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第一章 始まり

第三十三話 やりすぎルーク

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「やはり、というか何というか」

 メイはルークの作る弓と杖を見て呆れていた。モナーナの製作所から、数々の伝説の武器が生まれている。メイはその光景に呆れたのだ。

「クルシュ様なら、うまく使っていただけるだろうか?」

 流石のクルシュ様でもこれ以上ルークの能力を知って、自分を保っていられるか心配になるメイ。ルークの装備はどれもが伝説の武器、防具なのだ。それを独占できれば魔物はもちろんこの世界を牛耳る事ができるだろう。メイは悩みだした。

「ルークさんに制限をつけた方が良さそうね」

 製作廃人になりつつあるルークはモナーナの杖以外に一本の宝石のついていない杖を作ってハイテンションになり、別の武器を作り始めている。そんな姿を見てメイはそう言葉をこぼした。

「って言ってる傍から3本作ってる」

 早く止めないとルークの武器が大量に出来てしまう。メイは製作所に入っていきルークの耳を引っ張って椅子に座らせると紅茶をコップに注いでいった。

「痛いじゃないか!何するんですか」
「なにするじゃありません。自重してください。落ち着いて一息ついて、紅茶をどうぞ」
「ルーク何したの?」

 耳を引っ張られたルークは耳を抑えて抗議をしたがメイの圧に押されて紅茶を口に運んだ。モナーナはメイの言葉にまたルークが何かをしたと思ったのか心配している。

「ハァ~、ルークさん、あなたは異常なスキルを持っているんですよ。自覚してください。これ以上伝説級の武器や防具は作らないように」
「ええ~」

 木をコネコネしてただけで伝説級の武器や防具を作っていたの?僕は首を傾げて驚いた。やっぱりスキル7って凄い物なんだね。

「それも物の数秒で伝説級を作ってしまうなんて、それも数本」
「流石にやり過ぎだよルーク」

 メイとモナーナに呆れられてしまいました、トホホ。でもでも、作る物すべてがそんな感じだからしょうがないじゃないか。製作するなって言われても作りたいんだもん。

「作っちゃダメなの?」
「そうは言いませんけど程々にしてください。そうですね。一日一本でどうでしょうか?」
「ええ~」

 一日一本じゃつまらないよ~。素材が溜まる一方じゃないか。日課の掃除はほぼ毎日やっているし、偶に行く討伐依頼も最近行くようになったし、討伐すると骨がいっぱいになってくるからどうしても溜まっていくんだよね。骨細工は色々作ってモナーナ魔道具店で常備品になってるけど、それはもう日課的な生産になってるからつまらないんだよね。

「素材が溜まっちゃうよ」
「それはギルドで買い取ってもらえばいいじゃないですか」
「ううっ」

 ごもっともです。そういえばギルドの買取は一度もやってもらっていなかった。

「私も付き添いますから今から行きましょ」
「保護者付きでギルドに行ったら笑われるよ」

 僕の講義も虚しくメイは僕についてくるようです。恥ずかしいけど僕の抵抗は無駄に終わったのでしょうがない。

 モナーナは店番があったので仕方なく僕らを見送りました。





 ギルドにつくと買い取り専門の受付へ向かった。ニャムさんはお休みなので見渡してもいなかった、というよりベッドで寝ているはずです。

「いらっしゃいませ、今日は依頼じゃないんですね」

 買い取りを請け負う受付は依頼の受付とは違う場所、ニャムさんがいつもいる受付から右奥のカウンター。
 僕自身は初めて話すんだけど相手のお姉さんは僕の事を知っているみたい、何だか恥ずかしい。

「ルークさんが買い取りを初めてしてもらうようなので付き添いできました」
「ちょっとメイさん!それは言わなくてもいいじゃないですか」
「いえいえ、こう言う事はちゃんと言わないと」

 保護者同伴ですと揶揄うようにお姉さんに言うメイさん。僕は顔が熱くなるのを感じながら講義するけどメイさんは笑いながら必要だと話す。そう言う事言うならもっと真顔で言ってほしい、笑い過ぎです。

「ふふ、そうなんですね。私はノーラといいます。今回はどういった魔物の素材ですか?」

 優しく微笑んだノーラさん、僕はすぐに数個のアイテムをアイテムバッグを入れている大きなバッグから取り出す。全部出すとアイテムバッグを持っているのがバレそうなので用心しています。

「これです」
「これは・・Cランクのフォーハンドベアーの毛皮ですね。解体も綺麗ですね。解体もしているんですか?」
「あ、はい、自分でやってます」
「そうなんですね。今回はこれだけですか?」
「他のは魔物ではなくて鉱物なんですけど」

 アイテムバッグから金やミスリルを取り出した。流石にダイヤを出すのはやばいと思ったのでやめておきました。

「金とミスリルのインゴットですね。純度もかなり高いですね。インゴットにするのもご自分で?」
「はい」
「・・そうですか」

 ノーラさんは少し腑に落ちない様子で頷いた。普通、インゴットにするにはドロドロに熱して型に入れるものなのだがこのインゴットにはそれをした様子が見られない。インゴットにするとどうしても型に残っている前の物の破片がインゴットの形を変えてしまう、しかし、これにはそれが一切ない。ノーラは不審に思いながらも価値を計算していく。

「まずはフォーハンドベアーですが解体状態がいい物ですので銀貨2枚ですね」

 おお、Cランクの魔物の毛皮が銀貨2枚。冒険者って結構儲かる仕事なのかな?

「金とミスリルのインゴットですが、両方ともに純度が高いようなので金は大金貨10枚、ミスリルは大金貨15枚になります」
「へ?」

 高い高すぎるよ。確かに金のインゴットだから金貨になるとは思っていたけどミスリルはそれ越えちゃってる。

「ルークさん、どうしたんですか?」
「だって大金貨25枚になっちゃったんだよ」
「はい、そうですね。これでも安いくらいですよ。金を売る場合は領主にお伺いしますからその手数料がとられているんです。それがどうしたんですか?」

 驚いているとメイさんが僕の肩に手を掛けて声をかけた。金ってやっぱり通貨にも使われてるからそういう手間があるんだね。でも、一瞬で25枚の大金貨が手に入っちゃって僕はドギマギ。それなのにメイさんはとても冷静です。やっぱり貴族のメイドさんは僕とは住む世界が違うんですね。

「この位の金額、一流の冒険者の方なら普通でしょう」
「一流ならそうかもしれませんけど、僕は三流より下ですよ」
「・・・そうでしたね」

 メイさんは僕の力を知ってしまっていたので当然といった様子だったようです。クルシュ様から僕の能力を露見するのを未然に防ぐようにと言われているメイさんだったけど今回は大丈夫なのかな?

「フォーハンドベアーの毛皮もインゴットも私の持ち物なので勘違いしないようにお願いしますね」
「あ、はいわかりました」

 メイさんは圧をかけてノーラさんに話した。やっぱり忘れていたようで今更隠そうとしている。しっかりした人だと思ってたけどメイさんって結構抜けてるかも。

 少し目立ちながらも僕とメイさんは買取金額を受け取ってギルドを後にした。
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