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第1章 異世界武者修行編

第51話 ナンバーズゲーム後の事情(2)――魔術審議会

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 短いです。事実上の閑話です。小休憩程度にお読みください。
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 魔術審議会ニューヨーク本部ビル1階

 ここはニューヨーク本部ビルであり、世界の魔術師を束ねる魔術審議会という組織の中枢。故にこの本部ビルで働く者は魔術師の中でもいわばエリートであり世界序列の上位者である。
 その魔術師達が全身から滝のような冷え切った汗をダラダラと流しながら本部ビル1階のロビーに設置されている大型スクリーンモニターを凝視していた。

「全員スイーツになっちゃった……」

 幽鬼のような青白い顔でビジネススーツを着こなす赤髪の女性が呟く。

「いや、全員というより建物丸ごとだ」

 顔を歪めてドンッと近くの柱を叩く金髪の男性。

「あ、あれは青魔術?」

「バカいえ! あんな青魔術あってたまるか! 新種の魔術だよ。しかもとびきり凶悪な」

「新種の……魔術……もしあのお菓子人間が一体でも街に放たれたら……」

「全滅だろうな。人間、動物、建造物ですら皆仲良くお菓子になって彷徨い歩くことになるだろうよ」

 赤髪の女性は最悪の想像をして自身の身体を抱きしめブルリと震わせる。

「禁術……?」

「ああ、そうだ! 間違いなく禁術認定される。今頃審議会のお偉方もパニック中だろうさ」

「《妖精の森スピリットフォーレスト》か……新たな勢力ってわけね。
 ところでこれ吸血種に対する宣戦布告になると思う?」

「いやそれはない。血の吐息ブラットブレス以外の3大王家は動かねぇ。
噂では血の吐息ブラットブレスの息がかかった不磨商事とかいう日本の企業のアホ社長が盟約を反故にした上に、盟約につき暴言を吐いたそうだ」

「きゅ、吸血種の前で盟約を否定した!? じゃあ……」

「そうだ。《妖精の森スピリットフォーレスト》と血の吐息ブラットブレスの全面戦争――」

 一階ロビーが小波のようにざわめく。

「み、見ろよ。世界序列最上位様達のお出ましだぜ」

 全員黒装束の男。青と白を基調とする衣服を着用した金髪の美女。短パンにTシャツというラフな格好の色黒の少女。真紅の拘束具を顔まで覆った男性。軍服の男性にチャイナ服の女性。
 他にもぞろぞろと本部ビルの最上階へ目指していく。

「世界が動き始めた……?」

 その赤髪の女性の声に金髪の男性はゴクリッと唾を飲み込む。

「みたいだな。俺達が考えている以上にさっきの《ナンバーズゲーム》は審議会上層部にとっては衝撃的だったようだ」

 今ロビーを通りすぎているのは滅多に人前に姿を見せることはない世界序列の最上位者。審議会はお菓子共の蹂躙劇によほど肝が冷えたとみえる。
 《妖精の森スピリットフォーレスト》への今後の対応でも考えるのだろう。確かに禁術クラスを無演唱で発動させるような怪物達を擁する結社だ。時期に結社のメンバーは世界序列の最上位に名を連ねることになる。
 召集された目的はその化け物のような結社が暴走した際の話し合い。いや話し合いというよりはその際の討伐要請か。
 本部職員達は世界の変化を肌で感じていた。


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 お読みいただきありがとうございます。ここまでこの小説を読んでいただき感謝に耐えません。
  
 
 
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