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黒猫丸の撮影関数
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「あぁ。美しい。この造形。完璧なモデリング。ウェイト計算にアーマチュア構築。おそらくバックエンドとのフェッチも完璧なのだろう」
黒猫丸は、ノウノのアバターのまわりをグルグルと周って、吟味するように視線を巡らせた。その目つきには、卑猥なものはなかった。
むしろ、美しい数式に陶酔するような、理知的なものを感じた。そのため、変態っぽい言動にも嫌悪感は抱かなかった。
ただ、ノウノのふとももに手を伸ばしてきたので、さすがに身を引いた。
「言っておくけど、私はエルシノア嬢じゃないわよ」
「隠さなくても良いのに。君の動きも、アバターもエルシノア嬢を彷彿とさせる。アバターを変えただけだということは、一目瞭然だよ」
「違うって言ってるでしょ」
「さっきも言ったように、俺は長いあいだ、ここに潜伏して、VDOOLの撮影を行ってきた。もちろんエルシノア嬢のデータも残っている。彼女の出現に、俺は胸を打たれたね。衝撃的だった。フロントエンド、バックエンドともに、最高の逸材だった。まるでこのバイナリー・ワールドに舞い降りた天使だった」
黒猫丸はそう熱弁した。
部屋に満ちていたディスプレイには、つぎつぎとエルシノア嬢の映像に切り替わってゆく。
白銀の髪に青みがかった瞳の娘。色合いは違うが、いまのノウノと、顔だちが、似ている。まるで姉妹みたいだ。
似ているのは、当然とも言える。
エルシノア嬢を開発したのはエダなのだ。
いまのノウノのアバターの開発者もエダである。
企業の色というのもある。ロジカルン製のアバターは、どこか共通したものがある。
株式会社エモーションのアバターは、株式会社エモーションの色がある。
アバターが似ているというのは、べつに珍しい話ではない。
しかし、黒猫丸が言いたいのは、そういうことではないのだろう。エルシノア嬢に入っていた意識と、ノウノのことを同じだと、勘違いしている様子である。
「どうして私が、エルシノア嬢だと思うのよ」
「客観的事実だ。エルシノア嬢の反応速度は、ほかの意識モデルとはくらべものにならなかった。あの女王よりも、優れた意識モデルを持っていたと断言できる。君の反応速度は、それに匹敵する」
「そう」
勘違いはなはだしいが、悪い気はしなかった。ノウノのことを褒めてくれているのだろう。
女王を倒した、あのエルシノア嬢と匹敵しているのなら、なおさら嬉しい。いちおうノウノも、エルシノア嬢のファンなのだ。
「結婚しよう」
黒猫丸はそう言うと、不意にノウノの手をつかんできた。
「は?」
「君の意識モデルは、最高の一品だ。俺は君の意識モデルと、自分の意識モデルを掛け合わせて、子供を作りたい」
エダは唖然としている様子だった。クリナは顔に手を当てて、まるで恥ずかしい現場に出くわしたかのような態度をしていた。
ずいぶんとド直球な、告白である。
言っていることは、だいぶヤバい。が、気色悪いとは不思議と感じなかった。
黒猫丸が端正な顔立ちをしているというのが、ひとつある。猫耳のついた黒いフードをかぶっている。そのフードの奥には、理知的な眉と、聡明そうな瞳がある。透き通るようなアルファ値の肌色に、薄い唇。なにより、黒猫丸からはやはり、下卑たものを感じないのだった。あくまで美しい数式に陶酔しているかのようだった。
そういえば、SNS倫理学の授業のときに、エダが言っていた。
優秀な脳みそを持っている相手と、自分の意識モデルを掛け合わせたい。人間とはそう感じるものらしい――と。
そういうことだろう。
「悪いけど、私はまだ子供を作る気はないわ。自分の意識を終わらせたくはないし」
と、黒猫丸の手を振り払った。
「もちろん、今すぐにとは言わない。気長に待つよ」
「ってか、私はべつにプロポーズされに来たわけじゃないのよ。あんたのこと捕まえに来たの。撮影するのは勝手だけど、許可なくアップロードするのは犯罪なんだから。勝手に私のバトル映像をポストしないでちょうだい」
「それは悪かった。しかし俺は、素直に捕まる気はないのだよ。その代わりに、君に良い情報を教えてあげられると思う」
「取引ってわけ?」
「そうだ。我が姫」
と、黒猫丸は仰々しく頭を下げた。
「私はまだ、あんたの妻になったつもりはないんだけど」
違法アップロードは犯罪だが、ノウノはべつに正義感に駆られて、やって来たわけではない。
黒猫丸を捕まえれば、お手柄ということになり、フォロワー増加につながると思ったから来ただけである。
それ以上の見返りがあるのなら、黒猫丸との交渉に乗ってやっても良い。エダも同じことを思ったのかもしれない。話だけでも聞いてみようではないか、とエダが言った。
そうこなくては、と黒猫丸は指をパチンと鳴らした。
すると、ディスプレイに投影されていた映像が、エルシノア嬢のものから、ノウノのものに切り替わった。
先日、この学園に来たときから、今までに関する、映像がいくつも撮影されていた。
「どうやって、こんなに大量の映像を撮影してたのよ。ドローンでも飛ばしてたわけ?」
「そんな古典的な方法はとらないよ。学園のあちこちに、撮影関数を仕込んであるのさ。もちろんセキュリティ会社やロジカルンには、見つからないようにね」
ここに至るまでの道中には、トラップがプログラミングによって仕掛けられていた。それと似たようなことだろう。
この学園を運営しているのは、ロジカルンである。ロジカルンは企業であるが、独立行政法人というだけあって、いちおう国の機関のひとつである。
そのロジカルンや、セキュリティ会社に見つからぬプログラムを仕込めるということは、それなりに技術を持っているのだろう。
「それで?」
「面白い映像が撮れていてね。これを見てみると良い」
黒猫丸がそう言って、ディスプレイに表示させたのは、ノウノが昼休憩をしているときの映像だった。
昼休憩。食堂でお菓子を食べて、SNS倫理学の教室へ向かうまでの映像だ。
途中で、中世騎士のアバターに絡まれているところも映っていた。
「私の映像みたいだけど」
「姫よりも、もう少し後ろだ」
と、黒猫丸は指を動かした。
その指の動きに合わせて、映像の位置が変わる。ノウノとクリナがいっしょに歩いている、その後ろから、ずっとつけている2人がいた。ノウノがSNS倫理学の教室に入ると、その2人は引き返していった。
「この2人は?」
「この映像だけじゃない。姫が昨日、ロジカルンの蛇女を倒したときから、この2人は姫のことを監視している」
姫という呼び方で定着したようだ。べつにそう呼ばれることに、強い嫌悪を感じるわけでもないし、訂正はしないでおいた。
それよりも――。
「監視って、どういうこと?」
「この2人は、同じヴェンヴ学園に属しているVDOOLだ。ロジカルンに属している」
ノウノのことを尾行していた2人のアバター。その映像が拡大された。その顔がハッキリと見て取れた。
この2人、私知ってます――と、クリナが言った。
ディスプレイに映されている2人は、フォロワー数ランキング2位と3位なのだとクリナが教えてくれた。
「バトルがしたいなら、直接言ってくれれば、買ってでるのに」
と、ノウノは呟いた。
ランキング2位と3位ということだから、ぶっ飛ばして勝つことが出来れば、ノウノの知名度はいっきに跳ね上がる。
「この2人は、女王の手先だよ。女王に言われて、君のことを調べているのさ」
「私の何を調べてんの?」
「女王――というか、おそらく裏についてる企業。ロジカルンは君のことを警戒している。俺と同じだよ。君のバックエンドが、あのエルシノア嬢じゃないかと勘付いている。編入してきた初日に、ロジカルン製のアバターを倒したんだから、警戒もされるってもんだ」
「いや、だから、私は違うってば」
「エルシノア嬢はかつて垢BANされているだろう。もしバレたら、また垢BANされるかもしれない。今後のバトルは、すこし実力を隠したほうが良いだろうね。それが俺からの助言だ」
