【本編完結】ネコの慰み者が恋に悩んで昼寝する話

迷路を跳ぶ狐

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番外編3.ずっとここにいたい

89.約束します!

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「オーフィザン様! これとって……とってください……あ、あ……」

 僕が必死にお願いしても、オーフィザン様は無視してお酒飲んでる。取ってくれる気なんかないんだ。もうやだ!

「ひ、ひど……あ、あ……やだあっ!! 全部オーフィザン様が悪いのにっっ!!」

 苦痛に負けて、つい、叫んでしまった。

 オーフィザン様は不思議そうに僕を見下ろして、尻尾を全部消してくれる。

「どういう意味だ?」
「う……うっ……ひっく……だ、だって……オーフィザン様が僕のこと……僕のこと性奴隷にするから……」
「……抱かれるのが嫌なのか?」
「だって、だって……だって……だって、なんで……なんでまだ僕を…………盗賊捕まえたんだから、もう僕にこんなことしなくてもいいじゃないですかっ!」
「お前……」

 やけくそで怒鳴った言葉が悲しくて、涙がいっぱい出て来る。オーフィザン様はなんでまだ僕をそばに置いているんだろう……

 僕の無礼な態度に、ついに怒ったのか、オーフィザン様は顔を近づけてくる。

「もう抱かれたくないのか?」
「…………だって、オーフィザン様なら他にいくらでもこんなことする相手連れて来られるじゃないですか!! 僕を抱かなくても……なんで僕にこんなことするんですかっ!?」

 僕は怒鳴ってるのに、オーフィザン様は僕にキスしてくる。

 なんでこんな事ばっかりするの? キスがしたいなら好きな人としてよ! 悲しくてすごく虚しい。僕はキスされている間、ずっと泣いてた。

 さみしいよ……僕、僕を好きな人とキスがしたい……

 オーフィザン様は唇を離してからも、僕の頬を捕まえて、オーフィザン様しか見えないくらい近い距離でじっと僕を見つめていた。ありったけの恨みを込めて睨んでやるけど、こんなにそばでオーフィザン様と顔を合わせていたら、憎むどころかもっと好きになっちゃう。

 荒い息が僕にかかって、その色っぽい声が、優しく僕の耳をくすぐった。

「俺がお前を好きだからだ」

 え……え? え? ……え?

 何て?

 き、気のせいかな?

 好きって言われた気がしたんだけど……

 オーフィザン様の事ばっかり考えてたから、そんな風に聞こえたのかな?

「どうした? 意外だったか?」
「え、え……? えっと……えっと……えっと……な、何て……え?」
「……好きだと言ったんだ」
「え……えっと、えっと……えっと……」

 意味がわからなくて首を傾げていると、オーフィザン様はちょっと呆れた顔になっちゃう。

「……お前を好きだと言っているんだ」
「え……え……ぼ、僕? ひゃ!」

 いきなりベッドに押し倒されびっくりしちゃう。え……え?

「お前が好きだから、こういうことをしている。お前は? お前が抱かれるのはもう嫌だと言うなら、俺は引き下がる。どうする?」
「あ、え、えっと……」
「どうなんだ? 抱かれたいのか? 嫌なのか?」
「えっと……」

 そんな事いきなり言われてもーーっ!!

 言われたことにびっくりしすぎて、何にも考えられないっ!!

 おろおろする僕だけど、もちろんそんなの、オーフィザン様が許してくれるはずない。

「はっきりしろ」
「あっ!」

 ひどい……僕、ちゃんと返事しようとしているのに、首にキスなんかされてたら、答えられないよっ!

「お、オーフィザン様……やめて……あ、あっ!」
「早く答えろ」
「ひゃっ!!」

 返事を聞く気、あるの!? 首だけならまだしも、ほっぺまでペロって舐められて、何を聞かれてたのか忘れそう。

 えっと……えっと……あっ!!

 へ、返事をしなきゃいけないんだっ!!

 だけどこのままじゃ返事どころじゃないー!

 僕が涙目になってオーフィザン様の体を押し返すと、オーフィザン様は珍しく離れてくれた。返事を待ってくれてるんだ。頑張らなきゃ!

「お、オーフィザン様……ぼ、僕……僕も……僕も……す、好き……です……」

 うわあああ……は、恥ずかしい……

 顔がほかほかする。顔まで熱いなんて、初めて。

 真っ赤になっちゃって、もう動けない……

「わっ!」

 いきなりオーフィザン様が襲いかかってくる。一瞬、鋭い牙が見えた。戸惑う時間すらなく僕の唇の奥にオーフィザン様が押し入ってくる。

 ううう……こうやって、食い尽くされるみたいにキスされるの、今はすごく嬉しい……

「お前は今日から……俺の妻だ」
「え……」
「一生逃がさない。俺の隣を離れることは許さない。永遠にだ。分かったら俺のそばにいると誓え」

 え? え? うわああああ! どうしよう!

「どうした? 早く誓え」
「だって……今、そんなにたくさん言われたら……えっと……えっと……」
「……馬鹿に拍車がかかってないか?」
「か、かかってないし、馬鹿じゃないです! だって、今、好きってことだけで……オーフィザン様のことだけで頭がいっぱいなんです!」

 嬉しいよ……僕……ずっとずっと、オーフィザン様と一緒に居られるんだ……

 泣きながら叫んじゃって、絶対ますます呆れられたと思ったのに、オーフィザン様は笑っていた。

「そばにいると、口に出して誓え」
「え?」
「それもできないか?」

 ううう……恥ずかしい……だけど、僕、オーフィザン様のお嫁さんになるんだ!! 頑張らなきゃ!

「ち、ち……誓い……ま、す……そばにずーーーっといます!」

 ボロボロ涙が出てきて、ついでに鼻水まで出てきちゃう。だって、こんなに嬉しいの、始めてだ。
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