H・I・M・E ーactressー

誠奈

文字の大きさ
上 下
234 / 688
第16章  日常7:眠れない僕と寝相の悪い彼

19

しおりを挟む
 先に仕事に戻ると言う桜木くんを見送り、手をジャブジャブと洗った僕は、ちょっぴり気まずさ……ってゆーよりかは、気恥しさを感じながら、相変わらず途切れることなく人が並ぶレジカウンターに戻った。

 「僕レジ入ります」

 忙しそうに貸出処理をしながら、同時に返却処理もする店長さんに声をかけると、店長さんは一瞬顔を赤くした(ような気がした)けど、すぐにいつもの顔に戻り、「頼むよ」と僕にバーコードリーダーを差し出した。





 「お疲れ」
 「お疲れさま」

 就業時間を過ぎ、桜木くんと一緒にスタッフルームに戻った僕は、エプロンも外すことなくパイプ椅子に腰を下ろした桜木くんに向かって頭を下げた。

 「今日はその……、色々ありがとう」
 「なに、どうしたの? 俺、大野くんにお礼言われるようなこと、何かしたっけ?」

 僕が言うと、桜木くんがは超すっとぼけた顔をして、両手を『分かりませんと』ばかりに広げた。

 「だ、だから、ニキビくんのこと……、ありがとう……」
 「ああ、そのこと? だったら、友達として当然のことしただけだし、他のお客さんの迷惑にもなるし……、だから礼なんか必要ないよ」

 うん、桜木くんならそう言うと思ってたよ。
 でもさ、やっぱり一度ならともかく、二度も三度も助けて貰ったし……、ちゃんとお礼は言わなきゃだもんね?

 ほら、親しき仲にも礼儀ありって言うじゃん?

 「それにさ、礼ならまた今度纏めて貰うしさ♪」
 「あ、ラーメン……?」
 「そ♪ 奢ってくれるんだもんな?」
 「それは……、約束したから……」
 「だろ? だから今は礼はいらないから」
 「うん……」

 なんだか分かったような分からないような……、とっても不思議な感じだけど、桜木くんらしいっちゃらしい・・・のかな。

 あ、そんなことよりニキビくんの登場ですっかり忘れてたけど……

 「ねぇ、さっき、僕の友達と何話してたの?」

 桜木くんが和人とこしょこしょ内緒話してたのが、僕はずーっと気になってたんだよ!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...