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チビッ子編 👻 バディ誕生(1)たんぽぽ幼稚園
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怜達の近所にある公立幼稚園「たんぽぽ幼稚園」は、古い。そのせいかどうかわからないが、クラスの名前が、少々変わっている。竹組、菊組、花組、松組、梅組、星組。何とも渋い。
怜は竹組になった。
怜は水色のスモックに紺色の帽子を被り、黄色い鞄を肩から斜めに掛け、司を見上げた。
「兄ちゃんも幼稚園行こうよ」
司は「うん」と言いたいのを堪えた。
「兄ちゃんは学校で勉強」
「じゃあ、僕も学校に行く!」
「怜は幼稚園な」
怜が途端に目をうるうるさせるのを見て、司は心を鬼にした。怜は近所の同じ年頃の子と比べても、お兄ちゃんべったりで、すぐに泣く。このままではまずいので、そろそろ突き放すべきと家族会議で決定したのだ。
「友達になれそうな子、いるだろ?」
「兄ちゃんがいいもん」
「……友達もいるぞ?怜にどんな友達ができるか、兄ちゃんも楽しみだなあ」
「楽しみ?」
「ああ。誰とどんなことをしたか、帰ったら教えて欲しいな」
「……わかった。仕方ないから、幼稚園でがまんする」
怜は不承不承納得し、司は後ろ髪をひかれる思いで登校した。
「怜。今日はお弁当よ。どんなお弁当か楽しみにしててね」
母が言い、怜は新品のお弁当箱を思い出して、少しだけ幼稚園に行く気になったのだった。
午前中、園児達は思い思いに庭で遊んでいた。
ブランコは競争率が高く、ジャングルジムはいじめっ子的なガキ大将が占有していたため、怜は大人しく、花壇の前にしゃがみ込んで四葉のクローバーを探していた。
見つかったら、兄に渡す気である。
「見つかった?」
覗き込んで来たのは、同じ竹組の町田 直だ。
「ううん」
「一緒に探そう」
「うん」
怜と直は、並んで四葉のクローバーを探し始めた。
しかし、中々見付からない。そのうち、不意に現れたそれに、2人の目は釘付けになった。
唐草模様の風呂敷を持って、コソコソと幼稚園に入る男だ。
「直君。あれ……」
「うん。あれ、泥棒の模様だよね」
「泥棒かな?先生に言わないと!」
「静かに、そうっと行こうね、怜君!」
2人はそっと忍び足で、男の入って行った部屋に近付いて行き、中を覗き込んだ。
男は笑いながら、先生と何か話している。
「先生が、騙されてるよ、直君!」
怜が涙目で言うと、直はううむと腕を組んで唸った。
「まずいよう。ボクらが何とかしないとね、怜君」
2人は泥棒をどうやって追い出すかと、考え始めた。
怜は竹組になった。
怜は水色のスモックに紺色の帽子を被り、黄色い鞄を肩から斜めに掛け、司を見上げた。
「兄ちゃんも幼稚園行こうよ」
司は「うん」と言いたいのを堪えた。
「兄ちゃんは学校で勉強」
「じゃあ、僕も学校に行く!」
「怜は幼稚園な」
怜が途端に目をうるうるさせるのを見て、司は心を鬼にした。怜は近所の同じ年頃の子と比べても、お兄ちゃんべったりで、すぐに泣く。このままではまずいので、そろそろ突き放すべきと家族会議で決定したのだ。
「友達になれそうな子、いるだろ?」
「兄ちゃんがいいもん」
「……友達もいるぞ?怜にどんな友達ができるか、兄ちゃんも楽しみだなあ」
「楽しみ?」
「ああ。誰とどんなことをしたか、帰ったら教えて欲しいな」
「……わかった。仕方ないから、幼稚園でがまんする」
怜は不承不承納得し、司は後ろ髪をひかれる思いで登校した。
「怜。今日はお弁当よ。どんなお弁当か楽しみにしててね」
母が言い、怜は新品のお弁当箱を思い出して、少しだけ幼稚園に行く気になったのだった。
午前中、園児達は思い思いに庭で遊んでいた。
ブランコは競争率が高く、ジャングルジムはいじめっ子的なガキ大将が占有していたため、怜は大人しく、花壇の前にしゃがみ込んで四葉のクローバーを探していた。
見つかったら、兄に渡す気である。
「見つかった?」
覗き込んで来たのは、同じ竹組の町田 直だ。
「ううん」
「一緒に探そう」
「うん」
怜と直は、並んで四葉のクローバーを探し始めた。
しかし、中々見付からない。そのうち、不意に現れたそれに、2人の目は釘付けになった。
唐草模様の風呂敷を持って、コソコソと幼稚園に入る男だ。
「直君。あれ……」
「うん。あれ、泥棒の模様だよね」
「泥棒かな?先生に言わないと!」
「静かに、そうっと行こうね、怜君!」
2人はそっと忍び足で、男の入って行った部屋に近付いて行き、中を覗き込んだ。
男は笑いながら、先生と何か話している。
「先生が、騙されてるよ、直君!」
怜が涙目で言うと、直はううむと腕を組んで唸った。
「まずいよう。ボクらが何とかしないとね、怜君」
2人は泥棒をどうやって追い出すかと、考え始めた。
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