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第七章 俺が欲しいのはお前だ

16 エピローグ

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いくつもの除夜の鐘が余韻を残して鳴り終わる。
冷え込んだ深夜の街には、カウントダウンや初詣を愉しむ人だかりが、あちらこちらでできていた。
その人混みの中を練り歩きながら、晴樹と保も十年以来の年越しデートを楽しんでいた。もちろん、初詣の祈願は良縁円満の一択だ。

「ねーハル。勝行ちゃんと告白できたかしら」
「大丈夫だって。ここで『男』みせておかなきゃ、光くんのこと容赦なく奪うって宣言しといたから。意地でも告白してるよ、きっと」
「あんた、あれでもライバル視されてたの? 論外とか思われてなかったんだ」
「わ……わからないけど。でも保も狙ってるって言っといたから。あとオーナーとか、INFINITYのメンツも全員隙あらばアタックしに来るぞって警告しておいた。きっと今頃、全員ブラックリストにのっけてると思うよ」

晴樹はそう言いながら、露店で買った好物の肉巻きにかぶりついた。光があんなに献身的だというのに、勝行はいつまでも一線引いたまま――ということに気づいた二人は、いい加減光がかわいそうだと勝行に詰め寄ったのだった。

「じゃあ二人が今何してるか賭けようか」
「いいよぉ、僕はねえ、両想いセックスに一票」
「ふふふ。あの勝行がそこまでやるとは思わないけどねえ。年越しキスじゃない? それか光が無理やり襲ってそう」
「ああ見えて案外勝行くんはむっつりスケベだと思う。やる時はやるよ」
「なら、今年のお年玉はコンドームにしとくわ。うすうすのヤツ」
「いいねそれ。でも保、知ってる? 勝行くんのアレって超えぐいマグナムサイズらしいよ。海外用のじゃないとまずいかもよ」
「は? なにそれ聞いてない」
「ふふふ、光くんから聞いたんだー。僕のよりデカいって。突っ込まれただけで天国逝きそうなレベルらしいよ。僕、アメリカでもタチでいけたし、自信あったんだけどなあ。ちょっと悔しい」
「なによそれ。あの情けない恋愛下手男のちんちんがまさかの欧米サイズ? 冗談じゃないわ、面白過ぎる。一回見せてもらわないと」
「ちょ、浮気しないでよー保!」

東京の夜空からは、ちらほらと雪が舞い落ちる。
新しい年の門出を祝う紙吹雪のように、しっとりと。


【8章につづく】


あとがき

7章は両翼少年協奏曲(完結)の最終話「黄金色のクリスマスキャロル」と同じ時間、同じクリスマスの光くん視点を描いています。イルミネーションデートとそのあとのベッドインの話はかいてませんので、両翼…の方を読んでいただけるとよりストーリーが楽しめます。ぜひ思い出し読みにいっていただけると嬉しいです。

そしてここまで読了、お付き合いありがとうございます。
ついに二人が両想いになりました!(きゃーー(≧▽≦)
次回からは「両想いWINGS」の新ストーリーが始まります。受験戦争は終わってません。これからも二人をよろしくお願いします~!


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感想 12

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