上 下
152 / 193
第四章 宗教国家ローズベール

第152話 忘れていた報酬

しおりを挟む
※※※

多くのブクマと☆☆☆ありがとうございます。順調に週間順位もあがり非常にうれしく思います。一日三話公開は昨日まででしたが、この勢いがなくなって、順位が落ちていくのは怖いので、年末までは三話更新続けます。

引き続き、応援よろしくお願いいたします。

※※※

帝国から、王国へと戻ってきたカイン達は、平穏な日々を過ごしていた。

「ようやくこっちの生活にも慣れてきたにゃ。」

「戻ってきて1ヶ月だから。まあ帝国にいた時とやる事は変わってないから、俺からしたらそんなに変わったとか慣れたとか感じないけどな。」

「カインはわかってないにゃ。ホームは大事にゃ。ようやく家に帰ってきたんにゃ。落ち着くのが普通にゃ。いつもの枕じゃないとアタシは寝れないのにゃ。」

「いや、宿でもラックはいつもの枕を使ってただろ?」

「気分の問題にゃ。」

カイン達が帝国に向かう時、借りていた家は契約を解除していた。戻ってきて一番初めにしたのが、家の再契約だ。だが、元々カイン達の借りていた家は別の人がすでに使用していたため、再契約ができなかった。

別の場所を探そうとしたカイン達だったが、運よく1カ月後に空きになる事を知った為、1カ月間は宿暮らしをして、ようやく先日、再契約を果たしたのだ。

「まあ家が落ち着くっていうのは、同意ではあるがな。宿じゃなんか落ち着かないよな。」

「僕は宿も楽しかったすよ。」

「スズは宿に泊まった経験はあまりないもんな。初めて泊まったのだって、帝国から王国に帰る時ぐらいだろ?」

「そうっすね。それに夜営も楽しかったっす。ジェーン様やメアリー様と一緒に又お泊り会したいっす。」

「そうだな。あれから、ジェーン達とも会っていないな。まああっちは王族なんだ。俺みたいな庶民とは違うからな。」

「そんな事ないわよ!」

カイン達がリビングでゆっくりしていると、不意にドアが開いた。

「ジェーンにゃ。どうしたんにゃ?いきなり現れて?」

「いやそれよりも家には鍵がかかってただろ?どうやって入ったんだ?」

「そんな事はどうでもいいのよ。それより、どうして城に来ないのよ。ずっと待ってたのよ。」

(いや防犯は大事だろ。メアリーも澄ました顔で横にいるけど、君達。不法侵入は犯罪だからね。王族だからって犯罪は犯罪なんだよ。その辺わかってる?)

「いや、お城って言われても・・・用事もないし。それに庶民には王城なんて恐れ多いっていうか・・・なあ?」

「そうにゃ。お城には行ってみたかったけど、用事もないのに行くのは悪いにゃ。」

「僕もっす。」

「用事ならあるでしょ。」

「いや城に用事なんてないだろ?」
「そうにゃ。」
「はいっす。」

「本当に心当たりがないみたね。は~。カイン?貴方達はどうして私とメアリーと一緒に帝国まで行ったの?それも1年間も。」

「それはジェーンに頼まれて。」

「そうよ。私が頼んだよ。要は私が依頼して、カイン達が受けたって事よ。この意味わかる?」

「わかるにゃ。」

「ならどうして城に来ないのよ?」

「どういう事にゃ?」

「は~。」

(どういう事だ?確かに俺達はジェーンを護衛する為に帝国に向かった。護衛依頼・・・依頼・・・はっ!そういう事か。)

「カインはわかったみたいね。」

「ああ。すっかり忘れてたよ。依頼料をもらってない。」

「その通りよ。どうして受け取りに来ないのよ。ずっと待ってたのよ。あまりにも来ないから、バニーからカイン達が元々住んでた家を再度借りたって聞いてこちらから来たのよ。」

「そうだったのか・・・ゴメン。すっかり忘れてたよ。」

「まあ、城に来づらいっていうのはわかるから、報酬は持ってきてあげたわ。メアリー?」

メアリーは、ジェーンに言われ、大きな袋を二つ出した。

「この度はジェーン様と私を一年にもわたり護衛して頂きありがとうございました。こちらが報酬の金貨1000枚になります。お確かめください。」

「「「金貨1000枚⁉」

「大金にゃ。やったにゃ。大金持ちにゃ。」

「はいっす。これでパンが食べ放題っす。」

「カイン達には本当に感謝してるの。でもごめんなさい。今の私が用意できる金額がこの金貨1000枚なの。本来なら1年も護衛してもらったんだし、もっと用意するべきなんでしょうけど。」

(なるほど。そういう事か。1000枚って驚いたけど、少ないんじゃ?とも思ったんだよね。でもそう言った理由なら納得だ。それに元々忘れてし。)

「元々忘れてた事だし、金貨1000枚で全然オッケーだよ。」

(それにこれで女神様への寄付もできるし。これで転移魔法が使い放題だ。やったね。完全解放まで寄付してもまだ金貨500枚も残る。ラックやスズだってほしいだろうから、お金の分配方法は話合うとして、しばらくはゆっくりできそうだな。)

「そう言ってくれると助かります。王国が落ち着いたとは言え、問題も色々ありますから?」

「そう言えば、どうなんんだ?お兄さん達の問題は?」

「今はお父様が頑張ってるわ。兄二人もとりあえず静観してるって感じね。私もどうするか決めかねてるの。姉の代わりに女王を目指すっていうのも一つだけど、まだわからないわね。」

「ジェーン様が王様になるっすか?すごいっす。」

「まだまだ未熟だからやる事も多いんだけどね。」

「今はこっちの学校に通ってるのか?」

「ええ。帝国での1年は無駄じゃなかったわ。今は学校生活が楽しいもの。」

「そりゃよかった。何かあるなら言ってくれよ。城に行くのは勘弁だけど、困った事があるならなるだけ助けになるぞ?」

「ありがとう。助かるわカイン。」

そうして、カイン達は、久々に会ったジェーンとメアリーとの再会を喜ぶのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

【旧版】パーティーメンバーは『チワワ』です☆ミ

こげ丸
ファンタジー
=================== ◆重要なお知らせ◆ 本作はこげ丸の処女作なのですが、本作の主人公たちをベースに、全く新しい作品を連載開始しております。 設定は一部被っておりますが全く別の作品となりますので、ご注意下さい。 また、もし混同されてご迷惑をおかけするようなら、本作を取り下げる場合がございますので、何卒ご了承お願い致します。 =================== ※第三章までで一旦作品としては完結となります。 【旧題:異世界おさんぽ放浪記 ~パーティーメンバーはチワワです~】 一人と一匹の友情と、笑いあり、涙あり、もう一回笑いあり、ちょこっと恋あり の異世界冒険譚です☆ 過酷な異世界ではありますが、一人と一匹は逞しく楽しく過ごしているようですよ♪ そんなユウト(主人公)とパズ(チワワ)と一緒に『異世界レムリアス』を楽しんでみませんか?(*'▽') 今、一人と一匹のちょっと変わった冒険の旅が始まる! ※王道バトルファンタジーものです ※全体的に「ほのぼの」としているので楽しく読んで頂けるかと思っています ※でも、時々シリアスモードになりますのでご了承を… === こげ丸 ===

処理中です...