人類は仮想世界に移住しました。最強のアバターを手にいれたので、無双します

新人賞落選置き場にすることにしました

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エダの隠していた事

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 結局、黒猫丸のことは突き出さずに、旧棟をあとにすることにした。


 夕食の時間だったので、そのまま食堂へ行くことにした。


 玄関ホールの1階奥である。ほかのVDOOLたちも、食堂に集まっていた。


 注意深くあたりを見渡す。ノウノのことを監視しているという2人が、ノウノのことを遠くから見ていた。


 ノウノと目があうと、その2人はあわてたように目をそらしていた。


 黒猫丸が言うように、ノウノが警戒されていることは、間違いないようだ。


 ノウノは構わずに、バイキング形式になっている食事を、自分のテーブルに持って来た。
 何味かはわからないが、色とりどりのババロア。ムース。パンナコッタ。


「これが2人の情報です」
 と、クリナがその2人のことを、ディスプレイに表示させてくれた。
 赤毛のショートボブのアバターと、青髪のロングヘアーのアバターである。


「赤毛のほうが学園2位。フォロワー数が、120万ね。青髪のほうがフォロワー数118万で学園3位か」


 そしてもちろん1位は、フォロワー数300万オーバーの、女王である。


「どちらも学園では有名人です」


「100万人オーバーのVDOOLに警戒されてるなんて、光栄なことね」


「こうして見ると、上位3名は、ロジカルンが占めておるわけじゃな」
 と、エダが言った。


 バニラ味のババロアを口に入れる。ぷるぷるとゼリーみたいな感触が、口のなかで弾けて溶けてゆき、甘味が広がった。


「まあ、なんだかんだ言って、やっぱりロジカルンのアバターは優秀なんじゃない?」


 株式会社エモーションも、ロジカルンに負けず劣らず成長していると聞いていたが、蓋を開けてみれば、ロジカルンの圧勝である。


「じゃろうな」


 赤毛のショートボブのほうは、アルファ。
 青髪のロングヘアーのほうはベェタという名前らしい。
 ビッグバンでも起こしそうな名前じゃな、とエダが意味のわからないことを言った。
 まあ、覚えてやすくはあるな、とノウノは思った。


 クリナは野菜のおかわりを、食事の並べられている長机のほうに取りに行った。クリナは相変わらず野菜ばっかり食べてる。エダのほうも相変わらず何も食べないようだ。


「黒猫丸いわく、私はエルシノア嬢だと思われて、警戒されてるらしいけど、エダ的にはどう? 問題ないの?」


「むしろ、都合が良いじゃろう。向こうが違法な手を使って、我らを排除しようとして来たら、証拠をおさえてやる。それが狙いじゃ」


「私って、エルシノア嬢に似てるのかな?」


「そりゃ、エルシノア嬢のアバターも、おぬしのアバターも、吾輩が作ったんじゃからな」


「見た目じゃなくてさ。中身のほうだよ。意識モデルが似てるのかな――って。黒猫丸も、私のことをエルシノア嬢だと思ってたみたいだし。ロジカルンも、それを警戒して私のことを、マークしてるんでしょ」


「性格は似ておらん。ただ、数値としては似ておるんじゃろうな」


「数値?」


「前にもすこし話したが、脳内の伝達速度。それがエルシノア嬢に匹敵するという話じゃろう。まあ、簡単に言うと運動神経じゃな。オヌシはあの女王を超えるほどの運動神経を持っておる。当然じゃ。吾輩のモデルを操れる逸材を、吾輩が探し出したんじゃから」


 ノウノがVDOOLへの選考を落選しまくっているところ、エダが声をかけてくれたのだ。ノウノのポテンシャルを見抜いて、エダはそれを高く評価してくれているのだろう。


「まあ、悪い気分はしないよね。エルシノア嬢に似てるって言われてさ」


 エルシノア嬢は、今は垢BANされてしまっているが、たったひとり女王を上回った伝説的な存在なのだ。ノウノの憧れでもある。


「まあ、エルシノア嬢は、オヌシと違って、頭も良かったがな」


「私は頭が悪くて悪かったわね」


 言われたから、言い返したが、頭が悪いと言われてもべつに腹は立たなかった。
 エダも、ノウノに頭の良さまでは求めていないとわかっていたし、バトルという面では、ノウノが優秀であるとエダは認めてくれているからだ。


 でもさ――と、ノウノはつづけた。
「私がエルシノア嬢でないってことは、ロジカルンの人たちには、すぐにわかるはずじゃない?」


「何故、そう思う?」


「だって、エルシノア嬢のバックエンド――つまり、ほら、意識モデルは、データベースに格納されてるんでしょ? そういうのって、調べれば、すぐにわかると思うけど」


 意識だけが、暗闇のなかで、さまよい続けているらしい。
 想像するだけで恐ろしい。


「たしかに、記録としては残っとるじゃろうな。牢獄データベースの名簿には、エルシノア嬢の意識モデルは、たしかに格納されておる」


「捕まってるってことでしょ」


「うむ」


「その記録も残ってるんでしょ?」


「うむ」


「だったら、私がエルシノア嬢でないことぐらい、わかりそうなもんだけど。エルシノア嬢は捕まってるんだし」


「記録が真実とは限らんからな」


 エダはそう言うと、ババロアを指ではじいていた。弾力のあるババロアは、ぶるぶると銀色の皿の上で震えていた。


「どういう意味?」


「この世界において、確実なことなど、なにひとつない」


「はぁ?」


「オヌシが食べているのは何じゃ」


「えっと……バニラ味のパンナコッタ?」


 ちょうど口に入れたところだった。
 口のなかで、静かに溶けてゆく。


「たしかにそれはパンナコッタというデータとして、そこにある。しかし、ほんの少しデータを書き換えれば、パンナコッタは別物になる」


「まあ、この世界は二進数のうえで構築されてる、仮想世界だし、それはそうかもしれないけど」


「コードで記述されている以上、書き換えれば嘘も吐ける。オヌシが属している企業である、ロー・ミートが存在せぬように、存在せぬものも、存在していることにすることが出来る。もちろん好き勝手されては世界が崩壊しかねんから、国家やセキュリティ会社が、万全のセキュリティを強いているわけじゃがな」


「私にもわかるように言ってよ」


 エダはカメラレンズの縁を、指先でなぞっていた。
 声をひそめて続ける。


「文武両道才気煥発のエルシノア嬢が、本当にいまだに大人しくデータベースに捕まっていると思うか?」


 そう言われてギョッとした。
 嚥下していたパンナコッタを、吹き出しそうになった。


「なに? 脱獄したの?」


「仮に脱獄していても、記録を書き換えておけば、脱獄したことにはならんじゃろう――って話じゃ」


「それはそうかもだけど」


「ロジカルンも、それを承知しておるから、いちおう警戒しているんじゃろう。仮にエルシノア嬢が脱獄して、また女王を倒してしまったら事じゃからな」


「なるほどね」


 ロジカルンが、それほどまでに警戒するということは、エルシノア嬢というのは、よほど凄かったのだろう。
 ただ女王を倒したというだけなのに、まるで世紀の大犯罪者のような扱いである。


「せっかくじゃから、オヌシに話しておきたいことがある。吾輩の正体についてな。しかし、ここではなんじゃから、続きは部屋で話そう」


「わかった」


 エダには、相変わらず謎めいたところがある。それを教えてくれるという。すこしはノウノのことを信用する気になったのかもしれない。
 ぱぱっと食事を済ませて、寮でクリナと別れた。別れるといっても、ノウノとクリナは隣室である。


 部屋。


 石造りと木材家具のマテリアル調の、簡素な部屋。わずかにゴムの匂いがする。エダはノウノの胸に抱かれていたが、ひょいと跳びおりて、ベッドに腰かけた。


 ノウノは四脚椅子に腰かけた。まだ口のなかには、洋菓子の甘さが残っていた。満足感もあって、わずかに眠気を感じた。


「で、いよいよ正体を教えてくれるって話だけど?」


「吾輩の素性を聞くと、いよいよオヌシは後戻りできんぞ」


「ずいぶんとタめるじゃない。いいよ。いまさら、後戻りする気はないし。多少は怪しいところもあるけど、それは承知でここまで付いて来たわけだし」


「良かろう」


「でも、素性を教えられても、そんなに驚かないと思うよ。べつに私の知人ってわけでもないんでしょ」


「吾輩の本名は、エルシノアじゃ」


「は?」


「垢BANされて、牢獄データベースに意識モデルが格納されたあと、吾輩は脱獄を試みた。しかし強引に抜け出したから、意識モデルが破損してしまってな。今はもう、かつてのチカラはないわけじゃが」


「え、えぇぇっ。エダがエルシノア嬢なの?」
 驚きのあまり、四脚椅子から転げ落ちそうになった。
「なんじゃ、驚かんと言うたじゃろうが。そんなに大きい声を出したら、こっちまで驚いてしまうわ」


「いや、でもだって、エダは、エルシノア嬢のバックアップだったんじゃないの?」


「吾輩はモデリングもプログラミングも、全部自分でできるからな。自分で企業をたちあげて、自分で開発したアバターを、自分で操っていただけじゃ」


 本当にエダが、エルシノア嬢なのか。いままでのエダの言動を思い出した。なんとなく、そんな気がしてきた。


 エダは頭が良いし、アバターの開発技術も持っていた。
 意識モデルが破損しているために、自分でアバターを操るだけの計算能力がないとも言っていた。辻褄はあっている。


「マジ?」
 と、呆然とノウノはつぶやいた。


「さっき食堂で話したが、吾輩は脱獄しているが、記録としてはまだ捕まっていることになっておる。まあ、それが脱獄ということじゃからな」


「ホントに脱獄しちゃったんだ?」


「まあな」


 なるほど。エダがもっているロジカルンへの憎悪が、すこし理解できるような気がする。


 エダはべつに悪いことはしていない。ただ、優秀すぎたのだ。
 そのせいでロジカルンに捕まって、おまけに意識を破損して、今はそのような冴えないアバターで生きるしかなくなったわけだ。


 まあ、脱獄したのは、エダ自身の責任なのだが、捕まえたのはロジカルンであるから、原因はロジカルンにあるとも言える。


 それで――と、エダはつづけた。


「脱獄した吾輩は、オヌシが今使っているモデルを開発した。ロジカルンの不正を暴くためのアバターじゃ」


「うん」


「開発したは良いが、自分では扱えぬ。そこで吾輩は、なるだけ全盛期の自分に匹敵する数値を出す人材を探し出すことにした」


「それが私ってこと?」


「そうじゃ。優秀な人材でしか、吾輩のアバターを生かすことは出来ぬからな。オヌシはエルシノア嬢である吾輩が選んだのじゃ。黒猫丸がオヌシのことを、エルシノア嬢と間違えるのも無理はない」


 ノウノは、自分は運が良いと思っていた。24社もVDOOLの選考に落ちたすえに、とてつもなく良質なアバターを手に入れたのだ。


 しかし、それは偶然ではなかったのだ。
 エダが、ノウノのことを選んだのだ。
 ロジカルンへの復讐の道具として。


 悪い気はしない。ノウノは、あの伝説的なVDOOLであるエルシノア嬢に選ばれたということなのだから。


「でも、そのアバターじゃ、まさかエダがエルシノア嬢だなんて、誰も思わないわね」


「脱獄のさいに、意識モデルが破損さえしなかったら、自分でアバターを操って、女王に挑むことも出来たんじゃがな」


「私は、エルシノア嬢の意思を引き継いだ戦士ってところね」


「そうとも言えるかもしれん」


「でも、それならそうと最初から言ってくれれば良かったのに」


「吾輩がエルシノア嬢であることは、他言厳禁じゃ。信用できぬ相手に、迂闊に言えることではない。それに吾輩が正直に言うたところで、オヌシは信じなかったじゃろうしな」


「そうかもね」


 今なら、信じられる。
 エダが、そんなウソを吐くような人物でないことは知っているし、なんとなく合点がいくからだ。


「正直、あまり時間がない」
 と、エダはつぶやくように言った。


「時間?」


「吾輩の破損した意識モデルが、いつまで持つかはわからん」


「自分で修理したりできないの?」


「さすがに吾輩でも、自分の意識をいじることは出来ん。自分で自分の脳みそを手術するヤツなんて、おらんじゃろう」


「病院とかは?」


「吾輩の身の上では、病院など頼ることは出来ん。いちおう脱獄している身じゃからな」


「闇医者とかは?」


 闇医者なる存在が、この世界に存在しているのか、ノウノは知らない。なんとなくそう尋ねてみた。


「信用できん。意識モデルの治療には、高度な技術がいる。高度な技術を持っている医者にしか治せん」
 と、エダはかぶりを振った。


「じゃあ、エダは、死んじゃうってこと?」


「さあな。吾輩にもわからん。このモデルのまま生きながらえることが出来るかもしれんし、ある日、大破してしまうかもしれん」


 どう返せば良いのかわからない。


「不安ね」
 と、短く応じた。


 この2日で、ノウノはエダにたいして愛着を抱いている。中身が実はエルシノア嬢というから、なおさらだ。エダが死んでしまうのは、ノウノとしても悲しい。


 エダの今までの言動が、ノウノの脳裏をよぎった。


 辛そうに歩いていたり、やけに体重が軽かったり、負荷がかかるからと言って、食事を摂らなかったりしていた。


 意識の損傷というのが、どういうものかはわからない。だが、それ相応に辛いものがあるのだろう。


 そうまでして、ロジカルンへの復讐のために生きながらえているのだと思うと、この小さなカメラ小僧の存在が愛おしく感じられた。


「いずれにせよ、なるだけ事は急ぎたい。あらためて、我らの目的を確認する。フォロワーを集めて、女王をブッ飛ばす。そのさいにロジカルンが違法な手を使ってくるはずじゃから、その証拠をおさえてSNSにポストする。そのために、あらためて吾輩に手を貸して欲しい」


「もちろん。私だっていちおう、エルシノア嬢のこと、フォローしてるし。こんな立派なアバターをくれたんだから、協力は惜しまないよ」


「メンテナンスをしておくから、ベッドに横になれ」


「わかった」


 エダはこまめに、ノウノのアバターをメンテナンスしてくれる。
 身体にコードをつなぐと、大量にディスプレイが現れる。
 ノウノには理解のできない、言語の羅列。カタカタと、エダは小枝みたいな3本の指でタイピングをしている。

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