お前の尻穴が狙われている! 俺は別にどうでもいいけど……一応、守りに来た

迷路を跳ぶ狐

文字の大きさ
3 / 10

3.なに呑気な顔してんだ!

しおりを挟む

 もうさっさと本題に入ろう。このまま俺がこいつに会いに来たと勘違いされるのも癪だ。

 オヴズティも、話の続きを促してきた。

「それで、今日はどうした? 会いに来たんじゃないなら、俺のケーキを食べに来たのか?」
「んなわけねえだろ。俺が甘いもの苦手なの、知ってるだろ?」
「…………俺の作ったケーキは食べただろうが」
「……覚えてねーよ。んなこと」
「だったら食って思い出せ。出してやるから」
「いらねーよ! んなこと、今はどーでもいいんだ!!」
「どーでも良くない! 俺があれをどれだけ苦労して作ったと思ってるんだ!」
「だからっ……! そんなこと言ってる場合じゃねえんだよ! ………………お前、尻の穴を狙われてるぞ」
「は?」
「だから!! てめえの尻の穴が狙われているんだっっ!! 呑気な顔してんじゃねえぞっっ!!」

 つい、声を張り上げてしまう。

 それが店にまで聞こえたらしく、中の客と、駐車場にいた客の視線を集めてしまう。さすがに恥ずかしい。

 真っ赤になって俯く俺に、オヴズティが迫って来た。

「尻? 俺の尻の穴がなんだって?」
「……」

 自分で言っておいて、すごく恥ずかしい。だが、今はそんなことを言っている場合ではない。

 なにしろ、オヴズティは竜に狙われているんだ。このままでは、竜に捕まり犯されてしまうかもしれない。

「だ、だから……屍の竜が、お前を狙っているんだよ。竜が言ったらしい。お前と俺を犯すって」
「屍の竜? ああ、あいつか……」
「知っているのか?」
「知ってる。あいつはただの客だ」
「た、ただの客って……お、お前、警備隊に疑われているぞ! あの屍の竜と組んで、悪さしてるんじゃないかって!」
「警備隊が神経質なだけだ。あいつは何もしてない。確かに魔物連れ歩いたりしてるが、気に入った奴をペットにして連れ回しているだけだ。大通りだって、魔物と戦ってて落ちただけだぞ。尻穴がどーこーってのも、どうせそいつらに追い回された仕返しか、この前ケーキ買えなかった腹いせで言ってるんだろ。気にすることはない。警備隊だって、そんなに真剣に考えてないんじゃないか?」
「そ、それは……そうだけどっ……だけど……!」

 だからって、こいつの尻の穴が狙われてるなんて聞いて、放って置けるはずがない。

 尻穴を犯すって、早い話、こいつと……そういうことするってことじゃないか。そんなの、放っておけるはずないのに、何呑気に構えてるんだこいつ!!

 オヴスティは店内を指して言った。

「とりあえず、中で待ってろ。ケーキ出してやる」
「は!? お、おい!」

 呼び止めても、それは聞こえていなかったのか、オヴズティは、店のドアを開けて、俺に振り向いた。

「仕事終わったら話すから、店の中にいろ。ケーキも出すから食べていけ。俺のケーキの味、思い出すまで帰さないからな!」
「はあ!? だ、だから、そ、そんなことしてる場合じゃないんだって……おいっ!!」

 待ってって言ったのに、オヴズティはさっさと店内に入って行ってしまう。

 あいつ、いつも勝手なんだ。

 店でって、ケーキ食べて待ってろってことか?

 オヴズティと入れ違いに出て来た店員が、俺を手招いて呼んでいる。少し前までよくここに来てたから、顔見知りになった奴だ。

 俺、店の中で一人で待たなきゃならないのか……? 待つのはちょっと嫌だが、オヴズティを一人にはできない。くそ……

 俺は意を決して、中に入った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。

キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、 ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。 国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚―― だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。 顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。 過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、 気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。 「それでも俺は、あなたがいいんです」 だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。 切なさとすれ違い、 それでも惹かれ合う二人の、 優しくて不器用な恋の物語。 全8話。

姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった

近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。 それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。 初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息

姉の男友達に恋をした僕(番外編更新)

turarin
BL
侯爵家嫡男のポールは姉のユリアが大好き。身体が弱くて小さかったポールは、文武両道で、美しくて優しい一つ年上の姉に、ずっと憧れている。 徐々に体も丈夫になり、少しずつ自分に自信を持てるようになった頃、姉が同級生を家に連れて来た。公爵家の次男マークである。 彼も姉同様、何でも出来て、その上性格までいい、美しい男だ。 一目彼を見た時からポールは彼に惹かれた。初恋だった。 ただマークの傍にいたくて、勉強も頑張り、生徒会に入った。一緒にいる時間が増える。マークもまんざらでもない様子で、ポールを構い倒す。ポールは嬉しくてしかたない。 その様子を苛立たし気に見ているのがポールと同級の親友アンドルー。学力でも剣でも実力が拮抗する2人は一緒に行動することが多い。 そんなある日、転入して来た男爵令嬢にアンドルーがしつこくつきまとわれる。その姿がポールの心に激しい怒りを巻き起こす。自分の心に沸き上がる激しい気持に驚くポール。 時が経ち、マークは遂にユリアにプロポーズをする。ユリアの答えは? ポールが気になって仕方ないアンドルー。実は、ユリアにもポールにも両方に気持が向いているマーク。初恋のマークと、いつも傍にいてくれるアンドルー。ポールが本当に幸せになるにはどちらを選ぶ? 読んでくださった方ありがとうございます😊 ♥もすごく嬉しいです。 不定期ですが番外編更新していきます!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...