1 / 27
仮想世界の住人はアバターで生きてます
しおりを挟む
「ターゲット捕捉。レーザー光線を射出」
高層ビルの立ち並ぶなか。ノウノ・キャロットは、逃げ回っていた。
人がひとり通れるぐらいの路地裏に潜り込む。身体を横にしてカニ走りのように進んでいく。
そんなノウノを、追跡ドローンが追いかけてくる。「ターゲット確認」と機械音をあげて、赤いレーザーを放ってくる。
「お、おわわわっ」
路地裏を抜け出して、すこし太い道へと抜け出した。
間一髪、レーザーを躱した。
空ぶったレーザーは、ガラス張りの建物の壁に直撃していた。カフェか何かだったのかもしれない。
中に居た人たちが、「おや?」という表情をしているのが見てとれた。
しかし、建物に傷がつくことはない。レーザーが当たった壁には、ジジジ……とノイズが走るだけだ。
ドローンは空ぶったことを気にも留めず、ノウノを追いかけてくる。
ふたたびレーザー。
今度は避けきれなかった。
ノウノの膝あたりにレーザーが直撃した。激痛というほどではない。注射を刺されるような鋭い痛みが走って、思わず屈みこんだ。
「くそぅ。こんなところで死んでたまるか。ぜったいVDOOLになってやるんだからっ」
後ろからドローンが迫って来ている。銃口らしき穴が、赤く光っているのが見えた。ふたたびレーザーを撃とうとしているのだろう。
「どりゃぁぁぁ!」
ドローンの高度が下がっていた。この距離だったら、届く。そう思った。ノウノは意を決して、ドローンに跳びかかった。
ドローンのレーザーが射出される。躱せる。そう感じた。身体をひねろうとする。しかし、考えていたように身体が付いて来ない。首をひねって、辛うじてかわした。頬のあたりを、レーザーがかすめる。頬に注射のような痛み。ジジジ。ノイズの走る音。でも、届く。届くはずだ。
ぐっと手を伸ばす。あぁ……。ダメだ。ドローンはまるでノウノのことを小馬鹿にするかのように、ひょいと後ろに下がった。
ノウノの手が空中でクロールをするかのように、空を切る。
「くっ……」
あと少し手が届けば……。
やっぱりこんな身体では、VDOOLには届かないのか。
時間の流れがゆっくりに感じる。自分の身体が重力計算に負けて、落下していくのがわかる。空。今日は雲ひとつない晴天。陽光を受けて、ドローンが銀色の身体をにぶく光らせている。
ドローンはふたたび銃口を、赤く光らせている。見えている……見えているのに。頭では、わかってるのに。身体が追い付かない。ドローンはレーザーを射出した。
ピュン、ピュン――と、レトロゲームみたいな嘘くさい電子音が響く。ノウノの額にレーザーが直撃した。
「ぐはっ」
額に鋭い痛み。まるで空中を泳ぐかのように浮いていたノウノは、地面に叩き付けられることになった。
仰向け。恒星がまぶしい。アスファルトの地面。背中が熱い。起き上がろうとして、寝返りをうつように身体を転がした。
そんなノウノの背中に、ドローンがレーザーを撃ちつけた。
「痛いっ。痛いって! ギブ。ギブ!」
ノウノがそう叫ぶと、ぶーっ、とまるでクイズに不正解したみたいな音が響いた。その音を受けて、ようやっとドローンは撃つのを止めてくれた。容赦のないドローンである。背中がチクチク痛む。
うつ伏せに倒れ伏しているノウノの目の前に、青いウィンドウが現れる。
「株式会社エモーションより通達。ノウノ・キャロット。1次選考落選」
ウィンドウの右上に出ているクローズボタンを押すと、ウィンドウが消えた。
「はぁぁ」
やはりダメか。
VDOOLの応募は、これで24社目である。株式会社エモーションは、今もっとも伸びている企業であり、トップ企業であるロジカルンを上回る勢いだという噂を耳にした。狙い目だと思ったが、高望みだったのかもしれない。
「くそっ」
コブシを地面に叩き付ける。アスファルトの地面に、ジジジとノイズが走る。拳が痛くなった。それだけだ。
気だるげに立ち上がった。帰ろう。株式会社エモーションには、何か挨拶でもしておいたほうが良いんだろうか? まあ、別に良いよな。落選してるんだし。
ノウノはとぼとぼと大通りに出た。いままで聞こえなかった喧騒が、どっと耳に押し寄せてきた。
大通りでは、いろんな人が行き交っている。ロボットの形をしている人。ゴミ袋の形をしている人。戦車の形をしている人。宇宙人みたいなヤツから、蟻みたいなキショい形のヤツもいる。
各々のアバターである。かくいうノウノも人の形ではない。ウサギの着ぐるみみたいな形をしている。
「おい急げよ。女王が来てるんだって」「マジで? コンサートか何か?」「いや。ロジカルンが次世代アバターの販売を開始するから、それのお披露目だって」……。行き交う人たちの会話が聞こえてきた。
女王が来てるのか――。
