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第2章 地球活動編
第28話 対談(1)
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短いです。
まとめ読み派の方はもう少し溜めてから読むことを強くお勧めします。
できれば明日も投稿したいです。それでは!!
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僕は隣にちゃっかり座る思金神に命一杯の非難の視線を向けるが、特段気にしたふうもなく車の中で出されたお茶を啜っている。
正常な思考が徐々に回復するにつれ、鈍い僕にも思金神がやったことが薄っすらと予測できてきた。ピースは既に僕の前に用意されていたわけだ。
一つ目のピースは13番目の正体不明の13覇王――『番外者』の登場。この『番外者』の本名、経歴、所属組織の全てが不明なのがみそだ。
『番外者』の正体が僕なら秘密主義の思金神のことだ。極限までその情報を秘匿しようとするはず。当人の僕すら知らせなかったくらいだ。その徹底ぶりには半端ではないはず。ならば僕の存在はごく一部のみ以外秘匿されるはず。
二つ目のピースは審議会と国連が重要情報を来月半ばに開示すること。
ここからは完璧に僕の推測域をでないが思金神はこの地球の魔道科学の底上げを狙い、国連と魔術審議会に働きかけたのかもしれない。
確かに僕らがこの地球で商売する上で最大の障害は皮肉なことに僕ら《妖精の森》の高度な技術力なのだ。僕らの魔道科学は現在の地球の十数世紀以上進んでしまっていて商売の対象となるほとんどが販売不可能という奇天烈な事態に陥ってしまっていた。地球とアリウスでの一定レベルでの情報の開示は幹部会議でも議題に幾度となく上る重要案件だ。まさか、僕の13覇王への加入を交換条件とするとは夢にも思わなかったが……。
だが僕の13覇王へ加入により、多少の非常識はまかり通ることになった。何せ13覇王は歩く不条理。世界の理の外に存在せしめるもの。十中八九、『番外者』のやったことは単に、『13覇王だから』の一言で片づけられることになるだろう。
加えて、王たる13覇王には不干渉特権があると聞く。これで新技術を魔術審議会に知られても搾取されることも事実上なくなったと言ってよい。
とは言え、利点ばかりと言う訳でもない。僕が《妖精の森》の事実上のトップであることは倖月家の首脳陣にはばれている。とすれば《妖精の森》が『番外者』の名をもって無茶苦茶をすれば、確実に倖月家に僕の存在がばれる。そうなれば僕らから全てを奪うため倖月家が戦争を仕掛けてくることも十分すぎる程考えられる。倖月家には竜華がいるのだ。まだ倖月家を不用意に刺激したくはない。
いや、だからこその――。
キッという車の停止音で僕の思考は遮られる。
「到着いたしました。さあ、王よ。こちらへ」
リムジンが停止したのは地下の駐車場。
運転していた伏見左京がドアを開けて五十子時宗が一礼して歩き始める。
所謂裏口だろう。駐車場から建物の中に入り、エレベーターと思しき扉の隣にある機械にカードを通すとそのドアが開く。乗り込むと、エレベーター特有の浮遊感。
リムジンなど魔術審議会の支部長が態々運転など通常しない。それに今まで魔術審議会の職員には一人足りとも出会わなかった。
この徹底ぶり正直異常だ。驚きを通り越して呆れかえる。
まとめ読み派の方はもう少し溜めてから読むことを強くお勧めします。
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僕は隣にちゃっかり座る思金神に命一杯の非難の視線を向けるが、特段気にしたふうもなく車の中で出されたお茶を啜っている。
正常な思考が徐々に回復するにつれ、鈍い僕にも思金神がやったことが薄っすらと予測できてきた。ピースは既に僕の前に用意されていたわけだ。
一つ目のピースは13番目の正体不明の13覇王――『番外者』の登場。この『番外者』の本名、経歴、所属組織の全てが不明なのがみそだ。
『番外者』の正体が僕なら秘密主義の思金神のことだ。極限までその情報を秘匿しようとするはず。当人の僕すら知らせなかったくらいだ。その徹底ぶりには半端ではないはず。ならば僕の存在はごく一部のみ以外秘匿されるはず。
二つ目のピースは審議会と国連が重要情報を来月半ばに開示すること。
ここからは完璧に僕の推測域をでないが思金神はこの地球の魔道科学の底上げを狙い、国連と魔術審議会に働きかけたのかもしれない。
確かに僕らがこの地球で商売する上で最大の障害は皮肉なことに僕ら《妖精の森》の高度な技術力なのだ。僕らの魔道科学は現在の地球の十数世紀以上進んでしまっていて商売の対象となるほとんどが販売不可能という奇天烈な事態に陥ってしまっていた。地球とアリウスでの一定レベルでの情報の開示は幹部会議でも議題に幾度となく上る重要案件だ。まさか、僕の13覇王への加入を交換条件とするとは夢にも思わなかったが……。
だが僕の13覇王へ加入により、多少の非常識はまかり通ることになった。何せ13覇王は歩く不条理。世界の理の外に存在せしめるもの。十中八九、『番外者』のやったことは単に、『13覇王だから』の一言で片づけられることになるだろう。
加えて、王たる13覇王には不干渉特権があると聞く。これで新技術を魔術審議会に知られても搾取されることも事実上なくなったと言ってよい。
とは言え、利点ばかりと言う訳でもない。僕が《妖精の森》の事実上のトップであることは倖月家の首脳陣にはばれている。とすれば《妖精の森》が『番外者』の名をもって無茶苦茶をすれば、確実に倖月家に僕の存在がばれる。そうなれば僕らから全てを奪うため倖月家が戦争を仕掛けてくることも十分すぎる程考えられる。倖月家には竜華がいるのだ。まだ倖月家を不用意に刺激したくはない。
いや、だからこその――。
キッという車の停止音で僕の思考は遮られる。
「到着いたしました。さあ、王よ。こちらへ」
リムジンが停止したのは地下の駐車場。
運転していた伏見左京がドアを開けて五十子時宗が一礼して歩き始める。
所謂裏口だろう。駐車場から建物の中に入り、エレベーターと思しき扉の隣にある機械にカードを通すとそのドアが開く。乗り込むと、エレベーター特有の浮遊感。
リムジンなど魔術審議会の支部長が態々運転など通常しない。それに今まで魔術審議会の職員には一人足りとも出会わなかった。
この徹底ぶり正直異常だ。驚きを通り越して呆れかえる。
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