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第6章 宿望…
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智子への想いを胸に秘めたまま時は流れ、僕は大学進学と同時に家を出た。
母様は激しく反対したが、父様は後学のためならばと、僕が家を出ることを許可した。
家を出る時、智子は酷く泣いて僕を引き止めようとしたけど、僕はそれを振り切るようにして家を飛び出した。
後ろ髪を引かれなかったわけじゃない。でもそこで躊躇ってしまっては、僕の大きくなり過ぎた智子への想いが爆発してしまいそうで、どうしても足を止めることが出来なかった。
仕方ないじゃないか。
敢えてのことなのか、僕には知らされていなかったが、智子と潤一の婚礼の準備が、僕の見えない所で着々と進められているのを、偶然にも僕は知ってしまったから……
僕が傍にいることで、智子の幸せの妨げになることだけは、どうしても避けたかった。
智子を愛しているから、智子の幸せを心から願っているからこそ、僕はこれ以上智子の傍にいてはいけないんだ。
僕は智子への想いを、胸の奥深くに仕舞いこんだ。
長年住み慣れた家を飛び出した僕は、その足で二木君の家の近くに部屋を借りた。
玄関とは名ばかりの小さな土間や、洗面台程の台所を含めても、僕の部屋よりもうんと狭く、薄暗く古びた部屋を……
畳は擦り切れ、障子紙だって破れてはいたが、それでもそこが自分だけの城だと思ったら、少々の住み心地の悪さなんて、全く気にならなかった。寧ろ快適な空間にすら思えた。
結局のところ、智子と離れられるならば、場所なんてどこでも良かったんだ。
母様は激しく反対したが、父様は後学のためならばと、僕が家を出ることを許可した。
家を出る時、智子は酷く泣いて僕を引き止めようとしたけど、僕はそれを振り切るようにして家を飛び出した。
後ろ髪を引かれなかったわけじゃない。でもそこで躊躇ってしまっては、僕の大きくなり過ぎた智子への想いが爆発してしまいそうで、どうしても足を止めることが出来なかった。
仕方ないじゃないか。
敢えてのことなのか、僕には知らされていなかったが、智子と潤一の婚礼の準備が、僕の見えない所で着々と進められているのを、偶然にも僕は知ってしまったから……
僕が傍にいることで、智子の幸せの妨げになることだけは、どうしても避けたかった。
智子を愛しているから、智子の幸せを心から願っているからこそ、僕はこれ以上智子の傍にいてはいけないんだ。
僕は智子への想いを、胸の奥深くに仕舞いこんだ。
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玄関とは名ばかりの小さな土間や、洗面台程の台所を含めても、僕の部屋よりもうんと狭く、薄暗く古びた部屋を……
畳は擦り切れ、障子紙だって破れてはいたが、それでもそこが自分だけの城だと思ったら、少々の住み心地の悪さなんて、全く気にならなかった。寧ろ快適な空間にすら思えた。
結局のところ、智子と離れられるならば、場所なんてどこでも良かったんだ。
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