35 / 165
第一章 始まり
第三十四話 大切な物
しおりを挟む
「自分で言っておいて失策でした!」
僕とメイさんはギルドから帰ってモナーナ魔道具店に帰ってきた。メイさんは申し訳なさそうに机にでこを押し付けてうなだれている。
メイさんは軽い気持ちで素材を売ったらどうですかと言っただけ、実行したのは僕なんだから悪いのは僕だよ、メイさんは悪くない。
「冒険者ランクがEランクとは思わなかったんです」
「そこですか?」
メイさんは僕の思っていた事ではない事でうなだれてました。
ごめんなさい、僕らはまだEランクなんです。
「ですが大丈夫、あのノーラという係員には私の素材だと言ってあります」
「そ、そうですよね」
変な自信を滾らせてガッツポーズをするメイさん。これ以上有名にはなりたくないので穏便に済むならそれでお願いします。
「ルークは凄いからダメかもね」
「ちょっとモナーナ」
すっごい笑顔でモナーナが縁起でもない事をいっています。僕は楽して暮らしたいだけなんです。
でもよくよく考えると楽して暮らすにはお金が必要でお金は何かを売らないと得られないんだよね。まあ依頼を達成しても得られるけど、掃除じゃせいぜい大銅貨だしね。
だから今回みたいな買い取りなどを利用しないと得られないわけで、どうしても目立つことになっちゃう。それなら、クルシュ様のお抱えになって定期的にお金をもらった方がいいのかな~なんて思った。
あ、そういえばクルシュ様に頼まれてた金の指輪が出来た事を言うの忘れてた。
「そういえば頼まれてた金の指輪が出来てるんだけどもっていく?」
「あ~クルシュ様が言っていた金の指輪30個ですね。2個くらいですか?」
「30個ですよ」
「え?・・・まさか、冗談ですよね」
「いえ、30個全部ですよ」
「・・・」
「メイさん、諦めて。ルークだから」
僕の発言にうなだれて机に頭を打ちつけたメイさん、モナーナの慰めの言葉を聞いても元には戻らなかった。
通常、装備に付与を行うには強弱があるものの最低でも一日は魔力を注がないと作れない。魔法スキルである今回の金の指輪については[ヒール]という初級魔法が付与されているが、魔法を付与するというのは最高級品である。アイテムバッグは三日注ぐといったがそれと同じくらいは要しなくてはいけないはずなのだ。それを30個となると単純に3か月以上かかる計算になる、ルークは異常だ。
「しばらくはそちらで保管してください。流石に早すぎです」
「そ、そうですか」
「ルークって製作になると容赦ないからね」
メイさんは呆れかえって紅茶を口に運んだ。モナーナも何だか呆れているようです。
僕は納得いかない、何がいけないんだろう?ただ頼まれたものを早く作っただけじゃないか。
「これからは私が管理しないといけないんですね」
「ええ~」
「メイさん、ルークは旅に出たいとも思っているんです。どうにかできませんか?」
「そうですか。ではモナーナさんも?」
「その予定です」
モナーナもその決意は固いみたい、お店はどうしよう。
「では、モナーナ魔道具店にはプラムをつけましょう。売る商品は定期的にギルドを通して配達すれば大丈夫ですし」
「そんなことできるんですか?」
「はい、大丈夫ですよ。最終的にはクルシュ様が決められると思いますが」
モナーナと話した時は悲しいけどお店を売るっていう話をしていたけどそう言ってもらえるなら甘えちゃおう。
「今度クルシュ様の屋敷に行かれる時にこの話をしましょう」
「そうですね・・・」
「モナーナさん、どうしたんですか?」
「えっあれ?」
大切なお店を売るという心配事がなくなりホッとしたのかモナーナが泣き出した。ポロポロと流す涙が床にシミを作る。僕はいてもたってもいられずにモナーナを抱きしめた。
モナーナはやっぱりこのお店が大事だったんだ。お父さんが死んでしまった事でこのお店がお父さんの代わりになってたんだね。いつの間にかメイさんはいなくなっていてお店にはモナーナのすすり泣く声が響いた。
モナーナはひとしきり泣き終わると眠ってしまった。ベッドに寝かせてあげると可愛らしい寝顔を見せてくれた。
今日は僕が店番をするから大丈夫、心の中でそう思って眠るモナーナの部屋を後にした。
僕とメイさんはギルドから帰ってモナーナ魔道具店に帰ってきた。メイさんは申し訳なさそうに机にでこを押し付けてうなだれている。
メイさんは軽い気持ちで素材を売ったらどうですかと言っただけ、実行したのは僕なんだから悪いのは僕だよ、メイさんは悪くない。
「冒険者ランクがEランクとは思わなかったんです」
「そこですか?」
メイさんは僕の思っていた事ではない事でうなだれてました。
ごめんなさい、僕らはまだEランクなんです。
「ですが大丈夫、あのノーラという係員には私の素材だと言ってあります」
