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ep1.
ep1.「呪いの宣告」 盗撮内容の流出
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「おっと。貴重な資料を燃やされる訳にはいかんな」
小泉は文庫本をガードする。
「念のために内容はPDF化してクラウドとUSBで保存してるから燃やしても無駄だぞ」
面倒臭いマネしやがって。俺は舌打ちをした。
「で?センセェは俺がこんな事出来る人間だって思ってんの?買い被りすぎじゃね?」
何もかもが不可解すぎた。
これを書いたやつは少なくとも20年以上前に俺の出現を予知したのみならず、俺の童貞卒業に至るまでを盗撮レベルの緻密さと正確さで知っていた?そんな馬鹿な。
ともかく、と俺は続けた。
「[[男だと思っていた親友が実はCカップの僕っ子美少女で俺にベタ惚れでした~最後の思い出作りに濃密なイチャラブックスして童貞卒業します~]]ってそんな都合のいい話が存在するワケねーだろ!?」
「ラノベのタイトルみたいだな」
小泉が感心したように呟く。いやそこは突っ込まんでいい。
「お前は二冊目の方ばっかりに気を取られているようだが一冊目もなかなか興味深いぞ」
またしても小泉がニヤニヤしながら嫌味ったらしく言う。ガチでぶっ○したくなった。
「主人公の[少年]が日常生活を送りつつも親友のマコトとの距離を詰めていく心理の描写はなかなか感動的でいい話じゃないか。最後もうまく着地してるようだし」
小泉はパタパタと文庫本を持っている右手を振る。
しかしだ、と小泉は怪訝そうな顔をした。
「何か引っかかる気もするな」
「どこがだよ?そもそも全体的になんかおかしいだろうが」
「作中のストーリーの流れだよ。もしも作品の主題を[少年とマコトの恋愛]もしくは[二人の心の動き]的な物にスポットを当てるのであれば余計な描写がややあり過ぎる気もしたな。小学生カップル二人の下りとか」
そう言われてみれば確かにそうだった。ほぼストーリー進行に関係なさそうなモブキャラ?の小学生のサイドストーリーが挿入されており作品のテンポを悪くしているような気もした。
「“見たまま、知り得た情報を精査せずにそのまま全部載せしました”って感じに私は思えた」
小泉は何か考え込んでいるように言う。
確かにそうだった。
「予知、或いはなんらかの手段で未来を知る事が出来る人物がこれを書いたとなればしっくり来る」
「この小説が俺の生活にかなり似てるって言ってもさ、タイムリープの証拠とかにはならなくね?」
俺は気味の悪さと後味の悪さを感じずにはいられなかった。誰かが予言?予知で俺の童貞卒業を見てたって?盗撮かよ。悪趣味すぎるだろう。
「二冊目の最後の部分を見てくれ」
小泉は文庫本を捲ると最後のページ、裏表紙の裏を俺に見せた。
『昭和95年夏 三回目』
さっき読んだ時には気づかなかった。赤鉛筆で手描きでそう書かれていた。
小泉が俺をじっと見ている。
「佐藤、お前はやっぱり時間を何度も行き来しているな?」
小泉は文庫本をガードする。
「念のために内容はPDF化してクラウドとUSBで保存してるから燃やしても無駄だぞ」
面倒臭いマネしやがって。俺は舌打ちをした。
「で?センセェは俺がこんな事出来る人間だって思ってんの?買い被りすぎじゃね?」
何もかもが不可解すぎた。
これを書いたやつは少なくとも20年以上前に俺の出現を予知したのみならず、俺の童貞卒業に至るまでを盗撮レベルの緻密さと正確さで知っていた?そんな馬鹿な。
ともかく、と俺は続けた。
「[[男だと思っていた親友が実はCカップの僕っ子美少女で俺にベタ惚れでした~最後の思い出作りに濃密なイチャラブックスして童貞卒業します~]]ってそんな都合のいい話が存在するワケねーだろ!?」
「ラノベのタイトルみたいだな」
小泉が感心したように呟く。いやそこは突っ込まんでいい。
「お前は二冊目の方ばっかりに気を取られているようだが一冊目もなかなか興味深いぞ」
またしても小泉がニヤニヤしながら嫌味ったらしく言う。ガチでぶっ○したくなった。
「主人公の[少年]が日常生活を送りつつも親友のマコトとの距離を詰めていく心理の描写はなかなか感動的でいい話じゃないか。最後もうまく着地してるようだし」
小泉はパタパタと文庫本を持っている右手を振る。
しかしだ、と小泉は怪訝そうな顔をした。
「何か引っかかる気もするな」
「どこがだよ?そもそも全体的になんかおかしいだろうが」
「作中のストーリーの流れだよ。もしも作品の主題を[少年とマコトの恋愛]もしくは[二人の心の動き]的な物にスポットを当てるのであれば余計な描写がややあり過ぎる気もしたな。小学生カップル二人の下りとか」
そう言われてみれば確かにそうだった。ほぼストーリー進行に関係なさそうなモブキャラ?の小学生のサイドストーリーが挿入されており作品のテンポを悪くしているような気もした。
「“見たまま、知り得た情報を精査せずにそのまま全部載せしました”って感じに私は思えた」
小泉は何か考え込んでいるように言う。
確かにそうだった。
「予知、或いはなんらかの手段で未来を知る事が出来る人物がこれを書いたとなればしっくり来る」
「この小説が俺の生活にかなり似てるって言ってもさ、タイムリープの証拠とかにはならなくね?」
俺は気味の悪さと後味の悪さを感じずにはいられなかった。誰かが予言?予知で俺の童貞卒業を見てたって?盗撮かよ。悪趣味すぎるだろう。
「二冊目の最後の部分を見てくれ」
小泉は文庫本を捲ると最後のページ、裏表紙の裏を俺に見せた。
『昭和95年夏 三回目』
さっき読んだ時には気づかなかった。赤鉛筆で手描きでそう書かれていた。
小泉が俺をじっと見ている。
「佐藤、お前はやっぱり時間を何度も行き来しているな?」
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