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亜神(3)1回戦
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全警察官が事態に備えて待機し、全国民が基本的に外出禁止となった。
まあ、その辺で霊やゾンビがウロウロしている中を、外出したがる人もそうはいない。僧や神職も、墓地などをまわって、死者が現れないようにとパトロールしている。
陰陽課の1係と2係も勿論連日出動だ。
僕の家と兄の家は度々神が来るので、そこら辺の神社以上に神威がこもっている。なので、僕達の家族、京香さんの家族は、集まってもらっている。
心配で電話したら、子供達は機嫌よく一緒に遊んで喜んでいた。
「でも、早く解決しないとな」
「そうだねえ」
手早く辺りの霊を一掃して、そんな事を言っていた。
その時、これまでにないほど、大きな気配が生じ、警戒した直後、聞いていた通りの人物が現れた。
「冥界の王?」
「そう。
どうも君達が一番の邪魔だな。力が他と違う」
言い終わる前に、攻撃して来た。
「おいおい。名乗り合うのもなしか?」
「これは失礼した。人であった時の名は忘れた。冥界の王と呼んで欲しい」
「僕は御崎 怜。平和で安心で安全で堅実な人生を送りたいと思っている」
「ボクは町田 直。絆を大事にがモットーだねえ」
「というわけで、我が身と身内は全力で守るつもりだ」
「仕事抜きにしてもねえ」
冥界の王は大人しく僕と直の自己紹介を聞いていたが、終わったとみて、2度目の攻撃を仕掛けて来た――が、それは直の札がどうにか受け止め、その脇から僕が突っ込む。
冥界の王はハッとしたように身を引いたが、片腕が肩から落ちた。
しかし、みるみるうちに腕が復活する。
「ううん。見た事がないが、あんな感じか」
それを聞いて直が頷く。
「そうだよう」
「ちょっと、驚くな」
「かなりだよう」
言いながら、札を飛ばす。しかし冥界の王は、それを避け、あるいは喰らっても再生し、平気な顔をしている。
それと同時に僕も数度、斬ったり突いたりしているが、どこをどうしようと、ダメージを無かった事にされる。
「どうしろって?」
攻め方がわからない。復活に回数制限でもあるのか?復活の呪文やアイテムはなさそうだが?
お互いに何度もぶつかり合い、向こうは何度でも再生し、こちらは防御や回避でしのぎ、お互いに決定打のないまま時間だけが過ぎて行く。
冥界の王は力をかまいたちや火柱の形にして攻撃して来るので、直の結界がなければ、周囲はとうに更地になっていただろう。
やがて、冥界の王は距離を置いた。
「やはり、お前達を排除しなければならないようだな」
呟いて、炎を広範囲に放射する。
その威力はこれまで以上で、直が防御結界の強化に札と意識を向けた。
それと同時に姿を消し、次の瞬間、僕のすぐ後ろに現れた。
「何!?」
現れると同時に放って来る風の刃を体を捻る事で急所への直撃を避け、こちらも刀に炎を乗せる。冥界の王の炎との違いは、僕の刀は浄力を集めたものなので、炎にも浄力が乗る事だ。
冥界の王の胴に大きな傷が入る。普通なら致命傷となる大きさと場所だ。
「うっ!?」
冥界の王はよろめき、そして、戸惑ったような顔をした。再生が遅いようだ。
しめた!
