982 / 1,046
ゲスト出演(1)お化け屋敷の都市伝説
しおりを挟む
暗い廊下を歩いて教室へ入ると、バン、という大きな音がして、思わず首を縮めて音のした方を見た。すると黒板に真っ赤な手形が浮き上がっているのが見えた。
「わっ!?」
驚きはするが、予測範囲内のもので、そう怖くはない。
後ろのドアから出る為に机の間を歩きながら、ドア脇の掃除用具入れのロッカーが怪しいと思っていると、不意に背後から声がした。
「今日の日直は?」
反射的に振り返るが、誰もいない。
なので体の向きを戻すと、すぐ横の席に座る、血塗れで無表情な半透明の女子生徒と目が合った。
「あなたの番よね」
持ち上げた折れた腕にはナイフがある。
「うわああ!!」
叫んで、後ろのドアから廊下へ飛び出した。
すると今度は、すぐ目の前に猫が座っているのが目に入った。どこかふてぶてしい、野良猫のようだ。
と、それが低く唸り、飛びかかって来る。
「ぎゃっ!?」
横っ飛びに避けると、足元の頭大の石が人の顔に変わり、その恨めしそうな目と見つめ合う事になった。
「ギャアアアア!!」
たまらず叫んで、逃げ出した。
そこで徳川さんは付け加えた。
「でもこのお化け屋敷が怖いのは、そういう仕掛けじゃないんだよ。だれも用意していないのに、勝手に猫の霊が出て来るところなんだよ」
徳川一行。飄々として少々変わってはいるが、警察庁キャリアで警視長。なかなかやり手で、必要とあらば冷酷な判断も下す。陰陽課の生みの親兼責任者で、兄の上司になった時からよくウチにも遊びに来ていたのだが、すっかり、兄とは元上司と部下というより、友人という感じになっている。
「よく、お化け屋敷には本物が――って聞きますよね」
御崎 怜。元々、感情が表情に出難いというのと、世界でも数人の、週に3時間程度しか睡眠を必要としない無眠者という体質があるのに、高校入学直前、突然、霊が見え、会話ができる体質になった。その上、神殺し、神喰い、神生み等の新体質までもが加わった霊能師であり、とうとう亜神なんていうレア体質になってしまった。面倒臭い事はなるべく避け、安全な毎日を送りたいのに、危ない、どうかすれば死にそうな目に、何度も遭っている。そして、警察官僚でもある。
「これもそういうものですかねえ」
町田 直、幼稚園からの親友だ。要領が良くて人懐っこく、脅威の人脈を持っている。高1の夏以降、直も、霊が見え、会話ができる体質になったので本当に心強い。だがその前から、僕の事情にも精通し、いつも無条件で助けてくれた大切な相棒だ。霊能師としては、祓えないが、屈指の札使いであり、インコ使いであり、共に亜神体質になった。そして、警察官僚でもある。
「それが、実害があるらしくてね。客の足を実際に引っかいたり、暴れてセットを壊したりするそうで、営業妨害だって警察に被害届を出したんだよ」
「それじゃあ仕方ないですね。
今、皆色々と割り振ってるし、僕と直で行こうか」
「そうだねえ。お化け屋敷かぁ。何か新鮮だねえ」
こうして僕と直は、そのお化け屋敷に行く事になったのだった。
「わっ!?」
驚きはするが、予測範囲内のもので、そう怖くはない。
後ろのドアから出る為に机の間を歩きながら、ドア脇の掃除用具入れのロッカーが怪しいと思っていると、不意に背後から声がした。
「今日の日直は?」
反射的に振り返るが、誰もいない。
なので体の向きを戻すと、すぐ横の席に座る、血塗れで無表情な半透明の女子生徒と目が合った。
「あなたの番よね」
持ち上げた折れた腕にはナイフがある。
「うわああ!!」
叫んで、後ろのドアから廊下へ飛び出した。
すると今度は、すぐ目の前に猫が座っているのが目に入った。どこかふてぶてしい、野良猫のようだ。
と、それが低く唸り、飛びかかって来る。
「ぎゃっ!?」
横っ飛びに避けると、足元の頭大の石が人の顔に変わり、その恨めしそうな目と見つめ合う事になった。
「ギャアアアア!!」
たまらず叫んで、逃げ出した。
そこで徳川さんは付け加えた。
「でもこのお化け屋敷が怖いのは、そういう仕掛けじゃないんだよ。だれも用意していないのに、勝手に猫の霊が出て来るところなんだよ」
徳川一行。飄々として少々変わってはいるが、警察庁キャリアで警視長。なかなかやり手で、必要とあらば冷酷な判断も下す。陰陽課の生みの親兼責任者で、兄の上司になった時からよくウチにも遊びに来ていたのだが、すっかり、兄とは元上司と部下というより、友人という感じになっている。
「よく、お化け屋敷には本物が――って聞きますよね」
御崎 怜。元々、感情が表情に出難いというのと、世界でも数人の、週に3時間程度しか睡眠を必要としない無眠者という体質があるのに、高校入学直前、突然、霊が見え、会話ができる体質になった。その上、神殺し、神喰い、神生み等の新体質までもが加わった霊能師であり、とうとう亜神なんていうレア体質になってしまった。面倒臭い事はなるべく避け、安全な毎日を送りたいのに、危ない、どうかすれば死にそうな目に、何度も遭っている。そして、警察官僚でもある。
「これもそういうものですかねえ」
町田 直、幼稚園からの親友だ。要領が良くて人懐っこく、脅威の人脈を持っている。高1の夏以降、直も、霊が見え、会話ができる体質になったので本当に心強い。だがその前から、僕の事情にも精通し、いつも無条件で助けてくれた大切な相棒だ。霊能師としては、祓えないが、屈指の札使いであり、インコ使いであり、共に亜神体質になった。そして、警察官僚でもある。
「それが、実害があるらしくてね。客の足を実際に引っかいたり、暴れてセットを壊したりするそうで、営業妨害だって警察に被害届を出したんだよ」
「それじゃあ仕方ないですね。
今、皆色々と割り振ってるし、僕と直で行こうか」
「そうだねえ。お化け屋敷かぁ。何か新鮮だねえ」
こうして僕と直は、そのお化け屋敷に行く事になったのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
199
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる