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マナー
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「あっ、ミア居た!探しちゃったよ!」
アカリ様がそばに立っていました。
そばにいたメーレ様たちがきゅっと無表情になったのを感じたので慌てて私は進み出てアカリ様の前に立ちました。出来るだけアカリ様の前に立ち皆さんを隠すようにします。
アカリ様はベンネル第一王子、ブレイグ様、さらに複数の高位貴族の男性方と共にいました。皆さん婚約者がおられたはずですが、アカリ様と共に来たのでしょうか。
ベンネル第一王子はメーレ様の方を見ようともせずにアカリ様だけを見つめ、ブレイグ様は私達のドレスを一瞬見てからすぐにアカリ様の方に目を移しました。
「良かった、私こういう場所のマナー分かんなくて。あんまり女友達いないからさ、男子のマナーと違ったら困るから、ミアに教えてもらいたくて」
会場中探しちゃった!と笑うアカリ様。私はアカリ様の友人だったのでしょうか。貴族の礼儀として高位の方に対する礼をしてからアカリ様に答えます。
「男性と女性でパーティのマナーはさほど変わりませんし、学生の身ですから必要以上にマナーに気をつける場所でもないですよ。私もパーティには慣れていないですし、他の皆様に教えていただいた方がいいかと思われます…」
「あ、ミア達そのリボンお揃いなの?ドレスのデザインも似てる気がする、いいねそういうの、憧れちゃうなー!」
メーレ様たちとアカリ様を出来るだけ離すべくお断りの言葉をやんわりと告げようとしたのですが、アカリ様の興味は他の事に移っていたようでした。
アカリ様のドレスはピンク色の生地にピンク色のレース。ピンク一色のふりふりとしたドレスです。私が見ても分かるぐらい高級な素材が使われており、可愛らしい本人の見た目も相まって、悪目立ちしそうな少し子供っぽいドレスでも似合っています。
どうやらブレイグ様の贈るドレスはアカリ様には着てもらえなかったようですね。きれいなドレスでしたがアカリ様が着るには地味かもしれないと思っていたので納得です。
そんな風に考えていた私の思考はアカリ様がレーブ公爵令息とカル辺境伯令息を見て笑いかけた事で止まりました。
「あ!レーブ!カル!久しぶりー!」
その時恐らく私達4人の思いは一致していた事でしょう。
ーーどうか、何も言わないで。お願いだからどこにも行かないで。
そんな祈りも虚しく1度目を見合わせた2人は微笑んでシャガート様とブラーナ様のそばを離れました。
「久しぶり、元気だった?ドレス似合ってる」
「可愛い」
アカリ様のそばに近寄り、アカリ様を褒め称え始めた2人から私は目を逸らすことしかできませんでした。
悲しげに俯くシャガート様、怒りと苦悩に震えるブラーナ様を見るのも辛かったのです。
レーブ公爵令息とカル辺境伯令息はアカリ様の背を押し手を引きながら離れていき、パーティの間中婚約者のそばに戻ってくることはありませんでした。
私はこの時、これが一番最悪な出来事だと思っていました。パーティの終盤に差し掛かるまでは。
アカリ様がそばに立っていました。
そばにいたメーレ様たちがきゅっと無表情になったのを感じたので慌てて私は進み出てアカリ様の前に立ちました。出来るだけアカリ様の前に立ち皆さんを隠すようにします。
アカリ様はベンネル第一王子、ブレイグ様、さらに複数の高位貴族の男性方と共にいました。皆さん婚約者がおられたはずですが、アカリ様と共に来たのでしょうか。
ベンネル第一王子はメーレ様の方を見ようともせずにアカリ様だけを見つめ、ブレイグ様は私達のドレスを一瞬見てからすぐにアカリ様の方に目を移しました。
「良かった、私こういう場所のマナー分かんなくて。あんまり女友達いないからさ、男子のマナーと違ったら困るから、ミアに教えてもらいたくて」
会場中探しちゃった!と笑うアカリ様。私はアカリ様の友人だったのでしょうか。貴族の礼儀として高位の方に対する礼をしてからアカリ様に答えます。
「男性と女性でパーティのマナーはさほど変わりませんし、学生の身ですから必要以上にマナーに気をつける場所でもないですよ。私もパーティには慣れていないですし、他の皆様に教えていただいた方がいいかと思われます…」
「あ、ミア達そのリボンお揃いなの?ドレスのデザインも似てる気がする、いいねそういうの、憧れちゃうなー!」
メーレ様たちとアカリ様を出来るだけ離すべくお断りの言葉をやんわりと告げようとしたのですが、アカリ様の興味は他の事に移っていたようでした。
アカリ様のドレスはピンク色の生地にピンク色のレース。ピンク一色のふりふりとしたドレスです。私が見ても分かるぐらい高級な素材が使われており、可愛らしい本人の見た目も相まって、悪目立ちしそうな少し子供っぽいドレスでも似合っています。
どうやらブレイグ様の贈るドレスはアカリ様には着てもらえなかったようですね。きれいなドレスでしたがアカリ様が着るには地味かもしれないと思っていたので納得です。
そんな風に考えていた私の思考はアカリ様がレーブ公爵令息とカル辺境伯令息を見て笑いかけた事で止まりました。
「あ!レーブ!カル!久しぶりー!」
その時恐らく私達4人の思いは一致していた事でしょう。
ーーどうか、何も言わないで。お願いだからどこにも行かないで。
そんな祈りも虚しく1度目を見合わせた2人は微笑んでシャガート様とブラーナ様のそばを離れました。
「久しぶり、元気だった?ドレス似合ってる」
「可愛い」
アカリ様のそばに近寄り、アカリ様を褒め称え始めた2人から私は目を逸らすことしかできませんでした。
悲しげに俯くシャガート様、怒りと苦悩に震えるブラーナ様を見るのも辛かったのです。
レーブ公爵令息とカル辺境伯令息はアカリ様の背を押し手を引きながら離れていき、パーティの間中婚約者のそばに戻ってくることはありませんでした。
私はこの時、これが一番最悪な出来事だと思っていました。パーティの終盤に差し掛かるまでは。
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