H・I・M・E ーactressー

誠奈

文字の大きさ
上 下
347 / 688
第22章  日常10:僕、決めた!

しおりを挟む
 口の中に、イチゴの甘さと酸っぱさが広がる。
 必死で守ったイチゴだから、美味しさは格別だ。

 「で、どうだったの?」

 イチゴの無くなったフォークをペロンと舐めて、和人が再び期待に満ちた目をする。


 もお……、ちょっとチューしただけだよ?
 それも事故なのにさ、そんなに気になる?

 でも仕方ないよね……


 僕は小さく息を吐き出すと、氷が溶けてすっかり薄くなったアイスティーをチューッと吸った。

 「んとぉ……、柔らかかった……かな」
 「え、どんな風に?」


 ど、どんな風って……、そんなこと覚えてないよ……
 でも例えるなら……

 「マシュマロみたいな感じ……かな」

 実際にはそこまで柔らかくはなかった……ような気はするけど、柔らかかったことは確か。

 「へー、それで? 味は?」
 「あ、味……?」
 「あるでしょ、レモンの味がした、とかさ」
 「そ、そんなの無いよ。別にベロチューしたわけじゃないし……」


 あ、でも……


 「ちょっとだけコーラの味がした……かも」

 あの時翔真くんコーラ飲んでたし……

 「ふーん、コーラの味ねぇ……」

 ストローでアイスコーヒーの氷をカラカラさせながら、和人がクスクスと肩を揺らす。


 あれ?
 僕、何か変なこと言った?


 「なーんかさ、智樹って可愛いね」
 「え……?」


 僕……、可愛い?


 そりゃHIMEの時には良く言われるけど、素の状態で可愛いって言われることってあんまりないから、どう反応して良いのか困ってしまう。

 「だってさ、キスしただけでそんな顔赤くしちゃってさ、可愛い過ぎじゃない?」
 「え、そ、そんな顔赤い?」
 「くくく、イチゴみたいに真っ赤だよ?」
 「え、嘘っ……?」

 僕は自分の顔をペタペタと触ってみるけど、そんなことしたって分かる筈ないよね?


 でも、ほんのちょっとだけど、顔が熱くなってるのは感じるから、赤くなってるのは確かなんだろうな…… 


 「智樹、嬉しかったんだね?」
 「うん、嬉しかった……よ」

 例え事故みたいなキスでも、キスには違わないからね?


 でもさ……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

処理中です...