どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん

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-第一章-スプリングフィールド王国編-

-第一章三十六節 光り輝く樹と騎士の亡霊と思い出す感覚-

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__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「…徐々に光が強くなって来たな!…

それに心成しか体が軽い様な?…」


「…確かにそうだが…これで違いましたって考えると相当心に来るぞ?…

ちゃんと覚悟は決めた方が良いだろうな!…」


もはや人キメラに襲われる心配のない状態で光が見える方に向かって歩き続ける

マサツグ達、その光が次第に強くなって行くに連れ不思議な事に周りの瘴気も

薄くなり、マサツグ達に付き纏う様に付いていた負荷デバフが消え始める。その瘴気の

向こう側から見える光を頼りに声を掛けながら進んで居ると、先程の自爆する

肉の塊が居た広場より小さい…開けた場所に辿り着くとその広場の奥の方に

一本の青白い光を放つ樹が植わっているのを見つける。まるで竹取物語の

西洋版みたいな風景にマサツグとモツが驚きつつも、その光り輝く樹には遠目から

でも分かる位の林檎程の大きさの実がなっており、その光り輝く樹や木の実以外に

目立つオブジェクトと言えばコレと言って見当たら無いのだが…

違う意味である物が転がって居る事に気が付く。


「…あれっぽいな?……

クエスト巻物スクロールにも書いてあった光り輝く樹になる実ってのは?…」


「…そうだと良いけど……その前に…」


「…分かってるよモツさん……

あのこれ見よがしにだろ?…」


「…あれが恐らくは手記に書いてあった騎士様…だろうな?…」


その光り輝く樹の根元にはグッタリとした様子でもたれ掛かり、舟を漕いで

いる様な動作をして見せるボロボロの西洋の鎧甲冑を身に着けた遺体が有り、

左手にはカイトシールドが握られ、腰には少し変わった白銀の剣が携えられ

ている。恐らくはここに来るまでの道中で偶然見つけた手記に書いてあった

騎士なのだろうが、その見た目は明らかにボロボロで動けるかどうかも

怪しいのでは?…と言った様子を見せて居た。そしてボロボロになる前は

それは綺麗な白銀であったであろう鎧を着こんだ騎士から確かにまだ息が

有る様子で…この場にそぐわないダークでソウルなある意味で神秘的な光景に

警戒をしつつ、剣の柄に手を添えていつでも臨戦態勢に入れるよう構え

その広場へとマサツグ達が足を踏み入れると、モツは警戒した様子で

その遺体に対して鑑定アプレェィザァルを使用する。


鑑定アプレェィザァル!…」


__ピピピ!…ヴウン!…


ここでこのゲームにおける説明を一つしようと思う…。

このゲームでは案外人の遺体と言う物は良く見つかる…何故ならその遺体が

冒険者プレイヤーだったり、冒険者のNPCだったりと…その他にもクエストで人の捜索を

頼まれて探してみたら実は既にお亡くなり等…パターンが色々有るからである。

そしてそんな遺体達に対して鑑定アプレェィザァルを使用すると本来なら「遺体」と

表記されるのだが、もしそれが仮死状態或いはモンスターだった場合は

違う表記がされる。仮死状態ならばステータス画面が現れては残りHPに症状が

表記され、モンスターの場合は普通にモンスターの名前・ステータス・スキルと

表示される。仮に鑑定アプレェィザァルを習得していない状態で遺体か如何かを調べる事は

出来ないのかと問われると、出来るのは出来るのだがその場合直に接触して

調べないと判断が出来なく…もしそれがモンスターだった場合は高確率で

不意打ちを受ける事になる。故に大抵の冒険者プレイヤーがこの鑑定アプレェィザァルを持っている

訳なのだが、中にはふざけて某大作RPG風にあの名言をネタで使用しては

実はモンスターでした!と襲われる事例が結構あるらしい…

そしてモツの鑑定結果はと言うと最初の予想が当たっていたのか、鑑定結果には

遺体とは表記されずハッキリと敵として表記される。

 -----------------------------------------------------------------------

 「エイブレント(亡者)」

 「忠義の騎士」  ダンジョンBOSS

 Lv.25

   HP 18500 ATK 260    DEF 160

        MATK  50  MDEF  85


 SKILL

 阿吽の呼吸 Lv.10 シールドバッシュ Lv.5 刺突剣術 Lv.5
 -----------------------------------------------------------------------

「…如何やら出会いたくない…

…いや、出会わないといけない化け物を見つけたみたいだぞ?…」


「……マジかぁ…」


鑑定結果にモツがやっぱり…と言った様子で警戒しては剣を抜き始め、

そのモツの結果を聞いてマサツグは落胆すると顔に手を当て天を仰ぐ…

手記には強い!…化け物!…と表記されてあった騎士の化け物が

今目の前に居り、更にはダンジョンBOSSと言う事はコイツを倒さない限り、

ここから生きて出る事が出来ないと言う事に二人は焦りを覚え始める!