見に行こうか迷った。べつに行くあてもない。考えるよりも先に、足が動いていた。女王がいる具体的な場所はわからなかったが、わざわざ端末で調べる間でもなかった。雑踏の流れに身を任せていると、女王のいる場所へとついた。
女王とは言っても、べつに王権神授説のうえに顕現しているわけではない。あだ名だ。トップ企業ロジカルンの広告塔。看板VDOOL。この世界において、もっともフォロワー数が多く、彼女がなにか呟けば、それが世界中にまたたく間に浸透する。だから、女王。
女王は、壇上に居た。
ひときわ高いところから、まさに女王よろしく、群がる民衆を睥睨している。紫色のロングヘアー。一本一本が繊細になびく。端正な顔立ち。計算され尽くした美しい四肢。紫色の髪の毛を基調にした、青と白い軍服のようなものを着ていた。まるでスポットライトのように、陽光が女王に向けられていた。
「女王。最強のVDOOL」
と、ノウノは独りごちた。
『VDOOL』というのは、企業の広告塔のことを言う。
我が企業には、これだけのアバターが作製できますよ、というアピールになる。悪い言い方をすれば、マネキンである。が、ただのマネキンではない。大量のフォロワーがつく。金がうなるほど入ってくる。世界からチヤホヤされる。誰しもが憧れる存在だった。
ごらんください――と、男の声がひびいた。おそらくロジカルンの社員なのだろう。司会役だろうか。
「これが我が社ロジカルンの技術を駆使したヴァージョン3・0です。このバイナリー・ワールドにおいても、指先の神経までリンクしており、細かい作業まで難なく行うことができます」
女王が、みんなの前であやとりをして見せていた。女王の指先が器用に動いている。やはりロジカルンはすごい。このバイナリー・ワールドのなかでは、思ったように動けないことが多々ある。細かい作業などは特に難しい。ノウノの身体なんて、ふやけたソーセージみたいな指が3本しかない。あやとりなんて、このアバターでは、出来そうにもない。
私も、あれぐらいのモデルがあれば、さっきの試験だって通過できたのになぁ、とノウノは思った。
「それでは、VDOOLによる模擬戦を行ってみましょう。今回のヴァージョン3・0では意識モデルとのフェッチ速度も向上しており、またより滑らかな挙動を可能にしています」
各企業は、自社のVDOOLを使って、他社のVDOOLとバトルをすることが多い。
バトルはアバターの動きがよくわかるし、他社のアバターとの性能差も、目に見えてわかるからだ。
配信映えもするし、勝てばフォロワーを獲得できる。むしろ、それがVDOOLの本業とも言える。
まあ、早い話――
企業の代表として、他社のアバターを粉砕するのがVDOOLの役目である。
「どなたか、この女王と手合せしたいと思う方はいらっしゃいませんか?」
司会役がそう問いかけてきた。
今回は模擬戦ということだから、他社とのバトルじゃなくて、この場で相手を見繕うらしかった。
観衆がざわついた。
「どうするよ?」「お手合わせしてもらったら良い経験にはなるだろうけどさ」「どうせ勝てないし、惨めになるだけだよな」「俺もバックについてる企業があるから、勝手にバトルはできないわ」……とのことだ。
ウサギアバターの胸裏にて、どくん、と心臓が高鳴った。
「私、やります!」
と、ノウノは挙手した。
ノウノのアバターは自作である。べつに企業のバックアップがついているわけではないし、負けても誰にも迷惑はかからない。勝てずとも見どころがあれば、ロジカルンから声がかかるかもしれない。24社も選考落ちしてきたのは、このときのためだったのかもしれない。ロジカルンは最強企業である。拾ってもらえれば御の字だ。
「おーっ」と、観衆からは拍手と声援がおくられた。
「それでは舞台に上がってください」
と、司会役が言った。
壇上にのぼる。下から見ると、たいして大きな舞台には見えなかった。実際に上がってみると、途方もなく広く感じられた。
白い舞台。
正面。
女王が紫色の髪をなびかせて、ノウノのことを無感情に見つめていた。
勝てない。それはわかってる。でも、せめて一発ぐらいは殴る。
「それでは、カウントダウンを行います」
巨大なウィンドウが、空中に表示された。ウィンドウには「3」の文字が現れる。「2」「1」「GO!」。先に動いたのは女王だった。
気づくと女王は目の前にいた。意表を突かれたということもあり、ほとんど目視できなかった。
だが、反応はできた。
女王が下から拳を突き上げてくる。ノウノは上体をそらして、それを躱そうとした。
ダメだ。
アバターが動かない。
女王の速度に追いついていない。顎にまともに拳をくらった。身体が浮き上がるのがわかった。態勢を立て直そうとするものの、アバターが言うことをきかなかった。そのまま仰向けに倒れこむことになった。
「そこまで」と司会役がストップをかけた。
え?
