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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-
-第三章七十一節 ロストモンスターと大ジャンプ!と地下からの帰還-
しおりを挟むアヤ達の居るエレベーターまでの距離は約300m!…そしてティラノ自身の
大きさが約6m!…当然迫って来るティラノに対しシロやマリーも戸惑った
様子を見せる中!…マサツグの言う事を聞いたアヤが急いでエレベーターに
乗り込んで行くと、シロとマリーを呼び寄せようとする!…しかし幾ら危険
とは言えやはりマサツグを見捨てられない様子で!…逆にアヤの言葉に対し
疑った様な視線を向けると、更に戸惑い様を露わにする!…
「早く乗って!!…ここを離脱するわよ!!!」
「ッ!?…り、離脱って!!…おにぃちゃんは如何するのよ!?…
ッ!?…ま、まさか見捨てる気!?…」
「ッ!!…そんな訳ないでしょ!!…
これもマサツグからの指示なのよ!!!…とにかく乗り込んで!!!…
早くしないと私達まで巻き込まれるわよ!?…」
マリーは信じられない様子であからさまに狼狽え戸惑うと、アヤに対して
ツッコミを入れ!…だがその言葉を聞いてアヤもバ待って居られないと
言った様子で途端に反応すると、寧ろマリーに反論する!…この時絶対に
私は仲間を見捨てない!と言った鬼気迫る感情を露わにすると、さすがの
マリーも気圧された様子で!…とにかくマサツグに迷惑を掛けない為にも!…
再度シャボン玉エレベーターに乗り込むようシロ達に言い聞かせ始めて
居ると、その一方でマサツグもある事を考えていた!…
__ドッドッドッドッ!!!…ガアアアアァァ!!!…
{…クッ!!…やっぱ振り切れねぇ!!!…
とは言えこのままだとアヤ達を巻き込んじまう!!…
最悪アヤ達だけでも逃げて貰う他ないんだが!!…
俺だってこんな所で死にたくねぇ!!!…
……一か八かだが賭けるっきゃない!!!…
命をぉ!!!…燃やせえええぇぇぇぇ!!!!}
__クルッ!!…ザザァ!!…チャキ!!…
「はぁ!…はぁ!…グッ!!…ダッシュ斬り!!!」
今だマサツグを追い駆けてはティラノはマサツグを一口に齧り付こうとし!…
マサツグもそのティラノからの猛攻を避けつつ徐々にエレベーターへ近付くと、
息を切らしながらも思考を駆け巡らせる!…この時最悪の事態についても考える
のだが、やはり自身の生存本能が生きろ!と叫ぶ様で!…とにかく何かを既に
思い付いて居る様子そのままに!…エレベーターが動き出すまでの時間稼ぎに
打って出ようとすると、振り返っては瞬時に大剣を構え!…そして隙を見計らい
技をティラノ目掛けて放って見せる!…しかし!…
__ババッゴオォォ!!…ガキイィィィィン!!!…
「ッ~~!!!!…か!…き!…く!…け!…こおぉ~~~~!!…
これは!…これは不味い!!…肉質以前の問題!…」
マサツグはティラノの頭を掻い潜り懐へ!…勢いそのままにその足首に向かい
ダッシュ斬りを敢行するのだが、見事に大剣の刃は弾かれてしまう!…まるで
最初水晶の卵を叩き壊した時の様に!…あの何とも言えない痺れと鈍い痛みを
覚えると、思わず握っていた大剣を手放しそうになる!…そうして改めて斬り
掛かった足首に目を向けると、そこにはあの水晶が!…やはり体はその水晶で
コーティングされているのか、水晶にはヒビが入り!…肝心の足首は無傷の
様子を見せると、ティラノは足元に居るマサツグを踏みつけようとする!…
__ガアアアアアァァァ!!!!…ッ!?…ズドオォン!!…
「ッ~~!!!…っぶな!?…」
__ガアアアアアァァァ!!!!…ズドオォン!!…
「ッ~~~!!!…チッ!!…好き勝手暴れやがって!!!…
鑑定!!」
その足を上げると地団太を踏む様に!…足自体も当然大きく判定も大きく!…
マサツグがその様子を見て咄嗟にドッジロールで回避をすると、次の瞬間には
足跡がクッキリ!…勿論振動も土埃も起きまくり!…マサツグが紙一重と
言った様子で青褪めていると、更にティラノは地団太を踏み続ける!…だが
マサツグも二回目は予期して居た様で、今度は余裕を持って回避をし!…
ティラノに対して若干の苛つきを覚えつつ!…とにかく他に情報を!と言った
具合に鑑定を発動すると、マサツグの目の前には驚くべきステータスが
表示される!…
__ピピピ!…ヴウン!…
-----------------------------------------------------------------------
「NO DATA」
Lv.