そして向こうもマサツグ達がある程度近づいて来た事で反応してか、

そのボロボロの甲冑をガチャガチャと音を立てながらゆっくり立ち上がると、

腰の剣を抜いて構えてはマサツグとモツの両方を見据え始める。


__ア゛ア゛ァァ…ガッチャ!…ガッチャ!……スラァ…チャキッ!…


「コロ……クレ……」


「…何か言ってるけど…如何する?…」


「いや、如何するったってやるしかない…」


そのダンジョンBOSSとマサツグ達とのレベル差はイーブン…

しかし当然ながら相手はBOSSモンスターとして出現して居る為、普通の

モンスター達より圧倒的に強くシブトイ!…そんな面倒事にマサツグは落胆し

つつも、いつまでも落ち込んでは居られないと顔を下げて剣に手を掛けると、

エイブレントはよく聞き取れない声で何かを話し掛け始める。その様子に

マサツグが戸惑いモツにどうするかと尋ねるも、モツもその問い掛けに

戸惑った様子で返事をし、二人が困惑した様子でただ剣を握って居ると

先に動き出したのはそのボロボロのエイブレントであった。


「オオオォォ!!……」


「ッ!?…来た!?…ッ!!…一か八か!!…」


__フォン!!…ガキイィィン!!!…


勢い良く飛び出して来たエイブレントがマサツグに斬り掛かろうとしては

剣を頭上に振り上げ、マサツグが慌てて剣を横に構えてはその斬撃を防ごうと

考える。相手はBOSSモンスター!…その攻撃を防ぐ事が出来るのか!?と

戸惑いつつも、ガードするマサツグにそのエイブレントの攻撃が襲い掛かると

その攻撃は驚くほど弱々しく、まるで剣の重さだけで斬り掛かって来ている様な

衝撃をマサツグが覚えると、逆に攻撃が軽過ぎる事に戸惑いを覚えてしまう。


「ッ!?…あれ、軽い!?…」


__ガキイィィン!!…オオォォ!……フラフラ…


「ッ!?…案外弱い?…いやそんな訳…

…?…何が何だか分からないけど…

エンジンが掛かって居ないのなら今の内に!…」


__バッ!!…


マサツグはエイブレントの攻撃を受け止めた後、大して鍔迫り合いになる事も

無くそのエイブレントの攻撃を弾き飛ばしては相手をよろめかせ、距離を取った

所で改めて如何言う事かと悩み始める。BOSSモンスターにしては弱い…

戦って来たオオトカゲやサイクロプスの事や今までやって来た体験型ゲームでの

BOSSモンスターの事を思い出しては不安を覚えるも、マサツグは逆にこれを

好機では!?と考えるともはや深くは考えずに本能のままに動き出し始める!

しかし!…


「ダッシュ!!…」


「ッ!?…待ったヤブ!!!」


「ッ!?…」


__ドザアァァ!!…


マサツグが一気に決着を付けようと飛び出し剣を横に構えては得意の技を

繰り出すのだが、モツが何かに気が付いた様子で慌てて止めに入っては

マサツグは驚き、急ブレーキを掛けて躓くとエイブレントの目の前で

逆立ちの様なヘッドスライディングを決める。もしエイブレントが生身の

相手だったならば敵だろうとまず慌てた様子でマサツグの心配をしたのでは?…

と思う程に豪快なヘッドスライディングを決めるのだが相手は亡者、

ただマサツグの事を見下ろしては距離を取り、冷静に体勢を立て直すと剣を

構え直してはマサツグとモツの両方に見詰めて来る。そしてモツはマサツグが

盛大にズッ転けた事にやっちまった!…と言った表情でマサツグを見詰めては、

マサツグは自身の頭を摩りながら素早く立ち上がり始める。


「あったたたたた……急に如何した本ちゃん!?…

せっかくのチャンスだったのに?…」


「わ…悪い!…まさかあそこまで盛大にすっ転ぶとは!…

でも今のは罠だ!!…もう一人いる!!…

感知サーチを使ったら反応があった!!…」


マサツグが急に止めに入った事に対して不満そうな表情で振り向き文句を

言い始めると、モツも止めるタイミングを間違えたと言った様子で

マサツグに謝る。しかしモツは先程のマサツグとエイブレントの攻防戦に

マサツグ同様の違和感を覚えていたのか、感知サーチを使った事を話しては

これが仕組まれた罠である事を看破し、エイブレントの動きに警戒しながら

もう一人敵が居る事を慌てた様子でマサツグに話すと、マサツグは慌てた様子で

辺りを見渡し始める。その際モツの反応だとその反応はマサツグとエイブレントの

間から反応が見られ、一度でも反応が有った者に対しては自身のミニマップに

反映されるようになっているらしい…


「え!?…で…でも見た感じ…

敵はあの騎士だけしか…」


「…この反応に状況…考えれるとするなら!……雷撃刃!!!」


__コオォォ!…バシュゥ!!……ガサッ!!…ズシャ!!!…


マサツグが辺りを警戒した様子で見回している中…モツが反応を頼りに

相手の位置を推測し、自分が使える技で遠距離にも対応している技を

マサツグとエイブレントの間辺りにある樹の幹に向かって放つと、

その斬り落とした樹の幹と一緒にもう一人の人影が受け身を取りながら

落下して来る!そしてゆっくりと立ちあがてはマサツグ達から距離を

取るようひらりとバックステップし、エイブレントと合流すると

その姿を見せる。


「よしッ!…ビンゴ!!…」


「うわぁ!?…本当に出た!?…

と、とにかく鑑定アプレェィザァル!!…」


__ピピピ!…ヴウン!…

 -----------------------------------------------------------------------

 「ライモンド(亡者)」

 「型破りの騎士」  ダンジョンBOSS

 Lv.25

   HP 21500 ATK 310    DEF 110

        MATK  20  MDEF  65


 SKILL

 阿吽の呼吸 Lv.10 パリィ Lv.5 大剣武術 Lv.5
 -----------------------------------------------------------------------

モツがライモンドを見つけた事にガッツポーズをして喜んで、マサツグが驚き

慌てて鑑定アプレェィザァルをするとライモンドの情報を得る。その空から降って来た遺体には

一応騎士と言う肩書きが付いているのだが、その見た目はエイブレントとは

違い騎士らしい見た目はしておらず、まるで何処かの切り込み部隊を率いて

居そうな格好に見える…額にはボロボロの鉢巻きを締めており、顔はミイラの様に

乾涸びては皺くちゃ…鎧も皮と鉄のハイブリッドで出来たブリガンダインで、

それに合わせるよう小手に脛当て…腰みのと同じ様な素材で出来ているのが

良く分かる。ボロボロの外套を身に纏い、その手には自身の身長と同じ位の

大きさを誇る大剣が握られており、片手で振り回しては刃を自身の肩に

置いて首を回し始める。


__ガキッ!…ゴキッ!…バキッ!!…


「……明らかにヘビーファイターだよな!?…」


「力押し…真正面からの戦闘は不味そうだ!!…にしても面倒だな!!…

確かに一人とは言っていなかったが二人を相手にするのか!?…」


__……スッ……


互いに二人一組と言った様子で剣を握り、向かっての睨み合いが始めると互いに

実力はイーブンと認め合っているのか動く気配を見せない。不穏な空気のまま

睨み合いが続き、互いに如何切り込むかで悩み始めると先に動き出したのは

エイブレントとライモンドの二人であった。ライモンドは徐にエイブレントの

前に出てはまるで盾になるよう腰を中腰に落とし、大剣を斜に構えて防御の姿勢を

取り始めるとその後ろではエイブレントが背筋を伸ばし、マサツグ達に向かって

真っ直ぐ剣を突き付け…まるで挑発している様に見えるエイブレントの姿が有るの

だが、その異様な構えにマサツグとモツはただただ戸惑いを覚えるしかない。


「…ッ!?…何あの構え!?…」


「…分からない!……

でも迂闊に入り込むとヤバいってのはガンガン伝わって来る!…」


__オオオオォォォォ……


異様な雰囲気に…異様な構え…マサツグにとって初めてのBOSS戦で、セオリーを

知らないマサツグは如何した良いか分からずモツの方に視線を向けるが、モツも

困惑しているのか剣を構えるばかりで動こうとしない。まるでこれが狙いだった

かの様にエイブレントとライモンドはただ微動だにせず、その構えのまま固まり

ジッとマサツグ達の様子を伺っては待ち構えていた。そして騎士達の間合いに

踏み込めぬまま警戒し続け、そろそろ五分が経とうとして居た時その様子に

マサツグが痺れを切らしたのか突如ハッと!思い付いた表情を見せると、

突如モツの方に振り返り一言口にする。


「…ッ!!…モツ!!…」


「ッ!!…何!?如何した!?…」


「後は任せた!!!」


「……うぇえ!?…」


それはとんでもないキラーパスであった。マサツグがモツの方に振り返り

笑顔を見せると一言…後は任せた!と言っては騎士達が構える方に向かって

突如走り出し、考える事を放棄したからである!勿論そのキラーパスに

モツは慌てて戸惑いマサツグの後を追う様に走り始めるのだが、マサツグは

ただ思い付いたままにダッシュ斬りを敢行しては真っ直ぐにBOSS二人組に

挑み始める!


「ダッシュ斬り!!!」


__バシュ!!!…


「ッ!?本当に何考えてんだマサツグの奴!?!?

無策に突っ込むとか正気の沙汰じゃ!!……ッ!?…」


身構える騎士二人に対して無策に突っ込んで行く様に見えたモツがマサツグに

異常性を感じるのだが、その時モツがふとマサツグの表情を見ると何故か

笑っていた。まるでこの状況を楽しむ様に…何かが吹っ切れた様に突っ込んで

行こうとするマサツグを見てモツもハッ!と理解したのか気が付いた表情で

剣を握り直し、マサツグに続いて行く!そしてダッシュ斬りで向かって行く

マサツグが先に騎士二人の間合いに入り、それに反応してライモンドが

ガードの構えのままマサツグの前に飛び出すと、マサツグとライモンドによる

激しいぶつかり合いが始める!


「ハアアアァァァ!!!」


「オオオォォ!!!…」


__ッ!…ガキイィィン!!…ギギギギギギ!!…


「ッ!?…やっぱそうだよな!?…

ボスな訳なんだしあんな弱い訳ないよな!?

一撃が予想以上に重い!!!…でも!…ここまでは予想通り!!!…」


マサツグとライモンドがぶつかり合った瞬間激しい剣戟音と共に軽く火花が

飛び散り、どっちが強いかの押し比べ状態へと変わり始める。

激しいぶつかり合いでマサツグのTPは削れ、若干バランスを崩しそうになるも

根性で耐えて見せてはライモンドとの鍔迫り合いを始め、ライモンドの攻撃に

驚いた様子で戸惑うもマサツグは予想通りと呟くと、ライモンドに負けないよう

剣で押し始める!そして互いが一歩も退かない状態で後方には互いに相方が

居る中、マサツグがライモンドとの鍔迫り合いに集中して居るとそれは

突然起きる!


__クイッ!…バヒュッ!!…


「ッ!?…」


鍔迫り合いの最中ライモンドが突如首を右に傾け何かを避ける様な動作をして

見せると、避ける動作をして数秒後に突如ライモンドの後方から剣が飛び出しては

マサツグの顔目掛けて突きが向かって来る!よく見るとそこには突きの構えで

走って来たであろうエイブレントの姿がそこにあり、その正確無慈悲な突然の

突きにマサツグが戸惑った表情で鍔迫り合いをしながら困惑し始める!


