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Lv.1 ゲームフレンド ≧ リア友
12 日陰者から一変!?
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「三枝ってゲーム達人って聞いたけど、マ?」
「……は?」
「スマボラの攻略とか聞ける?」
「あ、ああ……うん。歴代シリーズ全部持ってるけど。どれの話」
「全部⁉ すげえなマジか」
教室でひとり弁当を食べていたら、突然話しかけられて圭太は心底驚いた。
――ゲームの達人ってなんだ?
とりあえず箸をいったん置いて相手の顔を見る。目の前に立つのは二人。教室で何度か見た覚えがある連中だ。
「あ、悪い。まだ飯終わってなかった? 食ってからでいいよ」
「俺モンスピやってるんだけど、お前やってる?」
「今やってるモンスピのイベント、えぐいよな。学生にはきついっつーの」
どっちもやってる、と答えれば二人から「フレンド申請していい?」と迫られる。
モンスピといえば敵に技やキャラを弾き飛ばして遊ぶピンボールゲームのようなものだ。暇つぶしにはもってこいのスマホアプリ。圭太は急いで弁当の残りをかっこみ、アプリの画面を開いて二人のフレンド申請を受け取った。
(そうか……今はこういうのが流行ってんのか)
どうやら二人は滝沢から「ゲームと言えば三枝圭太!」と教えてもらったらしい。なんとも雑な紹介の仕方だ。呆れかえるも、悪い気はしない。FCOではないが、このゲーム面白いよなと嬉しそうに語るクラスメイトが他にもいたとは。紹介してくれた滝沢には感謝すべきだろうか。
だがあんまり深く話しすぎると、オタクキモイな……とドン引かれそうだ。当たり障りのない返事でやり過ごしていると、「三枝めっちゃレアキャラ持ってるやん」「見せて、見せて」「何やってんの」と他のクラスメイトが寄ってくる。
あっという間に圭太の周りには人だかりができた。
返事の処理が追い付かないレベル。だがスマホの画面ごしにゲームの話を続ける男子学生たちとの交流は、どこか懐かしい気がした。そう、公園に携帯ゲーム機をもって遊びに行っていた、あの時代にそっくりだ。
ぼっちを極めていた教室が、一気に密度の濃い空間になる。でも楽しい。みんなと久しぶりにゲームの話ができることが、すごく楽しいのだ。やはりマスク必須の時代になってくれてよかった。今は到底、マスクを外せない。外したくない。
…… ……
「おわあ、サエ人気者じゃーん」
「なんだあれ」
圭太の席から少し離れた座席では、トイレから戻ってきた滝沢幸一が嬉しそうにひゅうと口笛を吹いた。その隣にいる眼鏡男子の委員長・長谷川と、体格のいい野球少年・歩夢は一体何があったのかと不思議そうにしている。
「あいつ、この前滝っちと喧嘩した奴だろ」
「いかにもオタクって感じで、陰気くさいくせしてオレらのことすっげえ見下してそうな目で見てきた奴」
「そうか? まあ……人付き合いは苦手って顔に書いてありそうだなとは思ったけど」
滝沢は購買の自販機で買ったいちごミルクオレをすすりながら、顎にひっかけたままのマスクへ指をかけた。
「俺はああいう奴も、嫌いじゃないよ」
「滝沢……お前の守備範囲はマジで広すぎるんだって」
「じゃあ今度、歩夢の妹ちゃん紹介して♪ かわいいんだろ?」
「犯罪臭しかしねえからやめておく」
「えー、ひどいな。それこそ偏見ってやつだぜ、歩夢クン」
「三枝ってゲーム達人って聞いたけど、マ?」
「……は?」
「スマボラの攻略とか聞ける?」
「あ、ああ……うん。歴代シリーズ全部持ってるけど。どれの話」
「全部⁉ すげえなマジか」
教室でひとり弁当を食べていたら、突然話しかけられて圭太は心底驚いた。
――ゲームの達人ってなんだ?
とりあえず箸をいったん置いて相手の顔を見る。目の前に立つのは二人。教室で何度か見た覚えがある連中だ。
「あ、悪い。まだ飯終わってなかった? 食ってからでいいよ」
「俺モンスピやってるんだけど、お前やってる?」
「今やってるモンスピのイベント、えぐいよな。学生にはきついっつーの」
どっちもやってる、と答えれば二人から「フレンド申請していい?」と迫られる。
モンスピといえば敵に技やキャラを弾き飛ばして遊ぶピンボールゲームのようなものだ。暇つぶしにはもってこいのスマホアプリ。圭太は急いで弁当の残りをかっこみ、アプリの画面を開いて二人のフレンド申請を受け取った。
(そうか……今はこういうのが流行ってんのか)
どうやら二人は滝沢から「ゲームと言えば三枝圭太!」と教えてもらったらしい。なんとも雑な紹介の仕方だ。呆れかえるも、悪い気はしない。FCOではないが、このゲーム面白いよなと嬉しそうに語るクラスメイトが他にもいたとは。紹介してくれた滝沢には感謝すべきだろうか。
だがあんまり深く話しすぎると、オタクキモイな……とドン引かれそうだ。当たり障りのない返事でやり過ごしていると、「三枝めっちゃレアキャラ持ってるやん」「見せて、見せて」「何やってんの」と他のクラスメイトが寄ってくる。
あっという間に圭太の周りには人だかりができた。
返事の処理が追い付かないレベル。だがスマホの画面ごしにゲームの話を続ける男子学生たちとの交流は、どこか懐かしい気がした。そう、公園に携帯ゲーム機をもって遊びに行っていた、あの時代にそっくりだ。
ぼっちを極めていた教室が、一気に密度の濃い空間になる。でも楽しい。みんなと久しぶりにゲームの話ができることが、すごく楽しいのだ。やはりマスク必須の時代になってくれてよかった。今は到底、マスクを外せない。外したくない。
…… ……
「おわあ、サエ人気者じゃーん」
「なんだあれ」
圭太の席から少し離れた座席では、トイレから戻ってきた滝沢幸一が嬉しそうにひゅうと口笛を吹いた。その隣にいる眼鏡男子の委員長・長谷川と、体格のいい野球少年・歩夢は一体何があったのかと不思議そうにしている。
「あいつ、この前滝っちと喧嘩した奴だろ」
「いかにもオタクって感じで、陰気くさいくせしてオレらのことすっげえ見下してそうな目で見てきた奴」
「そうか? まあ……人付き合いは苦手って顔に書いてありそうだなとは思ったけど」
滝沢は購買の自販機で買ったいちごミルクオレをすすりながら、顎にひっかけたままのマスクへ指をかけた。
「俺はああいう奴も、嫌いじゃないよ」
「滝沢……お前の守備範囲はマジで広すぎるんだって」
「じゃあ今度、歩夢の妹ちゃん紹介して♪ かわいいんだろ?」
「犯罪臭しかしねえからやめておく」
「えー、ひどいな。それこそ偏見ってやつだぜ、歩夢クン」
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