135 / 945
-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-
-第二章三十節 監獄生活と羊の囚人と脱獄-
しおりを挟むさて…こうしてマサツグは前の話で捕まって今獄中…捕まってから約二日?…
三日?の時間が経とうとして居る頃…マサツグは牢獄内で何もする事無く
ただボォ~としては何も無い天井を眺めていた…
ここでちょっとしたお話をば…今マサツグはこうやってハーフリングスの
監獄に投獄されている訳だが…実はこのゲームには牢屋に入れられる…
監獄に連れて行かれる等の冒険者を拘束する様な出来事と言うのは基本的に
無いのである。無論ゲーム内で違反をした場合は、運営側が違反行為をした
冒険者に対してペナルティを与えると言った事はするのだが、そう言った
場合は運営サーバーに強制転移させられてはお説教とペナルティ!…その後
大抵は衛兵の駐屯地前に転送されてはゲーム内通貨の罰金・能力等の制限・
経験値取得削減等!…やった罪が重い程にペナルティも重くなる様になって
おり…さすがにアカウントハッキングと言った個人情報等の取得・悪用と
言った重罪の場合になると、強制退会・最悪違反した冒険者に対して訴訟を
起こすと言った制裁処置に発展するのだが…今回の様なマサツグが牢屋に
入っている事はかなり珍しいケースであり…因みにこの状態でログアウト
しても牢屋に入れられたままである。
そして話は戻り…マサツグは天井を見詰めてはどのタイミングでアスモ
マウデルが出て来るのか?…自分の中で燻ぶるこの嫌な予感は何なのか?…
シロとミスティーは無事なのか?…ただそんな事を考えながら何事も無く…
ジメジメとした涼しい牢屋の中に入って居ると、ふと対面の牢屋に入って居る
囚人に話し掛けられる。
__ゴソゴソ!…
「なぁ?…なぁ!…アンタ!!」
マサツグに話し掛けて来たその囚人はやはり獣人族で、マサツグ同様
囚人用の服を着せられて居るのだが恰幅が良いのか…今にも裂けん
ばかりに服がパツパツになっており、マサツグみたいな人間は珍しいと
言って牢屋の前に移動して来る…その際何故そこまでパツパツなのか?と
マサツグは思わず疑問を感じるのだがその疑問は直ぐに晴れ、如何やら
その囚人は羊の獣人らしく…あのモコモコの体毛は獣人になっても
健在とばかりに!…手入れ出来ない様子で生え伸びては服の内側から
押し広げて居るようであった。
「……ッ!…ん?…もしかして…俺?…」
「この周りには僕とアンタの二人しかいないよ!…
それよりもアンタ!…外から来たんだろ?
人間がこの国に来る事は出来ないし…一体何をやって捕まったんだい?…
見た感じアンタはそんな悪人には見えないんだが…」
「……分からねぇぞ?…人は見掛けによらねぇとも言うからな?…」
そして話し掛けられたマサツグもそんな羊の囚人に確認をするよう
返事をすると、羊の囚人はアンタしかいないと肯定し…何かを気に
するよう興味を持った様子でマサツグに再度質問をすると、
マサツグは壁にもたれ掛かって居た体を起こしてはその羊の囚人の
居る方に向かい移動する。その際マサツグもその羊の囚人の事を
チラッと確認するのだが、そんな牢屋に入れられそうな悪い奴に見えない…
何なら気さくで某アニマルな森のピエンやピエロまでとは言わないが、
そこそこ可愛らしい見た目をしており…何故ここに入れられている
のかと、自分が先程言った言葉がブーメランして来たのかと考えて
いると、その羊の囚人は相手から返事が返って来た事が嬉しかったのか、