終わり?
あまりにも呆気ない。
「ま、まだ……」
まだやれます。そう言おうとした。女王が、ノウノを覗き込んできた。「ザコ」。そうつぶやくと、脇腹を蹴りつけてきた。ノウノは転がるようにして、舞台から落っこちた。
痛覚設定には上限が決められているはずだが、それでもけっこう効いた。
左の脇腹に鈍痛が与えられた。転がり落ちた衝撃で、あちこち痛んだ。さっきの株式会社エモーションの選考のときに受けた痛みも残っている。
「次の挑戦者は、いらっしゃいますか」
と、司会役はもう話を進めてしまっている。
「やっぱりロジカルンは凄いなぁ」「俺も次はロジカルンのアバターに変えようかなぁ」「よく言うぜ。そんな金ないくせに」「ロジカルンのアバターを買えるのは、社長ぐらいにならないとな」……観衆がそう呟いている。
ノウノの話題にはいっさい触れられない。まるでボロ雑巾にでもなった気分だ。
観衆のなかに落っこちたノウノは、おもむろに立ち上がった。瞬殺すぎて、悔しいという感情も沸いて来ない。ただただ惨めである。
帰ろう。
そう思ったとき、ノウノのウサミミが反応する言葉があった。
「やっぱり女王に勝てるアバターなんてないよな」「エルシノア嬢ぐらいじゃなくちゃな」「たしかにエルシノア嬢なら勝てたかもな」「女王もすごいけど、やっぱり俺はエルシノア嬢のほうが好きだな」「たしかにエルシノア嬢は凄かったけど、今は垢BANされてるんだろ」「違法なアバターを使ってたとかで」……。
エルシノア嬢。
この世界。バイナリー・ワールドにおいて、ロジカルンのVDOOLが常に、トップに君臨している。
トップに君臨しているというのは、フォロワー数がいちばん多いということだ。フォロワー数の多さこそが、最強の証である。世界を従えるチカラを持っているということだ。
しかし、一度だけ、ロジカルンのVDOOLが敗北したことがある。彗星のごとく現れたVDOOLだった。
無名の企業が出したアバターモデルで、その名前はエルシノア。最強ロジカルンのアバターを上回る性能を見せつけたのだ。
実際、バトルで女王を圧倒した。
最強企業ロジカルンのアバターを負かしたのだから、大事件になった。
ロジカルンはそもそも私企業ではない。独立行政法人という位置づけになっている。詳しい経営態勢はわからないが、国家の一機関である。そりゃ凄いものが出来る。その国家機関のアバターを、無名企業が上回ったのだから事件にもなるというものだ。
エルノシア嬢は、またたく間に有名人になった。
しかしほんの数ヵ月で姿を消してしまった。
どうして消えたのかは、ノウノは詳しくは知らない。噂によると、違法なアバターを使用していただとか、エルノシア嬢のバックアップを行っていたところが、架空の企業だったとか何とか……。
架空の企業が、ロジカルンを上回るアバターを制作できたのかという謎も残る。
エルシノア嬢について、ノウノがちょっと詳しいのは、ノウノもエルシノア嬢のファンだったからだ。実はフォローもしている。こっちが勝手にフォローしてるだけで、エルシノア嬢からは認知もされていなかっただろうけど。
今は、エルシノア嬢のアカウントは凍結されているようで、死んだように反応がない。
「ん?」
膝裏に突かれたような感触があったため、振り返った。頭部がカメラの姿になっている小人がいた。ノウノはウサギの着ぐるみみたいな姿をしているが、そのノウノの膝あたりまでしか背丈のない小人だった。
アバターに体格差はあまり関係がない。大きさにはある程度、規約があるけれど、アバターを交換すれば大きさはいつでも変化する。ここで言う、小人、というのは、一般的なアバターの大きさに比べて、小さいという意味だ。
っていうか、頭がカメラの形になっていることに比べれば、身体の大きさがどうといった話は些末な問題である。
カメラ小僧は、群衆をかきわけて抜け出して行く。振り向いて、手招きをしてくる。私を呼んでる? 女王のお披露目会はもう良い。帰ろうとしていたところだ。この場に居るのが恥ずかしいぐらいである。この場から離れる理由を見つけた気がして、ノウノはそのカメラ小僧に付いて行った。
もしかして、株式会社エモーションの人が私のことを呼びに来たのではないか、と思った。1次選考落選は何かの間違いで、もう一度、選考のチャンスが与えられるのかも……と、淡い期待を抱いた。
カメラ小僧はマントのようなものを羽織っており、身体部分がどうなっているのかは、わからなかった。もしかすると、身体はないのかもしれない。手抜きモデルなら、そういうこともありうる。
高層ビルに挟まれた大通りを歩いて行く。陽光を受けて、ビルがまばゆく反射している。ほとんどの人が、女王にくぎ付けになっているせいか、人通りはすくなかった。
女王の観衆からは、拍手の音が響いてくる。何かあったんだろうか? もしかしてまた挑戦者が倒されたのかもしれない。
「あ、あの……」
と、カメラ小僧の背中に、ノウノは声をかけた。
カメラ小僧は、株式会社エモーションとは、別の方向に歩いているらしかった。ノウノをどこに誘おうとしているのか、わからなくなったので、その小さい背中に声をかけたのだった。
「VDOOLになりたいんじゃろ」
カメラ小僧は思ったよりも、透き通った声でそう言った。
「どうして、わかるんですか?」
「ここ最近の、VDOOLへの応募者を観察しておった。オヌシには見どころがある。意識モデルの処理速度は良い。ただモデルがポンコツなだけじゃ。もう少しマトモなアバターを用意すれば、オヌシは輝ける」
つまり、スカウトか。
ちょっと感動してしまった。今まで24社落ちてきた。どこも拾ってくれなかった。ようやっと見る目のある人が現れたのだと思った。
いや、しかし待てよ――と、同時に警戒心もかまくびをもたげる。怪しい話かもしれない。
仮想通貨をハッキングで奪われたりとか、アバターにウィルスを混入されたりする事件も世の中にはあって、ときには卑猥なアバターを見せつける事件などもある。このカメラ小僧も、マントをがばっと開けば、卑猥な姿をしているかもしれない。
「どこかの企業の方ですか?」
「うむ」
「企業の名前を聞いても良いですか? い、いや。疑っているとかではなくてですね。今まで私が応募した企業なのか気になって」
不審者かもしれないが、もしどこかの企業の関係者だったら、疑ったことが失礼にあたる。しかし不審者でないかどうか確認しておきたかった。
「小さい企業じゃ。聞いたことはないかもしれない」
「でも、せっかく声をかけてくださったのだし、教えてください」
「クロディアス。ただの個人企業だ」
と、カメラ小僧はつぶやくように言った。
「クロディアス……。それって」
かつてエルシノア嬢をバックアップしていた企業である。冗談を言っているような口調でもない。
しかし、その企業は存在していないはずだ。
架空企業だったとか、噂を耳にしている。
「信用できないのも無理はない。しかし吾輩は、オヌシにおおきなチカラを授ける準備がある。もしも、女王を上回るインフルエンサーになりたいと思うならば、付いてくると良い」
高層ビルの立ち並ぶなか。ノウノ・キャロットは、逃げ回っていた。
人がひとり通れるぐらいの路地裏に潜り込む。身体を横にしてカニ走りのように進んでいく。
そんなノウノを、追跡ドローンが追いかけてくる。「ターゲット確認」と機械音をあげて、赤いレーザーを放ってくる。
「お、おわわわっ」
路地裏を抜け出して、すこし太い道へと抜け出した。
間一髪、レーザーを躱した。
空ぶったレーザーは、ガラス張りの建物の壁に直撃していた。カフェか何かだったのかもしれない。
中に居た人たちが、「おや?」という表情をしているのが見てとれた。
しかし、建物に傷がつくことはない。レーザーが当たった壁には、ジジジ……とノイズが走るだけだ。
ドローンは空ぶったことを気にも留めず、ノウノを追いかけてくる。
ふたたびレーザー。
今度は避けきれなかった。
ノウノの膝あたりにレーザーが直撃した。激痛というほどではない。注射を刺されるような鋭い痛みが走って、思わず屈みこんだ。
「くそぅ。こんなところで死んでたまるか。ぜったいVDOOLになってやるんだからっ」
後ろからドローンが迫って来ている。銃口らしき穴が、赤く光っているのが見えた。ふたたびレーザーを撃とうとしているのだろう。
「どりゃぁぁぁ!」
ドローンの高度が下がっていた。この距離だったら、届く。そう思った。ノウノは意を決して、ドローンに跳びかかった。
ドローンのレーザーが射出される。躱せる。そう感じた。身体をひねろうとする。しかし、考えていたように身体が付いて来ない。首をひねって、辛うじてかわした。頬のあたりを、レーザーがかすめる。頬に注射のような痛み。ジジジ。ノイズの走る音。でも、届く。届くはずだ。
ぐっと手を伸ばす。あぁ……。ダメだ。ドローンはまるでノウノのことを小馬鹿にするかのように、ひょいと後ろに下がった。
ノウノの手が空中でクロールをするかのように、空を切る。
「くっ……」
あと少し手が届けば……。
やっぱりこんな身体では、VDOOLには届かないのか。
時間の流れがゆっくりに感じる。自分の身体が重力計算に負けて、落下していくのがわかる。空。今日は雲ひとつない晴天。陽光を受けて、ドローンが銀色の身体をにぶく光らせている。
ドローンはふたたび銃口を、赤く光らせている。見えている……見えているのに。頭では、わかってるのに。身体が追い付かない。ドローンはレーザーを射出した。
ピュン、ピュン――と、レトロゲームみたいな嘘くさい電子音が響く。ノウノの額にレーザーが直撃した。
「ぐはっ」
額に鋭い痛み。まるで空中を泳ぐかのように浮いていたノウノは、地面に叩き付けられることになった。
仰向け。恒星がまぶしい。アスファルトの地面。背中が熱い。起き上がろうとして、寝返りをうつように身体を転がした。
そんなノウノの背中に、ドローンがレーザーを撃ちつけた。
「痛いっ。痛いって! ギブ。ギブ!」
ノウノがそう叫ぶと、ぶーっ、とまるでクイズに不正解したみたいな音が響いた。その音を受けて、ようやっとドローンは撃つのを止めてくれた。容赦のないドローンである。背中がチクチク痛む。
うつ伏せに倒れ伏しているノウノの目の前に、青いウィンドウが現れる。
「株式会社エモーションより通達。ノウノ・キャロット。1次選考落選」
ウィンドウの右上に出ているクローズボタンを押すと、ウィンドウが消えた。
「はぁぁ」
やはりダメか。
VDOOLの応募は、これで24社目である。株式会社エモーションは、今もっとも伸びている企業であり、トップ企業であるロジカルンを上回る勢いだという噂を耳にした。狙い目だと思ったが、高望みだったのかもしれない。
「くそっ」
コブシを地面に叩き付ける。アスファルトの地面に、ジジジとノイズが走る。拳が痛くなった。それだけだ。
気だるげに立ち上がった。帰ろう。株式会社エモーションには、何か挨拶でもしておいたほうが良いんだろうか? まあ、別に良いよな。落選してるんだし。
ノウノはとぼとぼと大通りに出た。いままで聞こえなかった喧騒が、どっと耳に押し寄せてきた。
大通りでは、いろんな人が行き交っている。ロボットの形をしている人。ゴミ袋の形をしている人。戦車の形をしている人。宇宙人みたいなヤツから、蟻みたいなキショい形のヤツもいる。
各々のアバターである。かくいうノウノも人の形ではない。ウサギの着ぐるみみたいな形をしている。
「おい急げよ。女王が来てるんだって」「マジで? コンサートか何か?」「いや。ロジカルンが次世代アバターの販売を開始するから、それのお披露目だって」……。行き交う人たちの会話が聞こえてきた。
女王が来てるのか――。
見に行こうか迷った。べつに行くあてもない。考えるよりも先に、足が動いていた。女王がいる具体的な場所はわからなかったが、わざわざ端末で調べる間でもなかった。雑踏の流れに身を任せていると、女王のいる場所へとついた。
女王とは言っても、べつに王権神授説のうえに顕現しているわけではない。あだ名だ。トップ企業ロジカルンの広告塔。看板VDOOL。この世界において、もっともフォロワー数が多く、彼女がなにか呟けば、それが世界中にまたたく間に浸透する。だから、女王。
女王は、壇上に居た。
ひときわ高いところから、まさに女王よろしく、群がる民衆を睥睨している。紫色のロングヘアー。一本一本が繊細になびく。端正な顔立ち。計算され尽くした美しい四肢。紫色の髪の毛を基調にした、青と白い軍服のようなものを着ていた。まるでスポットライトのように、陽光が女王に向けられていた。
「女王。最強のVDOOL」
と、ノウノは独りごちた。
『VDOOL』というのは、企業の広告塔のことを言う。
我が企業には、これだけのアバターが作製できますよ、というアピールになる。悪い言い方をすれば、マネキンである。が、ただのマネキンではない。大量のフォロワーがつく。金がうなるほど入ってくる。世界からチヤホヤされる。誰しもが憧れる存在だった。
ごらんください――と、男の声がひびいた。おそらくロジカルンの社員なのだろう。司会役だろうか。
「これが我が社ロジカルンの技術を駆使したヴァージョン3・0です。このバイナリー・ワールドにおいても、指先の神経までリンクしており、細かい作業まで難なく行うことができます」
女王が、みんなの前であやとりをして見せていた。女王の指先が器用に動いている。やはりロジカルンはすごい。このバイナリー・ワールドのなかでは、思ったように動けないことが多々ある。細かい作業などは特に難しい。ノウノの身体なんて、ふやけたソーセージみたいな指が3本しかない。あやとりなんて、このアバターでは、出来そうにもない。
私も、あれぐらいのモデルがあれば、さっきの試験だって通過できたのになぁ、とノウノは思った。
「それでは、VDOOLによる模擬戦を行ってみましょう。今回のヴァージョン3・0では意識モデルとのフェッチ速度も向上しており、またより滑らかな挙動を可能にしています」
各企業は、自社のVDOOLを使って、他社のVDOOLとバトルをすることが多い。
バトルはアバターの動きがよくわかるし、他社のアバターとの性能差も、目に見えてわかるからだ。
配信映えもするし、勝てばフォロワーを獲得できる。むしろ、それがVDOOLの本業とも言える。
まあ、早い話――
企業の代表として、他社のアバターを粉砕するのがVDOOLの役目である。
「どなたか、この女王と手合せしたいと思う方はいらっしゃいませんか?」
司会役がそう問いかけてきた。
今回は模擬戦ということだから、他社とのバトルじゃなくて、この場で相手を見繕うらしかった。
観衆がざわついた。
「どうするよ?」「お手合わせしてもらったら良い経験にはなるだろうけどさ」「どうせ勝てないし、惨めになるだけだよな」「俺もバックについてる企業があるから、勝手にバトルはできないわ」……とのことだ。
ウサギアバターの胸裏にて、どくん、と心臓が高鳴った。
「私、やります!」
と、ノウノは挙手した。
ノウノのアバターは自作である。べつに企業のバックアップがついているわけではないし、負けても誰にも迷惑はかからない。勝てずとも見どころがあれば、ロジカルンから声がかかるかもしれない。24社も選考落ちしてきたのは、このときのためだったのかもしれない。ロジカルンは最強企業である。拾ってもらえれば御の字だ。
「おーっ」と、観衆からは拍手と声援がおくられた。
「それでは舞台に上がってください」
と、司会役が言った。
壇上にのぼる。下から見ると、たいして大きな舞台には見えなかった。実際に上がってみると、途方もなく広く感じられた。
白い舞台。
正面。
女王が紫色の髪をなびかせて、ノウノのことを無感情に見つめていた。
勝てない。それはわかってる。でも、せめて一発ぐらいは殴る。
「それでは、カウントダウンを行います」
巨大なウィンドウが、空中に表示された。ウィンドウには「3」の文字が現れる。「2」「1」「GO!」。先に動いたのは女王だった。
気づくと女王は目の前にいた。意表を突かれたということもあり、ほとんど目視できなかった。
だが、反応はできた。
女王が下から拳を突き上げてくる。ノウノは上体をそらして、それを躱そうとした。
ダメだ。
アバターが動かない。
女王の速度に追いついていない。顎にまともに拳をくらった。身体が浮き上がるのがわかった。態勢を立て直そうとするものの、アバターが言うことをきかなかった。そのまま仰向けに倒れこむことになった。
「そこまで」と司会役がストップをかけた。
え?
終わり?