「そ、そうですよね」
変な自信を滾らせてガッツポーズをするメイさん。これ以上有名にはなりたくないので穏便に済むならそれでお願いします。
「ルークは凄いからダメかもね」
「ちょっとモナーナ」
すっごい笑顔でモナーナが縁起でもない事をいっています。僕は楽して暮らしたいだけなんです。
でもよくよく考えると楽して暮らすにはお金が必要でお金は何かを売らないと得られないんだよね。まあ依頼を達成しても得られるけど、掃除じゃせいぜい大銅貨だしね。
だから今回みたいな買い取りなどを利用しないと得られないわけで、どうしても目立つことになっちゃう。それなら、クルシュ様のお抱えになって定期的にお金をもらった方がいいのかな~なんて思った。
あ、そういえばクルシュ様に頼まれてた金の指輪が出来た事を言うの忘れてた。
「そういえば頼まれてた金の指輪が出来てるんだけどもっていく?」
「あ~クルシュ様が言っていた金の指輪30個ですね。2個くらいですか?」
「30個ですよ」
「え?・・・まさか、冗談ですよね」
「いえ、30個全部ですよ」
「・・・」
「メイさん、諦めて。ルークだから」
僕の発言にうなだれて机に頭を打ちつけたメイさん、モナーナの慰めの言葉を聞いても元には戻らなかった。
通常、装備に付与を行うには強弱があるものの最低でも一日は魔力を注がないと作れない。魔法スキルである今回の金の指輪については[ヒール]という初級魔法が付与されているが、魔法を付与するというのは最高級品である。アイテムバッグは三日注ぐといったがそれと同じくらいは要しなくてはいけないはずなのだ。それを30個となると単純に3か月以上かかる計算になる、ルークは異常だ。
「しばらくはそちらで保管してください。流石に早すぎです」
「そ、そうですか」
「ルークって製作になると容赦ないからね」
メイさんは呆れかえって紅茶を口に運んだ。モナーナも何だか呆れているようです。
僕は納得いかない、何がいけないんだろう?ただ頼まれたものを早く作っただけじゃないか。
「これからは私が管理しないといけないんですね」
「ええ~」
「メイさん、ルークは旅に出たいとも思っているんです。どうにかできませんか?」
「そうですか。ではモナーナさんも?」
「その予定です」
モナーナもその決意は固いみたい、お店はどうしよう。
「では、モナーナ魔道具店にはプラムをつけましょう。売る商品は定期的にギルドを通して配達すれば大丈夫ですし」
「そんなことできるんですか?」
「はい、大丈夫ですよ。最終的にはクルシュ様が決められると思いますが」
モナーナと話した時は悲しいけどお店を売るっていう話をしていたけどそう言ってもらえるなら甘えちゃおう。
「今度クルシュ様の屋敷に行かれる時にこの話をしましょう」
「そうですね・・・」
「モナーナさん、どうしたんですか?」
「えっあれ?」
大切なお店を売るという心配事がなくなりホッとしたのかモナーナが泣き出した。ポロポロと流す涙が床にシミを作る。僕はいてもたってもいられずにモナーナを抱きしめた。
モナーナはやっぱりこのお店が大事だったんだ。お父さんが死んでしまった事でこのお店がお父さんの代わりになってたんだね。いつの間にかメイさんはいなくなっていてお店にはモナーナのすすり泣く声が響いた。
モナーナはひとしきり泣き終わると眠ってしまった。ベッドに寝かせてあげると可愛らしい寝顔を見せてくれた。
今日は僕が店番をするから大丈夫、心の中でそう思って眠るモナーナの部屋を後にした。
31
お気に入りに追加
5,466
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー
紫電のチュウニー
ファンタジー
第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)
転生前も、転生後も 俺は不幸だった。
生まれる前は弱視。
生まれ変わり後は盲目。
そんな人生をメルザは救ってくれた。
あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。
あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する
平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。
しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。
だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。
そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる