッコーで捕まるじゃん」
いいからいいから、と少年は気に留める様子もなく勝手にバスルームに向かっている。
「良くないわよ!いくら今日はうちの親が遅いからっても……」
「へぇ」
そりゃ好都合だな、と少年は呟いた。
「ちょっと風呂借りるわ。着替えとタオルよろしく」
少女の制止も聞かず少年は勝手に脱衣所に入っていく。
「なんなのよ、急に……」
全くその通りであった。
少年の訪問は少女にとっても予想外のものであった。
少女はブツブツと言いながらタオルとTシャツを脱衣カゴに入れる。
少年が脱衣所に投げ散らかした衣類を拾っている最中、何かがポケットから転がり落ちた。
少女はそれを確認し、その身体を硬直させた。
慌ててそれを元の学ランに仕舞うと、少女は急いで脱衣所を後にした。
20分後。
少女の自室に湯上がりの少年が入ってくる。
すっかり自宅気分で萎縮する事なくリラックスした様子である。
少女は少年の姿を見ると溜息を吐いた。
「……なんなのよアンタ、何して来たのよ」
別に、ちょっと遊んで来ただけだし、と少年は事もなげに答えた。
「嘘。違うでしょ」
少女は少年の顔を見た。
少女の自室のローテーブルには麦茶の入ったグラスが2個置かれている。
貰うぜ、と少年はグラスに口をつける。
「本当は今日どこに行って何をして来たのよ?」
少女は俯きがちに尋ねる。
少年は少女の部屋をグルリと見回した。
デスクの上に置かれたフォトフレームが目に入る。
写真の中に見覚えのある銀髪の人物を見つけた少年は少女に尋ねる。
「こいつ、お前のダチなんか?」
「ハナシを逸さないでよ!」
アタシ、見たのよさっき、と少女は泣きそうな表情で少年に言った。
「見たって、何をだよ?」
「アンタのポケットから飛び出てたものよ!」
少女が青い顔をして叫ぶ。
そういやコイツがコンドーム用意したって相棒は言ってたよな、と少年は思った。
おいおい、俺のポケットに入ってたコンドームの缶を見ちまったのか。そう警戒するなよ。
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