あまりにも呆気ない。
「ま、まだ……」
まだやれます。そう言おうとした。女王が、ノウノを覗き込んできた。「ザコ」。そうつぶやくと、脇腹を蹴りつけてきた。ノウノは転がるようにして、舞台から落っこちた。
痛覚設定には上限が決められているはずだが、それでもけっこう効いた。
左の脇腹に鈍痛が与えられた。転がり落ちた衝撃で、あちこち痛んだ。さっきの株式会社エモーションの選考のときに受けた痛みも残っている。
「次の挑戦者は、いらっしゃいますか」
と、司会役はもう話を進めてしまっている。
「やっぱりロジカルンは凄いなぁ」「俺も次はロジカルンのアバターに変えようかなぁ」「よく言うぜ。そんな金ないくせに」「ロジカルンのアバターを買えるのは、社長ぐらいにならないとな」……観衆がそう呟いている。
ノウノの話題にはいっさい触れられない。まるでボロ雑巾にでもなった気分だ。
観衆のなかに落っこちたノウノは、おもむろに立ち上がった。瞬殺すぎて、悔しいという感情も沸いて来ない。ただただ惨めである。
帰ろう。
そう思ったとき、ノウノのウサミミが反応する言葉があった。
「やっぱり女王に勝てるアバターなんてないよな」「エルシノア嬢ぐらいじゃなくちゃな」「たしかにエルシノア嬢なら勝てたかもな」「女王もすごいけど、やっぱり俺はエルシノア嬢のほうが好きだな」「たしかにエルシノア嬢は凄かったけど、今は垢BANされてるんだろ」「違法なアバターを使ってたとかで」……。
エルシノア嬢。
この世界。バイナリー・ワールドにおいて、ロジカルンのVDOOLが常に、トップに君臨している。
トップに君臨しているというのは、フォロワー数がいちばん多いということだ。フォロワー数の多さこそが、最強の証である。世界を従えるチカラを持っているということだ。
しかし、一度だけ、ロジカルンのVDOOLが敗北したことがある。彗星のごとく現れたVDOOLだった。
無名の企業が出したアバターモデルで、その名前はエルシノア。最強ロジカルンのアバターを上回る性能を見せつけたのだ。
実際、バトルで女王を圧倒した。
最強企業ロジカルンのアバターを負かしたのだから、大事件になった。
ロジカルンはそもそも私企業ではない。独立行政法人という位置づけになっている。詳しい経営態勢はわからないが、国家の一機関である。そりゃ凄いものが出来る。その国家機関のアバターを、無名企業が上回ったのだから事件にもなるというものだ。
エルノシア嬢は、またたく間に有名人になった。
しかしほんの数ヵ月で姿を消してしまった。
どうして消えたのかは、ノウノは詳しくは知らない。噂によると、違法なアバターを使用していただとか、エルノシア嬢のバックアップを行っていたところが、架空の企業だったとか何とか……。
架空の企業が、ロジカルンを上回るアバターを制作できたのかという謎も残る。
エルシノア嬢について、ノウノがちょっと詳しいのは、ノウノもエルシノア嬢のファンだったからだ。実はフォローもしている。こっちが勝手にフォローしてるだけで、エルシノア嬢からは認知もされていなかっただろうけど。
今は、エルシノア嬢のアカウントは凍結されているようで、死んだように反応がない。
「ん?」
膝裏に突かれたような感触があったため、振り返った。頭部がカメラの姿になっている小人がいた。ノウノはウサギの着ぐるみみたいな姿をしているが、そのノウノの膝あたりまでしか背丈のない小人だった。
アバターに体格差はあまり関係がない。大きさにはある程度、規約があるけれど、アバターを交換すれば大きさはいつでも変化する。ここで言う、小人、というのは、一般的なアバターの大きさに比べて、小さいという意味だ。
っていうか、頭がカメラの形になっていることに比べれば、身体の大きさがどうといった話は些末な問題である。
カメラ小僧は、群衆をかきわけて抜け出して行く。振り向いて、手招きをしてくる。私を呼んでる? 女王のお披露目会はもう良い。帰ろうとしていたところだ。この場に居るのが恥ずかしいぐらいである。この場から離れる理由を見つけた気がして、ノウノはそのカメラ小僧に付いて行った。
もしかして、株式会社エモーションの人が私のことを呼びに来たのではないか、と思った。1次選考落選は何かの間違いで、もう一度、選考のチャンスが与えられるのかも……と、淡い期待を抱いた。
カメラ小僧はマントのようなものを羽織っており、身体部分がどうなっているのかは、わからなかった。もしかすると、身体はないのかもしれない。手抜きモデルなら、そういうこともありうる。
高層ビルに挟まれた大通りを歩いて行く。陽光を受けて、ビルがまばゆく反射している。ほとんどの人が、女王にくぎ付けになっているせいか、人通りはすくなかった。
女王の観衆からは、拍手の音が響いてくる。何かあったんだろうか? もしかしてまた挑戦者が倒されたのかもしれない。
「あ、あの……」
と、カメラ小僧の背中に、ノウノは声をかけた。
