47 / 53
番外
婚約解消
しおりを挟む
パーティは楽しい。美味しいご飯に綺麗なドレス。どこもかしこもきらきらしてる。
「アカリ、ドレス似合ってるね」
レーブがにこにこ褒めてくれる。
ベンネルが贈ってくれたピンクのふわふわしたドレス。子供っぽいかと思ったけど鏡で見てみたら似合ってた。王族の審美眼すごい。買ってもらったネックレスもドレスに合ってる。
婚約者の2人と一緒にいたレーブとカルに気づいて声をかけたら、2人とも私について来てくれた。
ここしばらくは一緒にいられなかったから嬉しい。婚約者の2人を置いてくる形になったのはちょっと申し訳ないと思うけど。
レーブが私を褒めたことが気に食わなかったのか、顔を顰めたベンネルに抱き寄せられる。このまま一緒にいたいけど私にはこの後、やらなきゃいけないことがある。
「…じゃ、頑張るね」
ベンネルから離れてちょっと手を振る。パーティの終盤。私の出番だ。
3人の悩みを解決して喜びの声を聞く。聖女としての仕事としてやってることだから褒められすぎるとちょっと照れる。
「アカリ、やっぱり君はすごい」
近づいてきたベンネルに頭を撫でられてもっと照れくさくなる。みんなの前だし。私をみて優しく微笑んだベンネルはす、と視線を動かしてメーレ達の方を見る。
「メーレ・アウルム公爵令嬢。前に出てきてくれ」
呼びかけられたメーレは静かに前に出てくる。さっきまでの楽しげな表情とは真逆の取り澄ました真顔だった。
「何の御用でしょうか」
静かに問いかけるメーレにベンネルが言う。言ってしまう。
「僕との婚約を解消してもらいたい」
私は一瞬ぽかんとする。婚約解消は確かにずっと言ってきたことだ。でも、こんな人前で言うことでは決してないはずだと思う。折角のパーティなのに。
「僕はアカリを愛してしまっている。聖女の力を持つ彼女を支えたい。今のままではアカリにも君にも悪いと思っている。だから婚約を解消してほしい。きっと君にもふさわしい相手が見つかるはずだよ」
「…なんてひどいこと言うの!」
叫んだのは無意識だった。
「メーレはずっと一緒だった婚約者なんでしょ!いくら政略だからって、こんなみんなの前でそんな事言うなんてひどいよ!」
ベンネルの服を掴んで見上げながら言うと、ベンネルはどこか戸惑ったような顔をした。
何か言いそうになったベンネルを遮るように声がした。
「婚約解消、承りましたわ」
真顔でメーレが静かに言って踵を返す。ミア達3人を連れてメーレは会場を出て行った。
静かになった会場はとても居心地が悪かった。
「アカリ、ドレス似合ってるね」
レーブがにこにこ褒めてくれる。
ベンネルが贈ってくれたピンクのふわふわしたドレス。子供っぽいかと思ったけど鏡で見てみたら似合ってた。王族の審美眼すごい。買ってもらったネックレスもドレスに合ってる。
婚約者の2人と一緒にいたレーブとカルに気づいて声をかけたら、2人とも私について来てくれた。
ここしばらくは一緒にいられなかったから嬉しい。婚約者の2人を置いてくる形になったのはちょっと申し訳ないと思うけど。
レーブが私を褒めたことが気に食わなかったのか、顔を顰めたベンネルに抱き寄せられる。このまま一緒にいたいけど私にはこの後、やらなきゃいけないことがある。
「…じゃ、頑張るね」
ベンネルから離れてちょっと手を振る。パーティの終盤。私の出番だ。
3人の悩みを解決して喜びの声を聞く。聖女としての仕事としてやってることだから褒められすぎるとちょっと照れる。
「アカリ、やっぱり君はすごい」
近づいてきたベンネルに頭を撫でられてもっと照れくさくなる。みんなの前だし。私をみて優しく微笑んだベンネルはす、と視線を動かしてメーレ達の方を見る。
「メーレ・アウルム公爵令嬢。前に出てきてくれ」
呼びかけられたメーレは静かに前に出てくる。さっきまでの楽しげな表情とは真逆の取り澄ました真顔だった。
「何の御用でしょうか」
静かに問いかけるメーレにベンネルが言う。言ってしまう。
「僕との婚約を解消してもらいたい」
私は一瞬ぽかんとする。婚約解消は確かにずっと言ってきたことだ。でも、こんな人前で言うことでは決してないはずだと思う。折角のパーティなのに。
「僕はアカリを愛してしまっている。聖女の力を持つ彼女を支えたい。今のままではアカリにも君にも悪いと思っている。だから婚約を解消してほしい。きっと君にもふさわしい相手が見つかるはずだよ」
「…なんてひどいこと言うの!」
叫んだのは無意識だった。
「メーレはずっと一緒だった婚約者なんでしょ!いくら政略だからって、こんなみんなの前でそんな事言うなんてひどいよ!」
ベンネルの服を掴んで見上げながら言うと、ベンネルはどこか戸惑ったような顔をした。
何か言いそうになったベンネルを遮るように声がした。
「婚約解消、承りましたわ」
真顔でメーレが静かに言って踵を返す。ミア達3人を連れてメーレは会場を出て行った。
静かになった会場はとても居心地が悪かった。
応援ありがとうございます!
73
お気に入りに追加
413
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる