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第二章 黒煙

第十話 ワティスさん

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「ワティスさん、ただいま」
「おお、クコお帰り。またルークさんと遊んでおったのか?」

 クコはワティスさんの前なのでぶりっ子モードになってワティスさんに抱き着いた。あの豹変ぶりにはおどろきだ。

「ルークが作物をいっぱい持ってるんだってさ、家畜のえさに使えるものなんだけど買い取れないかなって」
「こら、クコ。年上にはさんをつけなさい」
「いいんですよ。僕はクコちゃんと友達なので」
「そうですか。家畜の餌になる作物をお持ちで」
「そうなんです」

 クコのぶりっ子に付き合いつつワティスさんにヒマワリの種を見せた。ワティスさんは興味津々にヒマワリの種を一つ取り見つめる。

「これが家畜のえさに・・・」

 ワティスさんはヒマワリを知らないみたい。クコってやっぱり物知りだな、神としてあがめられている人を知っているくらいだから知ってて当然だと思うけど。

「そうだよ~、特に鳥さんが好きなんだって~、あと油も取れるから料理にも使える物なんだって~」

 ええ、最後の油って部分は聞いてないんだけど、それにまるで僕が言ったみたいになってる。ってそりゃそうか、クコが知ってたらおかしいことになるもんね。

「そうなんですな~。ですが鶏に白いものを食べさせると黄身が白くなってしまってあまり好まれないのですよ。ですから牛や豚に食べさせることになるかと」
「じゃあ売れそうですか?」
「餌となると値段が全てですよ。おいくらにしますか?」

 う~ん、タダみたいな物だからな~。

「ちなみに普通の家畜のえさっていくらくらいなんですか?」
「そうですね~ 牛は藁ですが食べる量が凄いので一日大銅貨2枚といった所ですね。ただ運ぶ値段を入れないでです。運ぶのは自分達でやる事でコストが安くなるわけです」

 流石に牛の餌分ほどの量はもっていないと思うけど、200万粒ってどのくらいなのかな?

「一キロ銅貨2枚といった所ですね」

 取りあえず同じ値段でやってみようかな。

「じゃあ同じ値段でお願いします」
「わかりました。ここら辺では初めて見る物ですので最初は売れないと思いますが気長に売りましょう。現物はいつ頃持ってきますか?」
「じゃあ今」
「えっ、まさかアイテムバッグをお持ちで?」
「あ、はい」

 ワティスさんは僕の言葉を聞いてアイテムバッグを持っていると推測して凄い剣幕で迫ってきた。僕は思わず肯定してしまう。

「そうなのですか、いや~これはこれはルークさんは高名な冒険者なのですね」
「えっと・・・Eランクです」
「・・・ではお父様の形見とか?」
「いえ、父さんは自分が小さな時に死んだと聞きました」
「そうでしたか・・何だかすいません」
「いえこちらこそ」

 ワティスさんのアイテムバッグへの熱が僕との会話で鎮火していく、こういった事からワティスさんは悪い人じゃないのが伺える。

「コホン、では倉庫に案内します」

 ワティスさんは立ち上がって下への階段へ歩いて行った。ワティスさんの家は二階建ての大きな家なのだが地下もあるみたい、地下へ降りていくとひんやりとして来た。

「私自慢の冷蔵部屋です。一定の温度で管理していますので生ものなどを長時間保存できます」

 氷の魔法を封じた魔石にマナを供給する事で一定の温度を維持しているようです、魔石ってまだ手に入れてないよね。

「魔石ってどうやって作るんですか?」
「宝石にマナを注ぎ続けるんですよ。高位の魔法使いが三日三晩交代で注ぎ続けてやっと出来る物なんです。自慢じゃないですが高いんですよ」

 ほうほう、それってアイテムバッグと同じって事じゃないかな。という事はモナーナの杖の宝石って魔石になってるんじゃ?

「では確かにお預かりしました。お金は売れてからでも構いませんか?何せ初めて売る物なので、売れなかったら引き取りになると思いますし」
「大丈夫です、僕もお試しみたいなものですから」

 ワティスさんには迷惑になりそう、何だか悪いのでお近づきの印に何か上げようかな。

「ワティスさん、今回こんな我儘に付き合ってもらうので迷惑料としてこれをどうぞ、うちの畑で取れたものです」
「これは・・・サクランボですか?それにしては大きいような」

 サクランボを取り出してワティスさんに渡す。後々これも売るつもりだから試しに食べてみてほしいし一石二鳥だよね。

「遠慮せずにいただきますね。食後のデザートに食べましょう」

 目標は達したので僕もおいとましよう。

「では僕はこれで」
「あ、はい、何のお構いも出来なくて」
「いえいえ、ではまた~」

 ワティスさんにお辞儀をして家を出た。クコもついてくるようでワティスさんに手を振っている。
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