HP ATK DEF
MATK MDEF
SKILL
-----------------------------------------------------------------------
「ん?…ッ!?……は?…の、NO DATA?…
いやいやそんなまさか!…現にこうして目の前に!!…
鑑定!!」
__ピピピ!…ヴウン!…
-----------------------------------------------------------------------
「NO DATA」
Lv.
HP ATK DEF
MATK MDEF
SKILL
-----------------------------------------------------------------------
「………。」
__ガアアアアアァァァ!!!!…
ティラノに対して使った鑑定の判定はまさかのNO DATA!…これには
マサツグも戸惑っては有り得ない!と零し!…再度鑑定を試すのだが!…
結果は同じに!…まさかの結果が出ない事にマサツグが絶句してしまうと、
バグったのか?と無言で戸惑い!…その間にもティラノはマサツグに向けて
再度攻撃を開始!…マサツグも止まっている場合では無い!とばかりにハッと
気を取り戻すと、慌てて回避運動に入り出す!…
「ッ!?…どわっっちゃ!!!」
__ガアアアアアァァァ!!!!…ズドオォン!!…
「ッ~~~!!!…くそったれ!!!…
こうなりゃトコトン相手してやんよ!!…
…念の為あのラプターに!!…鑑定!!」
__ピピピ!…ヴウン!…
-----------------------------------------------------------------------
「クリスタルイーター(Type.ラプター)」
Lv.40
HP 6500 ATK 390 DEF 410
MATK 0 MDEF 390
SKILL
仲間呼び Lv.MAX 健脚 Lv.10 悪路走行 Lv.9
水晶外殻(軽)
-----------------------------------------------------------------------
「ッ!?…こっちは出る!?…って事は正真正銘コイツだけ!?…」
気の抜けている隙を狙う様にストンピング!…だがマサツグはこれも回避!…
まるでダンゴムシのよう転がっては体勢を整え!…本当に可笑しくなったのか
確認するよう先程のラプター達に向けて鑑定を発動すると、今度はしっかり
と表示される!…その際色々と気になるスキルが有るのだが、それよりも今は
目の前のティラノで!…可笑しいのはコイツか!とマサツグが原因を突き止めた
様子で確信して居ると、背後のエレベーターでは漸くシャボン玉が動こうとして
居た!…
「ッ!!…よし!…やっと動く!!…
動かなかった時は焦ったけど!…これで!!…」
「……ご主人様は大丈夫でしょうか?…」
「……あの話が嘘だったら承知しないんだからね!!」
「ッ!…こんな時に嘘は吐かないわよ!!……マサツグ!!…
お願いだから無事で居て!!…」
シロやマリーを説得するのに時間を取り!…恐竜達が生まれた?…それとも
地響きのせいでかシャボン玉エレベーターが動かなくなると、その復旧作業を
急ぐ事で更に時間を取らされる!…しかしマサツグの時間稼ぎのお陰か、