「それは、どうも」
ロジカルンに目をつけられても、ノウノはべつに構わない。やましいことなど、ひとつもないのだ。
問題なのは、エダのほうだろう。
カメラ頭の小人であるエダに、ノウノは視線を向けた。
何を考えているのかは、その外見からはくみ取れない。
エダは指名手配されているというようなことを言っていた。しかし、アバターを変えて巧妙に隠しているそうだ。
だからといって、ロジカルンに目をつけられるのを嫌っているわけではないはずだ。むしろ、望んでいるところだ。
ロジカルンが仕掛けてきたところで、その証拠をエダは抑えようとしているのだ。向こうが警戒してくれているのは、チャンスととらえるべきだ。
「どうだい、俺からの助言は役に立っただろう?」
「だけど、私は、あの女王をぶっ飛ばすつもりなんだよね。だから、実力をセーブするのは難しいんだけど」
「女王とバトルするなら、フォロワーを集める必要があるよ」
「うん。その説明はもう聞いた」
「女王とのバトルが行われるVDOOL学園祭は20日後だ。10日後には、1次選考があり、フォロワー数上位10名が選出され、さらにその10名の中からもっともフォロワー数の高い者が、女王と戦う権利を得る」
「選考があるってのは聞いてたけど、あと10日しかないの?」
「ああ」
「じゃあ、やっぱり、あんたのことセキュリティ会社に突き出すわ。そうしないと、フォロワー増えないし」
ノウノは黒猫丸の腕をつかんだ。
「待て待て。わかった、わかった。姫のアカウントのフォロワーが増えるように、働きかけてみるから」
「そんなこと出来るの?」
「とにかく10日以内に、10位以内に入れば良いんだろう?」
「でも、違法なのは困るわよ」
「わかってる。SNSに君のバトルの切り抜き映像を、どんどん拡散させてやるよ。それが宣伝になって、姫のアカウントをフォローするように、誘導してみるから」
「え、本当? それは助かるわ」
突き出すよりも、良い効果を得られるかもしれないと思ったので、つかんでいた手を離した。
「しかし、女王を相手にするつもりとはね。やはり、エルシノア嬢の復活というわけか」
「だから、違うって言ってるのに」
黒猫丸は、ノウノのアバターのまわりをグルグルと周って、吟味するように視線を巡らせた。その目つきには、卑猥なものはなかった。
むしろ、美しい数式に陶酔するような、理知的なものを感じた。そのため、変態っぽい言動にも嫌悪感は抱かなかった。
ただ、ノウノのふとももに手を伸ばしてきたので、さすがに身を引いた。
「言っておくけど、私はエルシノア嬢じゃないわよ」
「隠さなくても良いのに。君の動きも、アバターもエルシノア嬢を彷彿とさせる。アバターを変えただけだということは、一目瞭然だよ」
「違うって言ってるでしょ」
「さっきも言ったように、俺は長いあいだ、ここに潜伏して、VDOOLの撮影を行ってきた。もちろんエルシノア嬢のデータも残っている。彼女の出現に、俺は胸を打たれたね。衝撃的だった。フロントエンド、バックエンドともに、最高の逸材だった。まるでこのバイナリー・ワールドに舞い降りた天使だった」
黒猫丸はそう熱弁した。
部屋に満ちていたディスプレイには、つぎつぎとエルシノア嬢の映像に切り替わってゆく。
白銀の髪に青みがかった瞳の娘。色合いは違うが、いまのノウノと、顔だちが、似ている。まるで姉妹みたいだ。
似ているのは、当然とも言える。
エルシノア嬢を開発したのはエダなのだ。
いまのノウノのアバターの開発者もエダである。
企業の色というのもある。ロジカルン製のアバターは、どこか共通したものがある。
株式会社エモーションのアバターは、株式会社エモーションの色がある。
アバターが似ているというのは、べつに珍しい話ではない。
しかし、黒猫丸が言いたいのは、そういうことではないのだろう。エルシノア嬢に入っていた意識と、ノウノのことを同じだと、勘違いしている様子である。
「どうして私が、エルシノア嬢だと思うのよ」