嬉々としてマサツグに話し掛け続ける。
「いや!…アンタはそんな人間には見えねぇ!…何だか知らないけど
安心出来る!…そんな気がするんだ!!…って言うかそんな事より!…
アンタは何の罪でここに入れられたんだ?…何か騒がしいと思ったら
アンタが入って来たし…外で暴れたとかか?…」
「……いや?…何も…ただ一応…暴行及び誘拐…後殺人の罪で
ここに入れられている事になって居るみたいだが…
まるっきり身に覚えが無くてな?…俺自身…
何でここに入れられているのやら…」
「…ア、アンタ……濡れ衣着せられてここに居るにしても
幾ら何でも落ち着き過ぎじゃ?……てか濡れ衣って事は!…
やっぱりアンタもあのゲスデウスにやられたって事か!?…」
牢屋に入れられて長いのかその羊の囚人はマサツグに対して安心を
感じている様で、マサツグの事を一方的に信用すると何の罪で捕まったかに
ついて尋ねて出す。牢獄に入れられたらもはやお約束の質問なのだろうが、
その事よりもマサツグは羊に安心感を覚えられた事に戸惑いを覚え…
マサツグもそんな羊の囚人に対し分からないと言った態度で一応
自分に掛けられて有る罪状について話し出すと、そのマサツグの何とも
思って居ない様子に羊の囚人は戸惑う!…しかし罪状が罪状で分からないと…
そう話すマサツグに対して疑問を持つとやっぱり!と言った様子で慌て出し、
聞き覚えの無い名前を挙げてマサツグに確認を求めると、その名前を聞いた
マサツグは途端に困惑補表情を見せる。
「……ッ?…ゲスデウス?…」
「ッ!?…アンタ知らな!……って、当たり前だよな…
その名前で呼ぶのは僕達だけだし…」
「え?…」
マサツグはその羊の囚人に誰?…と言った様子で名前を復唱し尋ねると、
その反応が返って来た事に羊の囚人は嘘だろ!?と言わんばかりに驚いた
表情をして見せ!…知って居る事ありきで話し出そうとするのだが直ぐに
ハッとした表情で一人納得すると、マサツグには分からないな…と言った
悩む表情を見せる。そんな自身の目の前で百面相をする羊の囚人に
マサツグは戸惑いを覚えるのだが、その羊の囚人は直ぐにマサツグの方を
振り向くと、その名前が誰を指して居るのか?…咳払いをしては説明を
し始める。
「…ンン!!…スゥ……アスモマウデル・ゲルデウス・マウニー…
コイツがこの国の宰相で最悪な奴!…自分の思い通りに行かなければ
そいつに責任を擦り付けて監獄送りにしたり!…女性に興味を持ったら
人の嫁さんだろうが婚約者がいようが直ぐに手を出す!!…ただ女王陛下様を
後ろ盾に悪さをする最低な奴さ!!!…そしてそんな奴の名前なんだけど…
アスモマウデルだと長いし?…マウニーだと愛称で嫌!…幸いアイツの
苗字はゲルデウス!…下種野郎のゲスを付けてゲスデウス!…
表立ってはそうは呼ばないけど皆隠れてそう呼んでいるのさ!!…
クソったれ宰相のゲスデウスってさ!!…」
羊の囚人はまずゲスデウスのフルネーム…
アスモマウデル・ゲルデウス・マウニーの名前を口にすると、
そのゲスデウスの下種ぶりについて語り始める!…何やら事が上手く
運ばなければその責任を擦り付け投獄!…女性に見境が無いのか
人妻であろうと美人に手を出しては自分のモノにする等…
自分の良い様にやりたい放題やって居ると言っては、その羊の囚人は
憎悪を秘めた表情をして語り続け!…そして名前の由来についても
下種だからゲスデウスと色々話すが結局簡単に説明すると、マサツグは
その説明に思わず納得してしまう!…
「ッ!…なるほど?…それでゲスデウス…
…で、その口ぶりだとそちらも?…」
「…僕は国家転覆罪……僕は服屋を営んで居てね?…
ある日ゲスデウスが何を思ったか僕の店に服を買いに来たんだ…
その時対応したのが僕のお嫁さんで…自慢じゃないけど美人なんだ!…
それで…ゲスデウスに気に入られては連れて行かれそうなったのを
僕が無理やり止めたんだ!…そして二度と来るな!!…って言って
追い出したらゲスデウスはそれに逆上して…後日この有様…」
国外だけでなく国内でもこの有様かとゲスデウスに対して呆れた様子を
見せると、ふと羊の囚人の罪状が気になり…怒りを覚えている様子から
同じ境遇だと考えるとそれと無く質問をし、その質問を聞いた羊の囚人は
マサツグに俯いて見せると、悔しさを滲ませては話し始める!…聞けば
ただ羊の囚人は自分の嫁さんを護っただけで!…それだけで国家転覆罪に
されたと話しては怒りを滲ませ!…握り拳を握っては手をプルプルと
震わせていた!…その際羊の囚人は見た目こそ今はモコモコなのだが、
腕や足は細く…全身のシルエットから華奢な体立ちをしているのが見て伺え、
身長も然程大きくは無い…約160cmと言った所か?…ゲスデウスの身長が
どれ位かは分からないものの、その小さな体で自身の家族を必死に守ったのが
容易に伺えた!…そうしてその話を聞いてマサツグも色々とゲスデウスに
対して更に怒りを覚え始めていると、徐に羊の囚人は顔を上げ出し…
マサツグの方を見詰めると何やら突然…ある事を話そうとする。
「…そこでアンタに頼みたい事が有る!……
実はアンタの居るその独房は!!…」
__カン!…カン!…カン!!…
「囚人共ぉ!!…飯の時間だ!!…
さっさと牢の前に出て来ないと飯抜きになるぞぉ!!…」
「ッ!?…このタイミングで!!…」
羊の囚人は何か切羽詰まった表情を見せてはマサツグに何かを話そうと
するのだが…タイミング悪く看守が飯の時間と言って食料を配給し
始めると、羊の囚人は焦った様子で話をぶち切る!…何やら看守には
聞かれたくない内容だったのか、途中で話を切られた事にマサツグは
疑問を持ちつつ…ただ看守が食事を持って来るのを待っていると、
唯一の牢獄生活での娯楽なのか他の囚人達が一気に騒ぎ出す!
「いぃやっほおおぉぉう!!…飯だ飯!!」
「腹減ってんだよ!!…早く寄こせぇぇ!!」
__わいわい!…ガヤガヤ!…わいわい!……ガンガンガンガン!!!…
「ッ!?…喧しい!!!…騒ぐ様だと配給せんぞ!!!」
余程空腹だったのか周りの囚人達はお祭り騒ぎの様に盛り上がりを
見せ!…そんな様子に看守達は警棒の様な物で牢屋の格子を勢い良く
叩き始め、監獄中に音を響かせると威嚇しながら囚人達を一喝する!
すると直ぐにそのお祭り騒ぎも落ち着きを取り戻し出すと、次に
聞こえて来るのはまるで「待て」でもして居るかの様な…獣人達の
口呼吸音であり、マサツグがその様子に戸惑いを感じつつ…食事の
配給を待ち続けていると突如話をぶち切って来た羊の囚人の方から
何かを投げ込まれる。
__へっへっへっへっへ!!……ヒョイッ……カサッ…
「ッ!…え?…何これ?…紙屑?…」
「ほら!…囚人!!…飯だ!…」
「え?…あっ…あぁ…」
突如紙屑の様な羊皮紙を投げ入れられた事にマサツグが驚いて居ると、
看守の一人が何やら変に緊張した様子でマサツグの元に食事を運んで
来る!…その様子は怯えている様な警戒している様な?…とにかく
関わりたくないと言った表情でマサツグに食事を運んで来ると、格子の
間から運んで来た食事をトレイごと牢屋に入れ…マサツグも食事を
受け取るようトレイを自身の手前にまで引き入れると、看守は無事
何事も無く終わった事にホッと一安心し…そのまま次の囚人に食事を
運び出すと、その看守の様子にもマサツグは疑問を持つ!…
__……ふぅ……コッ…コッ…コッ…コッ…
「……ッ?…たかが食事を手渡して来るだけで何であのビビりよう?…
相手は牢屋にぶち込まれてるってのに?……それよりも……なぁ!……」
__…シャクシャクッ!…シャクシャクッ!……キョトン?…
「え?…」
何か上から言われたのかそれともただ人間が初めてなのか?…看守の様子に
疑問を持ちつつ…それよりもと言った様子で投げ込まれた羊皮紙について、
羊の囚人にこれは何かと尋ねようとすると、マサツグは更に変な光景を
目にする。それは対面に居る羊の囚人が自分の分の食事を受け取ると独房の
奥に引き籠るよう引っ込んで行く様子で、まるでマサツグとは一度も
話した事が無いと言った…先程までの会話全否定の態度でマサツグに視線を
送っており、あくまでも呼ばれたから反応したと言ったキョトンとした
表情を見せると、その表情にマサツグは戸惑う!…何で急にそんな他人の様な
目で見られるのか…マサツグは戸惑うのだが、とにかく色々と変である事を…
一つ一つ自身の手で解決するよう動き出すと、まずは投げ入れられた羊皮紙を
拾って何かを確認する。
「……変だ……色々と何か…とにかく変だ…何か有るのかこの国には?…
……とにかくこれは何だ?…一応嫌がらせとかでは無さそ……ッ!…
何か書いてある?…」
__カサッ…カサッ…パラァ……
「ッ!?…お、おいおい!…コイツは!!…
…なるほど?……確かにそんな反応を取る訳だ!…
あの羊!…違う意味で国家転覆罪だな!…」
非常に細かく折り畳まれた羊皮紙を手に取り…色々と掲げたりして何かと
確認していると、何かが書かれて有るのかインクの染みが有るのを見つける。
そのインクは赤黒く…まるで血の染みにも似ているのだが、マサツグは
その羊皮紙を開き何が書いて有るのかと確認すると、そこには驚くべき事が
書かれてあった!
------------------------------------------------------------------------------
この監獄には昔…国でかなり悪さをしていた盗賊を捕まえて
居たらしいんだが、如何やら脱獄を計画していたらしい!…
その盗賊は食事の時に出て来るスプーンを看守に隠れて
くすねると、そのスプーンを使って穴を掘って…ここから脱獄を
図ったらしいんだが…脱獄まで後一歩と言う時に看守に
見つかって別の牢に移動になったらしい…その際その掘った穴は
石で塞いだだけらしく、その石を退けたら簡単に逃げれるらしい!…
そしてその牢屋が何処に在るかと言うと実は今アンタの居る牢屋が
それらしい!……これを読んでもし君が脱獄をすると言うのなら…
僕のお願いを聞いて欲しい!…ただ一言…羊の看板が目印の服屋に
行ったのなら!…僕のお嫁さんに愛してると言っていたと言って
欲しい!…ただそれだけ!…如何か!…如何かこのお願いを聞き
届けて欲しい!!…
羊の服屋店主 ペーター・マトン
------------------------------------------------------------------------------
その羊皮紙に掛かれてあった文字は正真正銘の血文字!…当然獄中に
インクなど有る筈も無いから仕方が無いっちゃあ仕方が無いのだが…
その文章量に細かさ!…よく目を凝らして見ないと分からない程に
この牢獄の秘密について書かれて有ってマサツグを驚かせる!…
そして如何やってこの羊皮紙を手に入れたのか?…看守の隙を突いて
この手紙に書いてある盗賊の様に盗んだのか色々と考えされられる
のだが…とにかくこの文章を書くのにそこそこの血を流したであろう事、
そしてここまでやるこのピーターの行動力と家族愛に思わず関心を
抱いてしまうと、ピーターの罪状に納得してしまう!…そうして一通り
ピーターの行動…先程話をぶち切った理由はこれか!と理解した所で
マサツグは辺りを見渡すのだが、その前に食事が目に入ると徐に食事へ
手を付け出す。
__キョロ…キョロ……ッ!……
「……一応先に飯を食っておくか…
万が一に残して怪しまれたら面倒だ!…それに何かしらバフが着く筈!…」
__ガッ!…カッカッカッカッカ!…ッ!…
マサツグはこの監獄の唯一の娯楽になって居る…食事を残しては看守に
怪しまれるのでは?と感じると、急いで食事を摂り始めるのだが…
その食事を食べ出すとふとある事に気が付く!…今回出された食事は
コッペパンの様な細長く硬いパンに若干臭みを感じる肉のシチュー…
パンの方はただ硬いだけで違和感は感じないのだが、肉のシチューの方は
と言うと独特の臭みを感じてはその臭みに違和感を覚える!…マサツグも
その食べた肉の触感…臭い…味…一回は食べた事の有る様なその謎肉に
困惑を覚え…一体何の肉なのか?と思わず考えてしまうと、スッと思い
当たる料理から食材を頭に思い浮かべる…
{……臭い?…そんな吐き出しそうになる程では無いけど…
何だ?…これ?…何処かで食べた事の有る様な?…
妙に草が混じった様な匂い……ジンギスカン?…
…羊?……ッ!?…羊!?…}
__バッ!!……シャクシャクッ!…
マサツグはまるでテイスティングをするよう何度もその謎肉を咀嚼し、
自身の今まで食べて来た物に該当する物を探し始める。別にこれと
言ってこの臭みが癖になると言ったそう言うモノでは無いのだが…
ただ気になった様子で思い返して居ると、ふと修学旅行で食べた
ジンギスカンが頭の中を過っては通り過ぎて行く…そしてそこから
導き出されたその謎肉の正体が羊?…と言った具合に、思わずハッ!と
理解した様子で顔を上げると、慌てて対面の羊の囚人に目を向け…
何かされていないかと思わず心配をするのだが当然されている訳も無く、
されて居たらされて居たでここに居る訳が無いとホッと一安心すると、
この嫌がらせの様な食事に不快感を覚える!…
「……いやいやいやいや…そんな訳ないよな…
…てかこれ分ててやってるならここの看守達は相当質の悪い連中だな!…
嫌がらせにも程が有る!…」
__…カランッ!……ザザァ!!……スッ…
向こうは気付いて居るのか居ないのか…そんな彼の様子はさて置くと、
素早く食事を終えては食器を乗せたトレイと牢屋の外に出し…改めて
メモに有った脱獄のルートを探し出すと、もう一度メモに目を通し
始める。メモに書いて有るのは岩で塞がれて有ると書かれた簡単な文章…
その岩がどんな岩か?…何処の岩かなどは明記されておらず、自身の
牢屋内にはその手の岩が沢山有ると…どれがどれなのかと悩んでは
その際定位置に戻るよう壁にもたれ掛かり、看守や他の者達に
悟られないよう辺りを見渡していると、時間だけが過ぎ去って行く…
__………。
{…表立って動く事は出来ないな…
変に物音を立てる事になったら一発でアウトそうだし!…