何とかシャボン玉エレベーターの復旧に成功し!…マサツグの事を信じた様子で
そのシャボン玉エレベーターを動かそうとすると、やはりシロとマリーの二人は
マサツグの事を心配をする!…この時シロはマサツグが戦っているであろう
方向を見詰めては不安げな表情を浮かべ!…マリーは一応アヤの言葉を信じた
様子を見せるのだが、やはり完全には信じ切って居ない具合にアヤへ対して
文句を言い!…アヤもそのマリーの言葉にツッコミを入れ!…自身も不安を
積もらせながらマサツグの言う事を聞くと、シャボン玉エレベーターを動かし
始める!…
__ぷよん!…ぽよぽよぉ……ふわあぁ!!…
「……ッ!!…スゥ~!!…マサツグゥ~!!!…
動かしたわよぉ~!!!」
「ッ!?……ッ!!…スゥ~!!…
ごしゅじんさまぁ~!!!」
「ッ!!…スゥ~!!…おにぃちゃあぁ~~~ん!!!」
徐々に地下を離れて行こうとするシャボン玉エレベーター!…それと同時に
マサツグの様子も少しづつながらもハッキリと見え出し!…ティラノ相手に
苦戦している姿もバッチリ目撃すると、アヤはすかさず息を吸って叫ぶ!…
この時叫んだ言葉と言うのはエレベーターを動かしたと言う言葉で!…
マサツグもそのアヤの叫ぶ声が聞こえたのかチラッとだけ背後を気にする様な
挙動を見せると、シロとマリーも叫び出す!…その際アヤが突如叫び出した
事で戸惑った反応を見せるのだが、直ぐに順応した様子で!…マサツグも
シャボン玉エレベーターが動き出した事で覚悟を決め!…一発限りの勝負に
出ようとすると、まずは刹那を発動する!…
「ッ!…エレベーターが動き出した!!…よし!!…
んじゃまぁ、覚悟決めるか!!!…刹那!!!」
__ヴウン!!……バババッ!!…
「まずはアイツの足元から離れて距離を取る!!…そしたら!!…」
__ッ!!…グアアオオオォォォォォォ!!!…
マサツグが刹那を発動するといつもの様に超反応状態に!…そしてすかさず
バックステップでティラノの足元から離脱!…一気に距離を離して行き!…
ティラノがある行動を取り始めるのを今か今か!と言った様子で身構えて
居ると、次の瞬間にはやって来る!…そう!…マサツグが待って居たティラノの
行動と言うのは咆哮であり!…ティラノは天高く頭を上げては辺りに響かせる
よう吠え出し!…その際尻尾は地面に着き!…体も遠吠えをするよう背中を
反らせて傾斜を作り!…マサツグもそれを見てチャンス!と踏むと、急いで
大剣を納刀するなり駆け出して行く!…
「ッ~~~!!!…うっせぇ!!…だが!!…
ここでチャンスを逃す訳には行かない!!!」
__ババッ!!…ダッダッダッダッダッダッ!!…ッ!?…ダン!!!…
「いっけぇええええええええ!!!!!」
当然吠えているティラノに近付けば近づく程のその咆哮は耳に刺さる!…しかし
そこで怯んでは居られないと!…マサツグも歯を食い縛り踏ん張って見せると、
遂にティラノの背中に足を掛ける!…そこからはシロと追い駆けっこをする要領で
一気に背中を駆け上がり!…すると勿論ティラノも背中の異変に気が付き!…
咄嗟に振り返り確認しようとするが、その前にマサツグがティラノを踏み台に
してしまう!…その際有りっ丈の力を込めて思いっきり踏み込みティラノの頭を
蹴飛ばすと、上昇して行くエレベーターに向かい飛んで行き!…本来ならそんな
事出来る筈がないのだが!…ここはゲームの世界と言う事でマサツグが例に