「客観的事実だ。エルシノア嬢の反応速度は、ほかの意識モデルとはくらべものにならなかった。あの女王よりも、優れた意識モデルを持っていたと断言できる。君の反応速度は、それに匹敵する」
「そう」
勘違いはなはだしいが、悪い気はしなかった。ノウノのことを褒めてくれているのだろう。
女王を倒した、あのエルシノア嬢と匹敵しているのなら、なおさら嬉しい。いちおうノウノも、エルシノア嬢のファンなのだ。
「結婚しよう」
黒猫丸はそう言うと、不意にノウノの手をつかんできた。
「は?」
「君の意識モデルは、最高の一品だ。俺は君の意識モデルと、自分の意識モデルを掛け合わせて、子供を作りたい」
エダは唖然としている様子だった。クリナは顔に手を当てて、まるで恥ずかしい現場に出くわしたかのような態度をしていた。
ずいぶんとド直球な、告白である。
言っていることは、だいぶヤバい。が、気色悪いとは不思議と感じなかった。
黒猫丸が端正な顔立ちをしているというのが、ひとつある。猫耳のついた黒いフードをかぶっている。そのフードの奥には、理知的な眉と、聡明そうな瞳がある。透き通るようなアルファ値の肌色に、薄い唇。なにより、黒猫丸からはやはり、下卑たものを感じないのだった。あくまで美しい数式に陶酔しているかのようだった。
そういえば、SNS倫理学の授業のときに、エダが言っていた。
優秀な脳みそを持っている相手と、自分の意識モデルを掛け合わせたい。人間とはそう感じるものらしい――と。
そういうことだろう。
「悪いけど、私はまだ子供を作る気はないわ。自分の意識を終わらせたくはないし」
と、黒猫丸の手を振り払った。
「もちろん、今すぐにとは言わない。気長に待つよ」
「ってか、私はべつにプロポーズされに来たわけじゃないのよ。あんたのこと捕まえに来たの。撮影するのは勝手だけど、許可なくアップロードするのは犯罪なんだから。勝手に私のバトル映像をポストしないでちょうだい」
「それは悪かった。しかし俺は、素直に捕まる気はないのだよ。その代わりに、君に良い情報を教えてあげられると思う」
「取引ってわけ?」
「そうだ。我が姫」
と、黒猫丸は仰々しく頭を下げた。
「私はまだ、あんたの妻になったつもりはないんだけど」
違法アップロードは犯罪だが、ノウノはべつに正義感に駆られて、やって来たわけではない。
黒猫丸を捕まえれば、お手柄ということになり、フォロワー増加につながると思ったから来ただけである。
それ以上の見返りがあるのなら、黒猫丸との交渉に乗ってやっても良い。エダも同じことを思ったのかもしれない。話だけでも聞いてみようではないか、とエダが言った。
そうこなくては、と黒猫丸は指をパチンと鳴らした。
すると、ディスプレイに投影されていた映像が、エルシノア嬢のものから、ノウノのものに切り替わった。
先日、この学園に来たときから、今までに関する、映像がいくつも撮影されていた。
「どうやって、こんなに大量の映像を撮影してたのよ。ドローンでも飛ばしてたわけ?」
「そんな古典的な方法はとらないよ。学園のあちこちに、撮影関数を仕込んであるのさ。もちろんセキュリティ会社やロジカルンには、見つからないようにね」
ここに至るまでの道中には、トラップがプログラミングによって仕掛けられていた。それと似たようなことだろう。
この学園を運営しているのは、ロジカルンである。ロジカルンは企業であるが、独立行政法人というだけあって、いちおう国の機関のひとつである。
そのロジカルンや、セキュリティ会社に見つからぬプログラムを仕込めるということは、それなりに技術を持っているのだろう。
「それで?」
「面白い映像が撮れていてね。これを見てみると良い」
黒猫丸がそう言って、ディスプレイに表示させたのは、ノウノが昼休憩をしているときの映像だった。
昼休憩。食堂でお菓子を食べて、SNS倫理学の教室へ向かうまでの映像だ。
途中で、中世騎士のアバターに絡まれているところも映っていた。
「私の映像みたいだけど」
「姫よりも、もう少し後ろだ」
と、黒猫丸は指を動かした。
その指の動きに合わせて、映像の位置が変わる。ノウノとクリナがいっしょに歩いている、その後ろから、ずっとつけている2人がいた。ノウノがSNS倫理学の教室に入ると、その2人は引き返していった。
「この2人は?」
「この映像だけじゃない。姫が昨日、ロジカルンの蛇女を倒したときから、この2人は姫のことを監視している」
姫という呼び方で定着したようだ。べつにそう呼ばれることに、強い嫌悪を感じるわけでもないし、訂正はしないでおいた。
それよりも――。
「監視って、どういうこと?」
「この2人は、同じヴェンヴ学園に属しているVDOOLだ。ロジカルンに属している」
ノウノのことを尾行していた2人のアバター。その映像が拡大された。その顔がハッキリと見て取れた。
この2人、私知ってます――と、クリナが言った。
ディスプレイに映されている2人は、フォロワー数ランキング2位と3位なのだとクリナが教えてくれた。
「バトルがしたいなら、直接言ってくれれば、買ってでるのに」
と、ノウノは呟いた。
ランキング2位と3位ということだから、ぶっ飛ばして勝つことが出来れば、ノウノの知名度はいっきに跳ね上がる。
「この2人は、女王の手先だよ。女王に言われて、君のことを調べているのさ」
「私の何を調べてんの?」
「女王――というか、おそらく裏についてる企業。ロジカルンは君のことを警戒している。俺と同じだよ。君のバックエンドが、あのエルシノア嬢じゃないかと勘付いている。編入してきた初日に、ロジカルン製のアバターを倒したんだから、警戒もされるってもんだ」
「いや、だから、私は違うってば」
「エルシノア嬢はかつて垢BANされているだろう。もしバレたら、また垢BANされるかもしれない。今後のバトルは、すこし実力を隠したほうが良いだろうね。それが俺からの助言だ」
「それは、どうも」
ロジカルンに目をつけられても、ノウノはべつに構わない。やましいことなど、ひとつもないのだ。
問題なのは、エダのほうだろう。
カメラ頭の小人であるエダに、ノウノは視線を向けた。
何を考えているのかは、その外見からはくみ取れない。
エダは指名手配されているというようなことを言っていた。しかし、アバターを変えて巧妙に隠しているそうだ。
だからといって、ロジカルンに目をつけられるのを嫌っているわけではないはずだ。むしろ、望んでいるところだ。
ロジカルンが仕掛けてきたところで、その証拠をエダは抑えようとしているのだ。向こうが警戒してくれているのは、チャンスととらえるべきだ。
「どうだい、俺からの助言は役に立っただろう?」
「だけど、私は、あの女王をぶっ飛ばすつもりなんだよね。だから、実力をセーブするのは難しいんだけど」
「女王とバトルするなら、フォロワーを集める必要があるよ」
「うん。その説明はもう聞いた」
「女王とのバトルが行われるVDOOL学園祭は20日後だ。10日後には、1次選考があり、フォロワー数上位10名が選出され、さらにその10名の中からもっともフォロワー数の高い者が、女王と戦う権利を得る」
「選考があるってのは聞いてたけど、あと10日しかないの?」
「ああ」
「じゃあ、やっぱり、あんたのことセキュリティ会社に突き出すわ。そうしないと、フォロワー増えないし」
ノウノは黒猫丸の腕をつかんだ。
「待て待て。わかった、わかった。姫のアカウントのフォロワーが増えるように、働きかけてみるから」
「そんなこと出来るの?」
「とにかく10日以内に、10位以内に入れば良いんだろう?」
「でも、違法なのは困るわよ」
「わかってる。SNSに君のバトルの切り抜き映像を、どんどん拡散させてやるよ。それが宣伝になって、姫のアカウントをフォローするように、誘導してみるから」
「え、本当? それは助かるわ」
突き出すよりも、良い効果を得られるかもしれないと思ったので、つかんでいた手を離した。
「しかし、女王を相手にするつもりとはね。やはり、エルシノア嬢の復活というわけか」
「だから、違うって言ってるのに」
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