このまま夜まで待つしか無いか?…}
迂闊に動けば看守にバレる!…別に監視カメラと言った文明の利器は
無いのだが…彼らの耳が良いのはミスティーに教えて貰って居る為、
否応無しに慎重になる…そうして時間だけが浪費され、遂に夜がやって
来ると周りの囚人達は寝静まり出し!…更に好都合と言った具合に
大鼾を掻く囚人まで現れると、マサツグは表立って動き始める!…
__ゴガアアアァァァァ!!!……ゴオオオォォォォ!!!…
「……えげつねぇ勢いのイビキだな!…
オマケに他の奴らもよくこのイビキを我慢が出来るもんだ!…
…まぁ…こっちにとっては好都合なんだが……とにかく調べるか!…
…感知!…」
__ピィーーン!!…ヴウン!…
「ッ!…反応が!……ミニマップだと……ここか?…」
何処からか響く勢いで大鼾を掻いているにも関わらず…まるで何も無いと
言った様子で眠る囚人達…何か特別な訓練でもしているのか?と疑いたく
なる程の熟睡振りにマサツグは戸惑うのだが、今は脱獄が先決と言った
様子で動き出すと感知を発動し始める!…すると直ぐにそのメモに書いて
有った岩の穴…ベッドの陰に隠れるよう埋め込まれて有る隣の牢屋へ続く
であろう岩から反応が有り、マサツグは反応を確かめつつその岩に手を
やって動かそうと試みると、微かだがその岩が動く様な感覚を覚える。
__……グラ…グラ…
「……ここで間違いなさそうだな!…じゃあ!…後は!…」
__ゴソゴソ…ゴソゴソ……ギュッ!…
「……ふぅ!…これで良し!……じゃあ!…」
少し力を入れて押し込むと食い込み、手を放すとその反動が戻って来る…
恐らく完全に固定されていないからであり、マサツグが抜け穴の場所を
確認すると手慣れた様子で次の行動に移り出す!…看守が巡回に来た際に
脱獄された事を悟られないよう!…寝たふりで誤魔化す様にベッドの中へ
枕を隠し仕込んではさもシーツを着込んでは、丸まって寝ている様に見せ…
何度かその様子のベッドを見ては自分でも大丈夫と言った様子で確認して、
改めてグラ付く岩の方に移動すると、いよいよその岩を動かしてみる!…
__ガッ!…グラグラ…グラグラ…ゴッポン!!…ゴロ…
「…確かに人一人が入れる位の穴が開いてるなぁ…どれ?…」
__ザッ!…ザッ!…ザッ!…ザッ!…
マサツグがそのグラ付く岩の淵に指を掛け!…引っ張り出すよう力を
入れ始めると、少しの抵抗は有った物の引っ張り出す事に成功する!…
その際勢い余って岩を落とさないよう踏ん張ると音を最小限に抑えるよう
岩を地面に転がし…隣の牢屋に移動するよう穴を匍匐前進で移動すると、
隣の牢屋にマサツグは移動する。しかし移動しても隣はあくまでも牢屋!…
移動した意味は殆ど無く!…扉の閉じられた牢屋を見てマサツグは
ただ静かに溜息を吐くと、その光景に思わずぼやいてしまう!…
「……はあぁ~~……
何だ…只のぬか喜びじゃないか……」
__コッ…コッ…コッ…コッ……キィ…
「ん?…」
__キイイィィィ……
ただ固く閉じられた扉を見ては落胆し…駄目だと思いつつも牢屋の
扉の方に移動しては格子に手を掛け、開くかどうかを確かめてみるよう
扉に押してみると、少しだが格子の扉は抵抗なく開いた様子を見せる…
そんな光景を見てマサツグはえ?…と言った様子で戸惑うのだが、
そのまま扉を開けようと腕に力を入れると、力を入れる必要も無い位に
勢い良く開いては外に出る事が出来!…そんな牢屋の扉の管理に
マサツグは疑問を覚えつつ…牢屋の外に出るよう足を踏み出すと、
まずは牢屋からの脱出に成功する!
