H・I・M・E ーactressー

誠奈

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第9章  日常3:彼の部屋

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 あ、そう言えば……

 「ご両親、出張だって言ってたけど、いつ帰って来るの?」
 「確か明後日って言ってたような……」
 「え、明後日? ってことは、それまで桜木くん一人なの?」

 まだほんのちょびっと……でもないけど熱だってあるのに、こんな広いお家で一人って……

 「大丈夫……なの? ご両親に連絡してあるんだよね?」

 普通、息子が熱出したって言ったら、いくら出張中って言ったって、予定変更してでも帰ってくるよね?

 「親には連絡してないよ」
 「え、何で?」

 だって病気なんだよ?

 「別に大したことないし。それに、親いたってあれこれ世話焼くばっかで、かえって落ち着かないし……」


 そりゃそうかもしんないけど……
 なんならその気持ちも分からなくもないけど……


 「で、でも、もしものことがあったらどうするの?」

 桜木くんは「ただの風邪だ」って言うけど、ただの風邪こそ馬鹿にしちゃいけないんだよ?

 「うーん……、そん時はそん時でしょ。それに、困ったことがあったら、また大田くんにメールすれば良いし」
 「は、はあ?」

 何か意味分かんないんですけど?


 大体、僕は便利屋さんじゃないし!


 「あ、それとも親が出張から帰って来るまで、大田くんが泊まり込みで俺の看病してくれても良いけど?」
 「へ? ちょ、ちょっと何言ってんの?」

 なんで僕が桜木くんの看病を?
 そもそも僕は看護師さんでもなんでもないし!

 ますます意味が分かんないよ……

 あ、でも僕が帰った後で、桜木くんにもしものことがあったら、後悔してもしきれないよ……ね。


 「わ、分かった、桜木くんがそう言うなら、僕泊まっても良い……よ?」

 どうせ来週まで撮影の仕事はないし、レンタルショップのバイトも明日は休みだし。

 「あ、でも一晩だけ……ならね?」

 僕か言うと、桜木くんは元々大きな目を更に大きくして、ちょっと驚いたように僕を見ていた。
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