漏れず突拍子も無い事をすると、その様子にアヤが度肝を抜かれる!…
「ッ!?…嘘!?…」
「ご主人様(おにぃちゃん)!!…」
__ゴオオォォォ!!!…スッ…
{……クッ!…飛距離が足んねぇ!!…
確かに攻撃を躱しつつ距離の調整はしたが!!…
…距離にして後数mって言った所か!?…届かねぇ!!!…}
上昇するエレベーターに向かい飛んで来るマサツグ!…それもティラノを
踏み台にする等!…勿論のこと前代未聞の事で有り!…ただ信じられない
様子で口に手を当て驚いた反応を見せて居ると、シロとマリーが途端に
慌てて手を伸ばす!…小さい手ながらも必死にマサツグを受け止めようと
伸ばすと、マサツグを応援するようそれぞれ二人が呼ぶのだが!…やはり
マサツグの飛距離が足りて居らず!…あと数mの所でマサツグが失速し
始めると、シロとマリーが更に慌て出す!…その際マサツグも届かないと
覚悟した様子で歯を食い縛るのだが、諦め切れないのか手を伸ばし!…
だが無情にも空を斬るだけで!…結局マサツグはそのまま落下して行きそう
になって居ると、更に奇跡を起き始める!…
__グググッ!!…ブオァ!!!…
「ッ!…え?…」
__ズンッ!!!…ッ!?…ガアアアアアァァァ!!!!…
「グッ!!!…ここに来て有り難いやら悲しいやら!!…
追撃が飛んで来るとか!!…」
この時起きた奇跡と言うのは、ティラノの追撃で!…ティラノは何を思ったのか
自身の尻尾を銜えると、鞭の様に!…それこそ某・一狩り置こうぜのゲームに
出て来る尻尾が刃の様な恐竜の如く攻撃モーションを放つと、マサツグの背中
目掛けて重い一撃を放つ!…それこそ尻尾自体には直撃していないのだが、
風圧にもダメージ判定が有る様で!…マサツグはノーガードでその風圧を背中に
受け更にエレベーターに向かい飛んで行き!…マサツグも嬉しい誤算と言った
様子でそのまま飛ばされると、遂にはアヤ達との合流を果たす!…しかし!…
__ヒュウウウゥゥ!!!…ビタアァァァン!!!!……ポテッ!…
「ッ!?…ご、ご主人様!?…ごしゅじんさまぁ!!!…」
「おにぃちゃんしっかり!!!…」
「アガ…アガガガガ……」
吹き飛んだマサツグは確かにエレベーターへ向かい飛んで行くのだが、
高さが合っておらず!…エレベーターが到達する前の高度に飛ばされ!…
そのままクッションも無く壁に叩き付けられると、大ダメージを受けた
後シャボン玉エレベーターに回収される!…宛らそれは漫画の様に
大の字で!…当然そんな姿で回収された事にシロとマリーは心配し!…
マサツグはマサツグで絶賛気絶!…アヤもそんなマサツグの様子に
絶句した状態で戸惑って居ると、そのエレベーターの下ではティラノが
吠えて居た!…
__ガアアアアアァァァ!!!!…ゴオオォ!!…ドガアアァァン!!!…
「ッ!?…な、何!?……ッ!…」
__ドガアアァァン!!!…ドガアアァァン!!!…
「な!…何て執念なの!?…
壁に体当たりしてまで私達を追い回そうとしている!…」
まるで逃げるな!と文句を言って居る様に!…ティラノはシャボン玉
エレベーターの下で一際大きく吠えて見せ…次には少し諦めた様子で
数歩下がると、壁に向かってタックルをし始める!…宛ら木の実でも
落とすかの様に!…当然タックルをされた事で僅かながらもシャボン
玉は揺れ、そんな様子にアヤは慌てて戸惑い!…一体何が起きているんだ!?
と言った状態でシャボン玉エレベーターの下を確認すると、そこで
タックルを続けるティラノの姿を見つける!…この時そのティラノの
様子は一心不乱で!…勿論そんな様子を目にしたアヤは更に戸惑い!…
敵ながらその執念の強さに思わず感心をしていると、マサツグも徐々に
目を覚まし始める…
「…ッ……あ、あれ?…ここは?…」
「ッ!!…ご、ごしゅじんざばぁ(おにぃぢゃぁん)!!…」
「ッ!?…どわあぁ!?…な、何!?…何が如何なって!?…」
エレベーターの下からは今だズシン!と重い響きが聞こえ続け!…それを
目覚ましにマサツグが目を覚ますと、戸惑った様子で軽く辺りを見回す!…
それと同時にマサツグが目を覚ました事でシロとマリーが飛び付き!…
泣きそうになりながらも倒れるマサツグを埋めると、更にその温かい歓迎
具合にマサツグは戸惑う!…この時シロとマリーを落ち着かせるよう頭に
手を伸ばすと、慣れた様子で撫で始めるのだが!…
__スッ…なでなで…なでなで…ガッシ!!…
「「うえええぇぇぇぇぇぇん!!!」」×2
「ッ!!…マサツグ!!…貴方無茶し過ぎよ!!!…
…前よりトンデモナイ事して!!…ホント!……良かったぁ~!…」
「ッ!…いやぁはははは…すんません……」
幾ら撫でた所でシロとマリーは落ち着かず!…寧ろ激化した様子で泣き始めると、
ただただマサツグに縋り付くよう抱き着きに掛かり!…やはり埋めに掛かるので
あった!…その際アヤもマサツグが目を覚ました事に気が付くと、怒った様子で
説教をし!…それでも無事だと言う事に安堵し、そのアヤからの説教を聞いた
マサツグも苦笑いをしながら謝ると、その下では今だティラノが暴れていた!…
__ドガアアァァン!!…ドガアアァァン!…
「ッ!……ん?…ッ!?…うわあぁ!…た、高い!…
じゃなくて!!…まだ暴れてる!…てか、これ落ちない!?…」
「ッ!…安心して?…
今までシャボン玉エレベーターが使用中に落ちた事は一度としてない!…
それにもうここまでくれば安全圏よ!……後は頂上に戻るまでの間!…
別の奴に襲われないかを警戒するだけ!…まぁそれも滅多に狙われる事は無し?…
実質依頼完了よ?…」
「……何かフラグにしか聞こえんのだが?…」
シャボン玉エレベーター越しでも分かるその振動にマサツグは気付くと、下を
確認しては一人青褪め!…その際ティラノのタックルによる振動でシャボン玉
エレベーターが落ちないかと!…心配した様子で言葉を呟き震えていると、
マサツグの独り言を聞いてかアヤが安心するよう声を掛ける。だがこの時
そのアヤの言い回しは如何にも怪しく、フラグを建てて居るの様に聞こえ!…
当然そのアヤの言葉にマサツグは小さくツッコミを入れ!…暫くその頂上に
向かって上って行くシャボン玉の中で揺られていると、またヒカリゴケによる
幻想的な風景を目にする!…
__ぽおぉ!…キラキラ!…ぱあぁぁ!!…
「ッ!…ほおおおぉぉぉ!…これがシロの言って居たキラキラか!…」
「ッ!…あれ?…見てなかったの?…
それに何度もシロちゃんが聞いていたのに?…」
「……顔面に幼女をくっ付けたまま視界を確保出来るとお思いで?…」
「じゃあ何であんな迷いなく歩けるのよ!…」
行きの道中でも見た光景なのだが、マサツグは初見とばかりに驚き!…そんな
マサツグの様子にアヤは不思議そうに質問をし、シロが質問をして居た事に
ついても尋ねると、マサツグはアヤにツッコミを入れるよう返事をする!…
その際やはりシロが顔に張り付く事によって視界が悪い事を口にすると、逆に
アヤからツッコミを受け!…その間シロとマリーはそんな二人の様子など
御構い無し!…安心して泣き疲れたのかマサツグを抱き枕に静かな寝息を立て
出すと、しがみ付いては離れようとしない!…
__……すぅ…すぅ…
「……ッ!…ありゃりゃ…いつの間にか寝てるし…」
「…当然でしょ?…あんなに心配をしていたんだから!!…
後で目を覚ましたらその子達にも謝りなさいよ?…
…はぁ…本当に!…最初から最後まで貴方の心配をして居たんだから!…