そう思い、追撃のチャンスとばかりに斬りかかるが、ほんの少しの差で、冥界の王は次元の裂け目を作ってそこへ逃げ込んだ。
それで僕も、膝をつく。
左腕が消失しているので、バランスが悪い。それから、かなり痛い。
「怜!」
「大丈夫」
直が焦った声を上げるが、今回は、意識を無くすほどではない。痛みに耐えていると、痛みが和らぎ、目を向けてみる先で、左腕が再生した。
「……初めて自分の再生の瞬間を見たぞ」
直がほっとしたように言う。
「いつもはもっと酷いケガだったりしたしねえ」
それで、左腕を曲げ伸ばしして違和感が無い事を確認し、考えた。
「最後、どうして再生が遅れたんだろうな」
「ううん。浄力が苦手なのかと思ったけど、それまでも斬ったりしたしねえ」
斬れば、そこから浄力が広がるのだ。
「浄力の蓄積?」
「もしくは、浄力と火との合体技かねえ?」
よくわからない。
「あの火は、火伏の神を取り込んだ時にできた増えた体質だったよな、確か――あれ?」
「浄化の火だったりするかねえ?」
「ああ……どうなんだろう?だったら、やっぱり鍵は浄力?」
僕達はリベンジに備えて、相談を続けた。
まあ、その辺で霊やゾンビがウロウロしている中を、外出したがる人もそうはいない。僧や神職も、墓地などをまわって、死者が現れないようにとパトロールしている。
陰陽課の1係と2係も勿論連日出動だ。
僕の家と兄の家は度々神が来るので、そこら辺の神社以上に神威がこもっている。なので、僕達の家族、京香さんの家族は、集まってもらっている。
心配で電話したら、子供達は機嫌よく一緒に遊んで喜んでいた。
「でも、早く解決しないとな」
「そうだねえ」
手早く辺りの霊を一掃して、そんな事を言っていた。
その時、これまでにないほど、大きな気配が生じ、警戒した直後、聞いていた通りの人物が現れた。
「冥界の王?」
「そう。
どうも君達が一番の邪魔だな。力が他と違う」
言い終わる前に、攻撃して来た。
「おいおい。名乗り合うのもなしか?」
「これは失礼した。人であった時の名は忘れた。冥界の王と呼んで欲しい」
「僕は御崎 怜。平和で安心で安全で堅実な人生を送りたいと思っている」
「ボクは町田 直。絆を大事にがモットーだねえ」
「というわけで、我が身と身内は全力で守るつもりだ」
「仕事抜きにしてもねえ」
冥界の王は大人しく僕と直の自己紹介を聞いていたが、終わったとみて、2度目の攻撃を仕掛けて来た――が、それは直の札がどうにか受け止め、その脇から僕が突っ込む。
冥界の王はハッとしたように身を引いたが、片腕が肩から落ちた。
しかし、みるみるうちに腕が復活する。
「ううん。見た事がないが、あんな感じか」
それを聞いて直が頷く。
「そうだよう」
「ちょっと、驚くな」
「かなりだよう」
言いながら、札を飛ばす。しかし冥界の王は、それを避け、あるいは喰らっても再生し、平気な顔をしている。
それと同時に僕も数度、斬ったり突いたりしているが、どこをどうしようと、ダメージを無かった事にされる。
「どうしろって?」
攻め方がわからない。復活に回数制限でもあるのか?復活の呪文やアイテムはなさそうだが?
お互いに何度もぶつかり合い、向こうは何度でも再生し、こちらは防御や回避でしのぎ、お互いに決定打のないまま時間だけが過ぎて行く。
冥界の王は力をかまいたちや火柱の形にして攻撃して来るので、直の結界がなければ、周囲はとうに更地になっていただろう。
やがて、冥界の王は距離を置いた。
「やはり、お前達を排除しなければならないようだな」
呟いて、炎を広範囲に放射する。
その威力はこれまで以上で、直が防御結界の強化に札と意識を向けた。
それと同時に姿を消し、次の瞬間、僕のすぐ後ろに現れた。
「何!?」
現れると同時に放って来る風の刃を体を捻る事で急所への直撃を避け、こちらも刀に炎を乗せる。冥界の王の炎との違いは、僕の刀は浄力を集めたものなので、炎にも浄力が乗る事だ。
冥界の王の胴に大きな傷が入る。普通なら致命傷となる大きさと場所だ。
「うっ!?」
冥界の王はよろめき、そして、戸惑ったような顔をした。再生が遅いようだ。
しめた!
そう思い、追撃のチャンスとばかりに斬りかかるが、ほんの少しの差で、冥界の王は次元の裂け目を作ってそこへ逃げ込んだ。
それで僕も、膝をつく。
左腕が消失しているので、バランスが悪い。それから、かなり痛い。
「怜!」
「大丈夫」
直が焦った声を上げるが、今回は、意識を無くすほどではない。痛みに耐えていると、痛みが和らぎ、目を向けてみる先で、左腕が再生した。
「……初めて自分の再生の瞬間を見たぞ」
直がほっとしたように言う。
「いつもはもっと酷いケガだったりしたしねえ」
それで、左腕を曲げ伸ばしして違和感が無い事を確認し、考えた。
「最後、どうして再生が遅れたんだろうな」
「ううん。浄力が苦手なのかと思ったけど、それまでも斬ったりしたしねえ」
斬れば、そこから浄力が広がるのだ。
「浄力の蓄積?」
「もしくは、浄力と火との合体技かねえ?」
よくわからない。
「あの火は、火伏の神を取り込んだ時にできた増えた体質だったよな、確か――あれ?」
「浄化の火だったりするかねえ?」
「ああ……どうなんだろう?だったら、やっぱり鍵は浄力?」
僕達はリベンジに備えて、相談を続けた。
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