カメラ小僧は、株式会社エモーションとは、別の方向に歩いているらしかった。ノウノをどこに誘おうとしているのか、わからなくなったので、その小さい背中に声をかけたのだった。
「VDOOLになりたいんじゃろ」
カメラ小僧は思ったよりも、透き通った声でそう言った。
「どうして、わかるんですか?」
「ここ最近の、VDOOLへの応募者を観察しておった。オヌシには見どころがある。意識モデルの処理速度は良い。ただモデルがポンコツなだけじゃ。もう少しマトモなアバターを用意すれば、オヌシは輝ける」
つまり、スカウトか。
ちょっと感動してしまった。今まで24社落ちてきた。どこも拾ってくれなかった。ようやっと見る目のある人が現れたのだと思った。
いや、しかし待てよ――と、同時に警戒心もかまくびをもたげる。怪しい話かもしれない。
仮想通貨をハッキングで奪われたりとか、アバターにウィルスを混入されたりする事件も世の中にはあって、ときには卑猥なアバターを見せつける事件などもある。このカメラ小僧も、マントをがばっと開けば、卑猥な姿をしているかもしれない。
「どこかの企業の方ですか?」
「うむ」
「企業の名前を聞いても良いですか? い、いや。疑っているとかではなくてですね。今まで私が応募した企業なのか気になって」
不審者かもしれないが、もしどこかの企業の関係者だったら、疑ったことが失礼にあたる。しかし不審者でないかどうか確認しておきたかった。
「小さい企業じゃ。聞いたことはないかもしれない」
「でも、せっかく声をかけてくださったのだし、教えてください」
「クロディアス。ただの個人企業だ」
と、カメラ小僧はつぶやくように言った。
「クロディアス……。それって」
かつてエルシノア嬢をバックアップしていた企業である。冗談を言っているような口調でもない。
しかし、その企業は存在していないはずだ。
架空企業だったとか、噂を耳にしている。
「信用できないのも無理はない。しかし吾輩は、オヌシにおおきなチカラを授ける準備がある。もしも、女王を上回るインフルエンサーになりたいと思うならば、付いてくると良い」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
歴史改変大作戦
高木一優
SF
※この作品は『歴史改変戦記「信長、中国を攻めるってよ」』第一部を増補・改稿したものです。
タイムマシンによる時間航行が実現した近未来、歴史の謎は次々に解明されていく。歴史の「もしも」を探求する比較歴史学会は百家争鳴となり、大国の首脳陣は自国に都合の良い歴史を作り出す歴史改変実験に熱中し始めた。歴史学者である「私」はひとつの論文を書き上げ、中国政府は私の論文を歴史改変実験に採用した。織田信長による中華帝国の統一という歴史改変を目的とした「碧海作戦」が発動されたのだ。これは近代において、中華文明を西欧文明に対抗させるための戦略であった。神の位置から歴史改変の指揮を執る私たちは、歴史の創造者なのか。それとも非力な天使なのか。もうひとつの歴史を作り出すという思考実験を通じて、日本、中国、朝鮮の歴史を、おちょくりつつ検証する、ちょっと危ないポリティカル歴史改変コメディー。

とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~
海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。
再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた―
これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。
史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。
不定期更新です。
SFとなっていますが、歴史物です。
小説家になろうでも掲載しています。
「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )
あおっち
SF
とうとう、AXIS軍が、椎葉きよしたちの奮闘によって、対馬市へ追い詰められたのだ。
そして、戦いはクライマックスへ。
現舞台の北海道、定山渓温泉で、いよいよ始まった大宴会。昨年あった、対馬島嶼防衛戦の真実を知る人々。あっと、驚く展開。
この序章3/7は主人公の椎葉きよしと、共に闘う女子高生の物語なのです。ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。
いよいよジャンプ血清を守るシンジケート、オリジナル・ペンタゴンと、異星人の関係が少しづつ明らかになるのです。
次の第4部作へ続く大切な、ほのぼのストーリー。
疲れたあなたに贈る、SF物語です。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武
潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる