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第四章 宗教国家ローズベール

第185話 首都ローズベール

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「カイン達と一緒だったから、道中が楽しかったぜ。ありがとな。」

「こちらこそありがとう。オーシャン達と一緒で俺達も楽しかった。又模擬戦してもらっていいか?」

「もちろんだ。カインとの模擬戦は俺の為にもなるしな。しばらくは首都にいるだろうから声かけてくれ。」

「わかった。」

「ラックちゃんとスズちゃんもまたね。」

「キュイとアイスもまたにゃ。」
「はいっす。ありがとうっす。」

オーシャン達のパーティ『女神の盾』と別れて、カイン達は首都ローズベールの町を歩き出した。

「まずは宿にゃ。馬車旅で疲れたにゃ。ゆっくりできる所がいいにゃ。」

「ああそうだな。でもオーシャンにおススメの宿は聞いてるから大丈夫だ。オーシャン達とは違う場所みたいだけど、人気の宿らしい。」

「オーシャン達のおススメなら間違いないにゃ。早速行くにゃ。大きなベッドのある部屋を確保しなきゃいけないにゃ。スズ。一緒に行くにゃ。」

「はいっす。」

ラックはスズの手を取って、カインの前を先に進んで行った。目的地もわからずに・・・

「おいおい。どこにあるかわからないだろ?」

「たしかにそうにゃ。うっかりしてたにゃ。でどこにあるにゃ?」

「ああ。俺も詳しくは聞いてないから、行ってみないとわからないけど、大きくローズベールって書いてある看板が店の前にあるらしい。宿があるエリアは聞いてるから行ってみよう。」

「わかったにゃ。カインについて行くにゃ。宿を取ったら教会かにゃ?」

「そうだな。宿でちょっとゆっくりしてから教会に行こうと思う。ここの教会が、ローズベールの本部だからな。きっと大きいだろう。ゆっくり見物したいし、しっかりお祈りもしたい。この日の為に金貨500枚は確保してるしな。」

(まあこの金を寄付したらほとんど残らないから、明日からはしっかり依頼をこなして稼がないといけないんだけどな。リューコクを出る時にコイルさんに200枚私のが痛かったな。当面の貯金で思ってたけど、あそこまで言われたら出さない訳にはいかないよな。俺達の為に作ってくれるんだし。まあ安全を金で買えるんだからありがたい事なんだろうけど。)

「そうっす。そうっす。女神様に会えるかもしれないっす。オシャレしていかないと女神様に怒られるっす。」

「本当にゃ。アタシも着替えてから行く事にするにゃ。」

「いやいやそこまでしなくても普段着でいいだろ?」

「カインはわかってないにゃ。お金を寄付する事も一つにゃが、汚い恰好とキレイな格好なら、キレイな格好の方が女神様がお祈りを聞いてくれるはずにゃ。だからカインも着替えてシャワーを浴びてから行くべきにゃ。」

「そ、そうか。わかった。そこまで言うならラックの言う通りにするよ。」

(ラックって女神様案件はけっこう厳しいんだよな~。もしかしてラックって女神様の事知ってるのかな?スズは元々女神様のペットだったみたいだし、神の奇跡で現れたラックだって、女神様の元にいた可能性だってあるよな。いやさすがにそれは考えすぎか。どっちかって言うと、俺と同じ転生者って方が可能性はあるよな。俺と同じかそれ以上に地球の事に詳しいし。)

そして、カイン達は目当ての宿に付き、当然のように3人で一部屋借りた。オーシャンのおススメというだけあって部屋にお風呂は当然のようについていた。カイン達はそれぞれがシャワーを浴び、着替えた後に首都ローズベールの教会へと向かった。

「やっぱり大きいにゃ。」

「ああ。圧巻だな。」

首都ローズベールの教会は、今までカイン達が見てきたどの教会よりも大きかった。今まで見てきた中で一番大きかったのはアルプス王国の王都だが、ここの教会はそこの2倍以上の大きさと広さがあった。

(やばっ。ちょっと緊張してきた。これが本部か・・・。もしかして本当に女神様に会えたりするんじゃないか?今回は金貨500枚も寄付するし・・・。それにお偉いさんとか出てきそうだな。リューコクでもかなりの金額寄付したから、司祭の人がずっとニコニコしてたし。他の人がどれくらい寄付してるかはわからないけど、さすがに金貨500枚も寄付する人って大貴族ぐらいしかいないんじゃないか?・・・多分だけど。)

アルプス王国、サウザンド帝国ではお祈りする場所に寄付箱があり、そこに寄付していたので、誰がどれだけ寄付したかはあまりわからないようになっていたが、宗教国家ローズベールでは受付で寄付を渡す。モロに誰がどれだけ寄付するかわかるのだ。カインは神の奇跡の解放の為に多額の寄付を教会に行っている。リューコクの町では、ゴッドボールを3つ手に入れた事からもわかるように金貨1500枚は寄付している。

案の定、受付でカインが金貨100枚入った袋を5つ出すと、奥から豪華な法衣を纏った人が出てきた。

「あなたですか?多額の寄付をしてくださった冒険者というのは?」

「はい。女神様にはいつも助けて頂いております。寄付できる時はなるだけ寄付して感謝を伝えたいと思っておりますので。」

「素晴らしい事です。ローズベール様もきっとお喜びになるでしょう。」

(この人が喜びそうな事言ったけど、正解っぽいな。それよりこの人誰だろ?なんか当然知ってるだろ?みたいな雰囲気出してるから聞きづらいんだよな~。もちろん自分の名前なんて教えてくれないし。まあ教えてくれないなら俺も教えないけどね。鑑定したい所だけど、ここで使うとバレた時に大変だし。さすがに教皇ではないと思うから4人の枢機卿の内の誰かかな?)

そんな事を思いながら、現れた偉い人にひたすら腰を低く対応したカインは、その後教会の中に入っていき、女神像の前でお祈りをしたのだった。
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