H･I･M･E ーactressー

第34章 ｓｃｅｎｅ６：ＨＩＭＥは君の中にずーっといるよ♡

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　緊張の一瞬……って言葉があるけど、本当にそんな感じだった。

　わけも分からず手に汗をかいちゃったり、喉がゴックンと鳴っちゃったり……

　でも翔真くんが白い紙を開いて、そこに《内定》の二文字を見たときには、お互い緊張なんてどこへやら……

　人目なんて全然気にすることなく、二人で「やったー！」って叫んでて、ついでにピョンピョンしながらバンザイもして……

　でも気が付いたらお互い抱き合ってて♡


　凄く嬉しかったんだもん。
　自分のことじゃないのに、まるで自分のことみたいに嬉しかったんだもん。


　「あ、ねえ、これ……」
　「なに？」
　「あのね、ちゃんとした就職祝いはまた今度……なんだけどね、これだけ先にわたしておきたくて」
　「え、これって……、智樹の部屋の？　マジで？」
　「うん」

　僕が差し出したのは僕のマンションの合鍵で、翔真くんはそれを受け取ると、夕焼けに照らされて茜色に染まった顔を、更に赤くした。

　「でも、良いの？」
　「なにが？」
　「こんなん貰っちゃったら俺、確実に入り浸るけど？」
　「ふふ、入り浸るんじゃなくて、住み着いちゃっても良いけど？」

　だって僕、最初っからそのつもりだったんだもん。

　翔真くんの就職が決まっても決まらなくても、絶対渡そうって決めてたんだもん。

　「だからね、一緒に暮らそ？」

　翔真くんに言われた言葉を、今度は僕が言う。

　すると翔真くんは僕をムギュッって抱きしめて、それから額にキスをしてくれた。

　
　もぉ……、人が見てるのに、大胆なんだから。


　って思いつつも、やっぱり翔真くんからのキスは嬉しくて……

　「で、早速なんだけど……、僕ん家、来る？」
　「え……？　今……から？」
　「だってさ、ずっとシテないんだよ？　僕このままだと、翔真くん不足で干からびちゃいそうなんだもん」

　
　だめ？


　「くくく、よーし、今夜は寝かさないからそのつもりでな？」

　……なわけないよね。

　
　ってゆーか、寝かさない……って、どんだけ頑張るつもり？


　まあでも、就職祝いも兼ねて……だし……

　「うん、僕も寝かせて上げないから、そのつもりでね？」

　
　覚悟してね♡