播磨守江戸人情小噺(二) 小間物屋裁断

 南町奉行池田播磨守頼方(いけだはりまのかみよりまさ)が下す裁断についての、江戸市民たちの評判がすこぶる良い。大見得を切って正義を振りかざすような派手さは無いのだが、胸にジンと染みる温情をサラリと加える加減が玄人好みなのだと、うるさ型の江戸っ子たちはいう。

 池田播磨守頼方は、遠山の金さんこと遠山景元の後任の町奉行だ。あの、国定忠治に死罪を申し渡した鬼の奉行として恐れられていた。しかし、池田が下す裁断は、人情味に溢れる名裁断として江戸市民たちの評判を呼んでいく。

 取り立て屋の市蔵が死体で発見される。
 調べが進むと、小間物屋「奄美屋」の番頭清二が、借金の取りたでで市蔵に脅され理不尽な要求をされ、止むに止まれず殺したことがわかった。

 世間は奄美屋に同情する。
 
 果たして、播磨守の裁断やいかに。
24h.ポイント 0pt
0
小説 192,131 位 / 192,131件 歴史・時代 2,385 位 / 2,385件

あなたにおすすめの小説

乙の子

ariya
歴史・時代
片倉小十郎の元に少女たちが身を寄せた。彼女らは大坂の役の英雄・真田幸村の娘たちであった。 その中にいっとう気弱な少女がおり

絡繰奇剣の雪之介

橋本洋一
歴史・時代
絡繰技師(からくりぎし)の雪之介(ゆきのすけ)は賞金首である。尾張国の織田信長に命を狙われていた。安住の地を求めて彼は今日も国を渡りつつ放浪する――

つわもの -長連龍-

夢酔藤山
歴史・時代
能登の戦国時代は遅くに訪れた。守護大名・畠山氏が最後まで踏み止まり、戦国大名を生まぬ独特の風土が、遅まきの戦乱に晒された。古くから能登に根を張る長一族にとって、この戦乱は幸でもあり不幸でもあった。 裏切り、また裏切り。 大国である越後上杉謙信が迫る。長続連は織田信長の可能性に早くから着目していた。出家させていた次男・孝恩寺宗顒に、急ぎ信長へ救援を求めるよう諭す。 それが、修羅となる孝恩寺宗顒の第一歩だった。

水滸拾遺伝~飛燕の脚 青龍の眼~

天 蒸籠
歴史・時代
中国は北宋時代、梁山泊から野に下った少林拳の名手「浪子」燕青は、薊州の山中で偶然少女道士の「祝四娘」と出会い、彼女ら二仙山の道士たちの護衛をすることになる。二人はさまざまなトラブルに遭いながら、青州観山寺に巣くう魔物その他、弱きを助け悪きを挫く旅を続ける。

大航海時代 日本語版

藤瀬 慶久
歴史・時代
日本にも大航海時代があった――― 関ケ原合戦に勝利した徳川家康は、香木『伽羅』を求めて朱印船と呼ばれる交易船を東南アジア各地に派遣した それはあたかも、香辛料を求めてアジア航路を開拓したヨーロッパ諸国の後を追うが如くであった ―――鎖国前夜の1631年 坂本龍馬に先駆けること200年以上前 東の果てから世界の海へと漕ぎ出した、角屋七郎兵衛栄吉の人生を描く海洋冒険ロマン 『小説家になろう』で掲載中の拙稿「近江の轍」のサイドストーリーシリーズです ※この小説は『小説家になろう』『カクヨム』『アルファポリス』で掲載します

江戸の夕映え

大麦 ふみ
歴史・時代
江戸時代にはたくさんの随筆が書かれました。 「のどやかな気分が漲っていて、読んでいると、己れもその時代に生きているような気持ちになる」(森 銑三) そういったものを選んで、小説としてお届けしたく思います。 同じ江戸時代を生きていても、その暮らしぶり、境遇、ライフコース、そして考え方には、たいへんな幅、違いがあったことでしょう。 しかし、夕焼けがみなにひとしく差し込んでくるような、そんな目線であの時代の人々を描ければと存じます。

猿の内政官の息子

橋本洋一
歴史・時代
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~ の後日談です。雲之介が死んで葬儀を執り行う雨竜秀晴が主人公です。全三話です

流浪の太刀

石崎楢
歴史・時代
戦国、安土桃山時代を主君を変えながら生き残った一人の侍、高師直の末裔を自称する高師影。高屋又兵衛と名を変えて晩年、油問屋の御隠居となり孫たちに昔話を語る毎日。その口から語られる戦国の世の物語です。