{ッ!?…なるほどこう言う事だったのか!!…

傭兵モドキが敵を押さえて騎士ゾンビが打ち取る!!…

そう言う構えだったのか!!…おまけにガッチリ押して来るから抜けねぇし!!…

ヤバいな!!…かなりヤバい!!…}


二人の奇妙な構えにマサツグは一人納得し目の前の状況に焦りを覚え、今すぐに

でも回避行動を取りたくても動けない事に気が付くと、マサツグは戸惑いと

困惑を隠し切れない様子でただ向かって来る突きに視線を向け続ける。何故なら

マサツグがライモンドとの鍔迫り合いを中断しその突きに対してガードの体勢を

取ろうにも、ライモンドの押し込みが激しくガードの体勢に持って行く事が

出来ない。更に無理やり体勢を崩して回避したとしてもライモンドは既に追撃を

放つ体勢にある為、突きを回避したとしてもそのままライモンドに追撃を

放たれては一撃即死の危険性もある。この時点でマサツグはもはや絶体絶命の

ピンチで如何しよう無い状態なのであるが…


__……フフフッ……ッ!?…


もしライモンドが生身の人間ならば表情豊かに戸惑ったであろう…

何故なら…目の前で今まさに自分の命が危ないと言うのに平然と…

不敵な笑みを浮かべるマサツグが居るのだから!…その表情はまるで

助かるのを諦めたから笑って居ると言う訳では無く、明らかに思惑通りに進んだ

と言う確固たる自信から来ている笑みを見せたからであった。そんなマサツグの

表情を見たライモンドは自身の表情を変える事が出来ないのだが、明らかに

戸惑った様な反応を見せて理解出来ないで居ると、マサツグはただ一言呟いて

見せては驚く行動に出る。


「…何もかもが予想通りだった!!」


__ッ!?……スッ…コオォォ!!!…カッ!!…バリバリバリバリ!!…


「……雷撃刃!!!」


__……バッ!!!…


まるで読んでいたと言わんばかりにマサツグもライモンド同様首を右に傾げて

見せては突きを回避する体勢に入り、そのマサツグが回避行動に入って数秒後に

後方から雷の刃が飛んで来るとエイブレントの突きとぶつかり合い、マサツグと

ライモンドの目の前で衝撃波が起きる!モツが放った雷撃刃は弾けて消え去り、

エイブレントの突きは押し戻され剣に帯電し始め、モツはマサツグの後方から

雷撃刃を撃った後の様子で剣を構えては再度エイブレントに向かって走り出し、

衝撃波が起きるとライモンドはその衝撃波に巻き込まれないよう首を傾げた

状態で右側へ瞬時にドッジロールをすると、それに合わせてマサツグが追い掛ける

ようライモンドと一緒に同じ方向へ追い掛けドッジロールを決めて見せる。


「ッ!?…逃がすか!!…」


__バッ!!!……ッ!!…ダッダッダッダッ!!…ッ!?…


「ちょっと待っただ!エイブレントさん!?…

アンタの相手は俺がさせて貰う!!」


__オオオォォォ!!……


ライモンドが逃げる様に転がり、マサツグが追い掛ける様に転がり…

二人が転がった先には丁度簡単には戻れない段差が有ったのか、

その段差を二人は落ちる様に転がって行く。エイブレントが衝撃波からの

仰け反りに復帰してはライモンドの援護に向かうよう走り出すが、

その前を阻む様にモツが回り込むとエイブレントを呼び止めて剣を

構えて見せる。ここまでの間で刹那は一切使って居ない一瞬の出来事で、

不思議な事にその間マサツグとモツの体感的にはスローモーション様に

見えるのだが、本人達は全くの無自覚で今の状況体感に関しては

何の疑問も抱く事は無い。ただ目の前の出来事にのみ集中した様子で

身構えては、突発的な作戦が上手く行った事にマサツグが上機嫌で

話し始めるとそれぞれが一対一の状態になる。


「…ふぅ!……上手く行ったぜ!!…

コンビプレイが得意なのは!…お前等だけじゃないんだぜ!?…」


「…だとしても何か言ってからやれ!!…

こっちはヒヤヒヤモンだったっての!!…

まさか突発的なミラー物真似をやるのかって思ってたけど…

マジでやりやがって!!…死ぬとこだったんだぞ!?」


「わ…悪かったって!…でも気が付いてくれたし?…

それに今こうして一対一の状態を作れたんだ!!…

今は目の前の敵に集中って事で!!」


「……ったく!…今度やる時は何かしら合図を頼む!!…

でないと拾い切れないからな!?…」


光り輝き樹の広場ではモツVSエイブレント…

その段差下ではマサツグVSライモンド…互いにそんな離れていないのか

マサツグの言葉が聞こえて来た事にモツが怒った様子で注意をしては

マサツグが謝り、目線だけは目の前の敵に向けると剣をギュッと構えて見せる。

エイブレントはそれを見てライモンドを助けるより先にモツを倒した方が速いか…

と助ける事を諦めたのか、モツに対して剣を突き付けて構え出しライモンドは

マサツグに対してやってくれたなぁ!…と言わんばかりに首を鳴らすと大剣を

ゆっくり両手で握り構え始める。


__チャキッ!……ガキッ!…ゴキッ!…バキッ!!…ジャキッ!!…


「…思い出すなぁ!…あん時の負けられないって感じのやる気!…

いつ以来だろうか?…」


「……少なくとも高校卒業後もチョクチョクやってたから

然程離れて無いと思うぞ?…」


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


幾ら相手が亡者とは言えその実力は先ほど見た限りでは本物とマサツグとモツも

本気モードになり、あの頃夢中になってやっていた某神の名を冠する神食い

ゲームの協力プレイ時の様な感覚を思い出し始める。複数の敵を相手にする際…

一人一人がその敵を相手にする一切手助け無しのヒリヒリした感覚が蘇り

始める中、相手は待つ気無しと言った様子で動き出し始めると、マサツグが

後で再会出来るよう声を掛ける。


「ッ!…んじゃまぁ…おっぱじめますか!!…

また後で!!…」


「あぁ!…また後で!!…」


__オオオオォォォォォ!!!…


「さぁ!!…行くぞ!!!」×2


互いが再会を誓い合いそれを合図にエイブレントとライモンドがそれぞれに

歩き出し始めると、マサツグとモツも騎士達に向かって剣を構えては歩き出す!

光り輝く樹の広場はちゃんとした地面での戦いなのだが、マサツグとライモンドが

落ちた段差下は足元が泥濘と動き難く戦い辛い…それでも探り合う様に四者が

互いの相手に回るよう動き出し、まるで戦闘を楽しむような雰囲気に

なり始めると、段差の上と下での一騎打ちの火蓋が今切って落とされるのであった!



そして一方、マサツグとモツがエイブレントとライモンドとの戦闘を始めた頃…

農村ブルーベルズでは……


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「……さぁ…偉大なる救世主様をこの世に召喚する為!!…

生贄となる素晴らしい者達を連れて行くのです!……

我々の目指す世界はもう直ぐ!…目の前まで来ているのです!!…

あと少し…皆さん!!頑張って下さいね!?…」


__バルフィモ~ル…バルフィモア~ル…バルフィモ~ル…バルフィモア~ル…


「……さぁて…これで私の格が更に上がる事は間違いないでしょう!…

頑張って下さいね?…皆さん!…私が更なる力を得る為に!!…」


謎の者達がブルーベルズの前までやって来て部下なのか何者なのか…

クランベルズでの事件同様の事を指示に出しては村へと進行させ始める。

譫言の様に同じ言葉を呟き、虚ろな目をした本当に生きてるか如何かも

疑わしい者達は農村へと進行して行き、その様子を先導者は高笑いしながら

見詰めていた。ただ自分が更なる力を得られるとだけ…そして…


「…おかあさ~ん!!…お客さん達が一杯来たよぉ~!!!

私迎えに言って来る~!!!」


「え?…あっ!…コラ待ちなさい!!…」


__ガランガラン!!…タッタッタッタッ!…


「ようこそ!!ブルーベルズへ!!宿屋はこっち!!……ッ!?…」


__バルフィモ~ル…バルフィモア~ル…バルフィモ~ル…バルフィモア~ル…


何も知らない女の子が元気にまたマサツグとモツの時同様お客だと勘違いし、

前と同じく宿屋を飛び出しては呼び込みに出かける。その際母親の制止を

振り切り母親が慌てて娘の後を追い掛けて出て来るのだが、次に目にした光景は

信じがたい物だった。自分の娘がその虚ろな者達に呼び込みを始めるも、

虚ろな者達は女の子を見るなり一斉に襲い掛かるとあっと言う間に捕まえて

しまい、その様子を見た母親が戸惑いの声を挙げると虚ろな者達は母親に

気が付く。


「ッ!?…リコ!?…」


__バルフィモ~ル…バルフィモア~ル…バルフィモ~ル…バルフィモア~ル…


「な!…何なんですか貴方達は!?…娘を返して!!…」


__バルフィモ~ル…バルフィモア~ル…バルフィモ~ル…バルフィモア~ル…


それはマサツグとモツが狩人狩りの森に出てから半日後の話であり、

母親の目の前で娘が堂々誘拐されては返すよう訴え掛けても、譫言の様に

同じ言葉を呟くだけ…助けを呼ぶにも衛兵どころか抵抗出来る者は居らず、

その虚ろな者達は雪崩れ込む様にして村へと侵攻しては次々と村人達に

襲い掛かり、クランベルズ同様女性と子供だけを誘拐し始める…

こうして二人の知らない所でまた、村の人達は謎の者達の手によって

蹂躙されて行くのであった…

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感想 63

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 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
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2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

異世界にアバターで転移?させられましたが私は異世界を満喫します

そう
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ナノハは気がつくとファーナシスタというゲームのアバターで森の中にいた。 そこからナノハの自由気ままな冒険が始まる。

収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア
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HOTランキング1位ありがとうございます! 2000年代初頭。 突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。 しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。 人類とダンジョンが共存して数十年。 元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。 なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。 これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

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【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

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