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番外編16.オーフィザン様とデート!

166.やきもち?

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 オーフィザン様は、化け猫の店員さんに微笑んで言った。

「クラジュが気に入りそうなものがあるのか?」
「はい! 狐妖狼族のお客さんに、人気のクッキーがあるんです!」

 店員さんはキッチンの方に走っていく。そしてすぐに、猫さんたちのご飯と、猫の顔の形のお皿にいっぱい盛ってあるクッキーを持ってきてくれた。

 ミルクのいい匂いがする……

「狐妖狼族に人気のクッキーなんです。ここの化け猫たちの好物でもあるから、取られないように気をつけてくださいね」
「え? ふあああああっっ!??」

 気をつけてって、もう遅いよう!! 猫さんたちがいっぱい飛び掛かってきた!!

 そして、クッキーを持っていた僕はもみくちゃにされちゃう。いっぱい体にも登られちゃって、クッキー取られちゃう!!

「ふええっ……だ、ダメっ……ぼ、僕のだもんっ! オーフィザンさまああっ!!」

 猫さんたちから頑張ってクッキーを守っていたら、僕の体が、ふわんって浮く。そして、オーフィザン様の腕の中まで連れて行ってくれた。

 僕をお膝に乗せたオーフィザン様は、僕を後ろからぎゅって抱きしめてくれて、頭についた猫さんの毛をはらってくれる。

「お前が猫のおもちゃになってるじゃないか」
「ふえええ……オーフィザンさまあ……ありがとうございます……」
「お前は、俺の猫だろう?」
「ふえ!? は、はいっ……ひゃ!!」

 後ろから両腕を掴まれて、ほっぺにちゅってされちゃう。

 ふええ!? こ、こんなところで何するの!?

「だったらこうして、俺にだけ可愛がられていればいい。こんなところで焼かせるな」
「ひゃっ……! お、オーフィザン様!!」

 こんなところで、そんなにぎゅってされたら照れるよ! しかも、いつもより力が強い。

 オーフィザン様は、僕の耳元で囁いた。

「後で嫉妬させた仕置きをする」
「ふえ!? ぼ、僕、何もしてないのに!? ひやっ!!」

 今度は、後ろから足の方に手を回されちゃう。うう……さっきまで優しかったのに、今はなんだかいやらしい!!

「いやなら、ここでするぞ」
「そ、それはダメ……」

 ううう……今日のオーフィザン様、やきもち焼きだ。意地悪は困るけど、やきもちは嬉しい。
 だけど、ニコニコしてるの隠さないと、オーフィザン様に、もっとえっちなことされちゃう。

 それでもオーフィザン様は、僕が喜んでるのなんて、お見通しみたい。僕の耳元で、意地悪を言う時と同じように囁いた。

「だったら、そろそろ出るか」

 そう言って、オーフィザン様は、僕の傍にいた猫さんを見下ろす。

「お前もな」

 すると、猫さんは体を震わせて、にゃあ、って返事をした。

「お、オーフィザン様? カフェの猫さん、連れて行っちゃダメですよ?」
「それは、猫じゃない」

 そう言って、オーフィザン様が猫さんに触れると、猫さんはあっという間に姿を変えて、猫耳の男の人になる。

「え、え……き、キュウテっっ!??」

 びっくりした。猫耳と猫の尻尾の男の人は、金色のショートカットの髪と、大きな丸い目の可愛らしい化け猫さんで、僕の友達のキュウテだ。

 キュウテは、びっくりする僕に微笑んだ。

「バレちゃった。久しぶりー。クラジュ」
「キュウテ!!」

 彼に会えたことが嬉しくて、僕は彼にぎゅって抱きついちゃう。彼も嬉しそうに笑ってくれた。
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