「……幾ら何でも管理が杜撰過ぎないか?…
これじゃあ…ある意味出たい放題じゃねぇか…」
__コッ…コッ…コッ…コッ…
そうして看守達の仕事具合に疑問を持ちつつ自分の入って居た牢屋を
後にすると、今度はこの監獄からの脱出を試み始める!…如何やら
監獄と言っても余程簡単な造りをしているのか、地下に牢を作っては
そこに囚人を入れて行く地下牢獄式で監獄は形成されており、階層と
してもデパ地下の地下二階と言った位の規模しかなく…看守の巡回も
余程の事が無い限りは無いのか、警備は非常にガバガバである!…
なので当然あっと言う間に階段を上っては地上…監獄の一階フロアに
出て来ると守衛室の前に辿り着くのだが、守衛室には当然見張りの
看守が在中しており!…扉からは明かりが微かに漏れては中に誰かが
居る事を物語って居た!…だがしかし!…
__スコオオォォォ!……スコオオォォォ!…
「……どんな寝息だよ!!…ったく!…
ちょいとばっかし失礼しますよ~……」
やはり杜撰なのか守衛室に看守は一人しか居らず、その看守も顔の上に
本を開いた状態で乗せては鼾を掻きながら寝ていた!…その際その寝ている
看守からは聞いた事の無い鼾が聞こえて来ると、マサツグは思わず小声で
ツッコミを入れるのだが…マサツグの声に反応する事無く看守はただ鼾を
掻き続け、その様子に呆れながらマサツグはそのまま足音を立てずに外へ
向かい歩き出すと、そのまま何事も無く脱獄を果たしてしまう!…
____コッ…コッ…コッ…コッ…ザッ…
「…今までにこんな堂々とした脱獄はあっただろうか?……
大抵は看守に見つからないよう!…
周りの囚人達をも巻き込む勢いでやる筈なんだが…」
…脱獄って結構神経を使ったりする筈なんじゃ?……思って居た脱獄とは
違うとばかりに…疑問を覚えつつ考えながらも外へ出る事に成功すると、
外は夜闇に閉ざされており…ただまだ起きて居る人達は居るのか、火の
明かりが窓から漏れ出しては町中を幻想的に彩って居た!…そして外を
歩いている人も数こそは少ない物のやはり点在しており、自身の今の格好を
考え見つかるのは不味いと言った様子で…物陰に隠れ辺りの様子を伺って
ては何とかメインストリートの前まで辿り着いていると、マサツグの目に
ふとある物が映る。
__タッタッタッタ!!…ササッ!…
「…とにかく今の格好はさすがに不味いよなぁ…なんせ今は囚人服だし!…
かと言って服屋に駆け込む訳にも行かないし!……幸いお金は没収されて
無いからアイテムを買おうと思えば買えるんだが………って、あれ?…」
__メエェェ~~~~!…
「……あの羊の看板ってもしかして?…」
マサツグが目にしたのは恐らく服屋の看板であろう…看板の形は羊の形を
しており、色とりどりの服が描かれては何か獣人達の言葉で書かれてある…
もしこれが異世界転生物だったりすると言語系のチートスキルで難無く
読めたりするのだが、生憎こっちはゲームの仕様で読める様になっており…
マサツグが服屋である事を確認しつつ、ふとメモに書いて有った有る文章を
思い出すと、あのペーターのメモを取り出しては改めて文章を確認する。
「……やっぱり…だとするとあそこがあのペーターの服屋?…
だとしたら丁度良いかもしれん!…」
__カタンッ!!…ガタガタッ!…
「ッ!?…イカン、店仕舞いをしている!!…
急いで服を調達せねば!!……ッ!…あ、あとペーターの伝言も!!…」
メモを開いて恐らくあれだろうと一人納得していると、その羊の看板の
服屋の玄関から美人な女性が一人…恐らく羊の獣人らしき女性が出て来ては
表に出してあった看板を仕舞い始める。時間的にそろそろお終いなのか
羊の女性が慌しく看板を仕舞い出すと、その様子にマサツグは慌て出し!…
そのまま閉められたら服を買う事が出来ないと言った様子で、慌ててその
羊の看板の服屋に向かい駆け出して行くと、何とかその女性に声を掛ける事に
成功するのであった。
10
あなたにおすすめの小説
おばさん冒険者、職場復帰する
神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。
子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。
ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。
さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。
生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。
-----
剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。
一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。
-----
※小説家になろう様にも掲載中。
『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる
暁刀魚
ファンタジー
社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。
なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。
食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。
そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」
コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。
かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。
もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。
なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。
カクヨム様にも投稿しています。
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~
仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。
祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。
試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。
拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。
さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが……
暫くするとこの世界には異変が起きていた。
謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。
謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。
そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。
その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる