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3章:学校生活
21:その後
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教室に戻って、午後の授業が始まった。授業が始まる寸前まで、昼休みの余韻の楽しげな、ざわついた空気が残っていたけれど、それはチャイムと一緒に落ち着いた。
午後の授業が始まる。
心は満たされていたけれど、腹の虫は満足してくれなかったみたいだ。午後の授業が始まって一時間もすると、腹の虫が美味しいものをよこせ、と授業中何度も訴えていた。
ガレットの方をちら、と見る。彼も、なんだか上の空、というかお腹が空いている、という感じの表情を浮かべていた。やっぱり、あれだけでは足りなかったか。
そして、ようやく放課後を迎える。空腹だったからか、いつもよりも午後の授業が随分と長く感じた。
「章太郎。一緒に帰ろう」
「ああ」
二人で隣り合って廊下を歩く。歩くごとにいろんな生徒からの視線がこちらに向けられてくる。大体が先ほども感じていた「どうして二人が一緒に歩いているのか」という感じの視線だった。ガレットは、にこにことした笑顔を周りに向けながら歩いている。俺は、彼と、向けられる視線をちらちらと見ながら、ガレットの隣を歩いていた。
校舎の外に出る。すっかり雨は上がっていて、夕陽が水たまりに反射していた。やっと一日を終えた。いつもよりも慌ただしい一日ではあったけれど、なんとか終えることが出来た。
「その、いろいろ……ごめん……」
ガレットにもう一度謝罪をする。俺の不手際でいろいろ巻き込んでしまったから。
「全く気にする必要はないよ。新しい味を体験出来たからね。購買もまた挑戦してみよう」
今度は是非新発売の商品を食べてみたいからね、と彼は言う。俺も、その言葉には頷いた。どうにか策を練って、いつか、購買メニューでお腹を満たしてみたい。
「……明日は、寝坊しないようにするから」
「ああ、今日は少し早く寝よう。キミの作るお弁当、楽しみにしているよ」
「……分かった」
明日こそは、いつも通りに起きて、ちゃんと弁当を作りたい。
「章太郎、一日、お疲れ様」
ガレットが、俺に向けて柔らかく笑いかけてくれる。その瞳で、心臓が跳ねた。明日、ちゃんと起きられるだろうか、なんて思ってしまう。
「……ガレットも、お疲れ様」
「ありがとう」
「……今日の夕飯、何食べたい?」
俺は、乱れた心臓の鼓動を、なんとか落ち着けるために、話題を少し変えた。随分唐突な話題の振り方だ。
「そうだね……。お腹が空いているから、どんなものでもいつも以上に美味しく食べられそうだ」
「……そうだな」
帰り道。二人で話していたのは、これからの夕食の話だった。これから、一体何を食べようか。少し心拍を乱れさせながら、家までの道を歩いていた。
午後の授業が始まる。
心は満たされていたけれど、腹の虫は満足してくれなかったみたいだ。午後の授業が始まって一時間もすると、腹の虫が美味しいものをよこせ、と授業中何度も訴えていた。
ガレットの方をちら、と見る。彼も、なんだか上の空、というかお腹が空いている、という感じの表情を浮かべていた。やっぱり、あれだけでは足りなかったか。
そして、ようやく放課後を迎える。空腹だったからか、いつもよりも午後の授業が随分と長く感じた。
「章太郎。一緒に帰ろう」
「ああ」
二人で隣り合って廊下を歩く。歩くごとにいろんな生徒からの視線がこちらに向けられてくる。大体が先ほども感じていた「どうして二人が一緒に歩いているのか」という感じの視線だった。ガレットは、にこにことした笑顔を周りに向けながら歩いている。俺は、彼と、向けられる視線をちらちらと見ながら、ガレットの隣を歩いていた。
校舎の外に出る。すっかり雨は上がっていて、夕陽が水たまりに反射していた。やっと一日を終えた。いつもよりも慌ただしい一日ではあったけれど、なんとか終えることが出来た。
「その、いろいろ……ごめん……」
ガレットにもう一度謝罪をする。俺の不手際でいろいろ巻き込んでしまったから。
「全く気にする必要はないよ。新しい味を体験出来たからね。購買もまた挑戦してみよう」
今度は是非新発売の商品を食べてみたいからね、と彼は言う。俺も、その言葉には頷いた。どうにか策を練って、いつか、購買メニューでお腹を満たしてみたい。
「……明日は、寝坊しないようにするから」
「ああ、今日は少し早く寝よう。キミの作るお弁当、楽しみにしているよ」
「……分かった」
明日こそは、いつも通りに起きて、ちゃんと弁当を作りたい。
「章太郎、一日、お疲れ様」
ガレットが、俺に向けて柔らかく笑いかけてくれる。その瞳で、心臓が跳ねた。明日、ちゃんと起きられるだろうか、なんて思ってしまう。
「……ガレットも、お疲れ様」
「ありがとう」
「……今日の夕飯、何食べたい?」
俺は、乱れた心臓の鼓動を、なんとか落ち着けるために、話題を少し変えた。随分唐突な話題の振り方だ。
「そうだね……。お腹が空いているから、どんなものでもいつも以上に美味しく食べられそうだ」
「……そうだな」
帰り道。二人で話していたのは、これからの夕食の話だった。これから、一体何を食べようか。少し心拍を乱れさせながら、家までの道を歩いていた。
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