H・I・M・E ーactressー

誠奈

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第22章  日常10:僕、決めた!

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 「えーっ、マジで? 嘘、マジでキスしちゃったの?」

 いきなり大きな声を出すから、僕は思わず和人の口を手で塞いだ。

 「シーッ、声が大きいって……」

 もぉ…、やっぱり和人とお話するのに、気になっていたカフェを選んだのは失敗だったかも……
 おかげでさ、周りにいるお姉さん達にクスクス笑われてるし……

 「ごめんごめん、で? どんな感じだった?」

 さっきよりは随分声を抑えてるけど、その顔はずっとニヤけたままだ。

 「どんな感じも何も、ぶつかっただけで、本当に事故みたたいなもんだったし……」
 「でもさ、ちょっとくらい感想っていうかさ、あるでしょ?」

 和人が期待度満点の顔でテーブルに身を乗り出す。

 「そ、そりゃ……まあ……」


 全く無いとは言えないけどね?
 でもきっと和人が期待するような答えではないと思うんだよね……


 僕はわざとらしく記憶を巡らせる素振りで、ストローでグラスの中の氷を掻き混ぜた。

 「ねぇ、勿体ぶってないで聞かせて? どうだったの?」
 「だからさ……、なんてゆーかさ……」
 「言わないなら、智樹の大好きなイチゴ食べちゃうよ?」

 ショートケーキのてっぺんに乗っかったキラッキラのイチゴに、和人がフォークをプスッと突き刺し、そのまま口に入れようとする。


 え、それだけはダメっ!
 だって最後の楽しみに残してあるんだもん。


「わ、分かったから、言うから、だから僕のイチゴ返して?」

 僕は、今にもバックンされそうなイチゴを守るために、フォークを握る和人の手を掴んだ。

 「ね、お願い?」
 「じゃ~あ、あーんして?」


 え……、ここ……で、ですか?
 だって皆見てる……よ?


 「出来ない?  だったら……」
 「え、ちょっと待って! するからっ、あーんするから、僕のイチゴちゃん返して? ね、ね、お願い」

 僕は和人に向かって「あーん」って言いながら、口を開けて見せた。


 はあ……、またお姉さん達に笑われてるじゃん……
 恥ずかしいなぁ、もぉ……
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