お陰で説得するのが大変だったし!…」
徐々にシロ達の寝息が耳に入り…マサツグもここで漸くシロ達が寝て居る事に
気が付くと、視線をシロ達に向ける…するとそこにはマサツグのお腹を枕に
安心した様子で眠って居るシロ達の姿が有り、マサツグが寝ていると言葉を
口にし…するとそのマサツグの言葉にアヤは当然と!…後で目を覚ました際の
シロ達の扱いについて注意をするよう言い聞かせると、更に続いて文句を言う!…
その際その時の事を思い出す様に軽く息を吐き出すと、説得がしんどかったと
言葉を口にし!…そのアヤの様子から容易に想像が出来たのか、マサツグも
それを聞いて途端に申し訳なさを感じると、再度アヤに対して謝罪をする…
「ウッ!!…そ、そいつは申し訳ねぇ…」
「…はぁ…帰ったらちゃ~んと奢って貰うからね?」
「ッ!?…へ~い……」
余程大変だったのだろう!…そのアヤの具合からは今日一番の疲労の調子が
見て取れ、エレベーターを操作するのも疲れた様子を見せると、若干猫背に
なっては溜息ばかりを吐いて居た…そうしてアヤにマサツグが謝っていると、
アヤはマサツグに奢り!と言い…マサツグもその言葉を聞いて覚悟したよう!…
諦めつつも落胆した表情で返事をすると、アヤは若干回復したのか明るい
表情を見せる!…まるで生きがいを見つけたOLの様に!…とにかく帰れば
明日も頑張れる!と言った様子を見せて居ると、頂上が見えて来た事を
口にする。
「……ッ!…もうすぐ着くわね!…一時は如何なる事かと思ったけど…」
__シュウウウゥゥン…ぽよん、ぷるぷる!……ゴソゴソ!…シュルッ!…
「……ッ!…マサツグそれは?…」
「え?…あぁ、おんぶ紐!…いやぁシロ達寝てるから!…」
…さて何かに襲われる事無くそのままシャボン玉エレベーターへ乗り込んで
来た場所まで戻って来ると、マサツグも体を起こし!…その際シロ達を
起こさない様に!…慣れた様子で上体だけを起こして見せると、自身の
アイテムポーチを漁り始める。そして徐にポーチの中から一本の紐を
取り出して見せると、その紐にアヤは疑問を持った様子で…マサツグに
紐について質問をし出し、その問い掛けに対してマサツグも何の様子も無く
返事をすると、次には慣れた具合にシロを縄で縛ってしまう!…縛って
しまうと言ってもおんぶをすると言う意味で、別に意味深な事はなく!…
シロを自身の体に固定するともう一本紐を取り出し!…今度は抱っこする様に
マリーを体に固定し始めると、その時のマサツグの姿はまるで!…
__シュルシュル…ギュッ!…シュルシュル…ギュッ!…
「……マサツグ貴方?…まるで肝っ玉の有る母親みたいになってるわよ?」
「…さぁ!…帰ろうか!」
「しかもちゃんと動けるのね?…貴方の体力…
いや、体は如何なって居るの?…」
この時のマサツグの姿はまるで昭和の肝っ玉母さん!…そしてその姿は
エルフ達にも馴染みがある様で、まるでそれ見たい!とアヤがそれと無く
ツッコミを入れると、マサツグは気にしていない様子で立ち上がって
見せる!…だがやはり幼女二人はさすがに重い様で、ズッシズッシと
歩いては走れない!と言った姿も見せ!…しかしマサツグはビクともして
居ない具合に笑顔で答え!…アヤより先に出口を目指すよう歩き出すと、
アヤはそのマサツグの体力お化け具合に戸惑いを覚える!…そうして
先を急ぐマサツグの後ろを付いて行くようアヤが歩いて居ると、徐々に
出口が見え出し!…アヤのフラグめいた言葉が嘘の様に!…あの衛兵達が
見張っている不気味な洞の前に出て来ると、そのマサツグの姿を見るなり
衛兵達は戸惑う!…
__ズッシ!…ズッシ!…ズッシ!…ズッシ!…
「……ふぅ、着いたあぁ!!」
「ッ!?…あ、貴方は!?…それにその恰好!!…
まさかあの空洞をその姿で!?…」
アヤと一緒に入って行った冒険者が戻って来る!…それは良い!…
だが何だその状態は!?…と言わんばかりに衛兵達はマサツグを
見つけるなり仰け反り!…マサツグはマサツグで漸く出て来れた!
とばかりに声を上げると、空を見上げる!…この時日の傾き具合から
見て約昼の3時頃と言った所か?…衛兵達もとにかく戸惑った様子で
マサツグに声を掛け出すと、まずは自分達の思う疑問を投げかけ
始める!…だがその問い掛けの言葉は直ぐに否定の言葉となって
帰って来る!…
「いやいやいやいやいや!…さすがにそれは無いけど!…」
「ッ!?…姫様!!…ご無事で!!」
「ただいま!…にしても凄いわね?…
これからギルドに向かって降りて行くけど…
…大丈夫?」
__………プルプルプルプルプルプルプルプル!!…
マサツグの後からアヤが姿を現し始め!…まるで衛兵達にツッコミを入れるよう
返事をすると、衛兵達もそのアヤが姿を現した事にホッとする!…確かに護衛は
着けて居たものの、やはり万が一が有った場合は!と考えて居た様子で!…
そんな衛兵達に答えるようアヤも笑顔でただいまと言い!…改めてマサツグの
体力に驚きを見せると、次にギルドまでの道中を心配し始める!…その際アヤは
体力的な意味でマサツグに大丈夫か?と質問をするのだが、マサツグは途端に
可笑しな挙動を見せ始め!…シロとマリーを抱えてはプルプルと足を震えさせ!…
そして徐々にその表情も青褪め何かに恐怖を覚えている様な素振りを見せると、
次にはアヤに対してこう返事をする!…
「……大丈ばないかも知れん!…」
「ッ!?…ちょ、ちょっと!?…何でそんなに青褪め!…」
「アヤァ!?…俺の顔にくっ付いてくんね!?…
シロみたいに!!…た、高さが!!…高さがあぁぁ!!…」
「ッ!?…で、出来る訳ないでしょおぉ!?…
体格的に考えなさい!!!…恥ずかしいでしょうが!!!…」
恐る恐るアヤの居る方へ振り返るなり冷や汗を掻きながら青褪め続け!…
そんなマサツグの様子にアヤも戸惑った反応で返事をすると、その理由について
尋ねようとする!…しかしそれ以上にマサツグがテンパっては更に冷や汗を
掻き続け!…次にはシロの真似をするようアヤに訴え始めると、高さが駄目と
嘆いて見せる!…だが当然言われて出来る筈もなく、アヤはその言葉を聞くなり
慌てて直ぐに否定し!…顔を真っ赤にしては恥ずかしいと!…一応考えた様子で
マサツグのお願いに対して全力で拒否するよう言葉を荒げると、そのアヤの
戸惑い具合に衛兵達は少しながら疑問を覚えるのであった!…
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嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
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糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
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蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~
月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。
「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。
そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。
『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。
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スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。
※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。)
※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。
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