極道の密にされる健気少年

安達

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駿里がお仕置きされた話

長い!

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「ちょ、ちょっと待って…!」

「あ?なんだよ。」



さぁ今から擽りを開始するぞと言わんばかりに寛也の膝の上に乗せられた駿里。そんな駿里の前には松下がいる。まるで逃がさないと言わんばかりに2人に駿里は挟まれるような形になっていた。そんな2人に怖気付いた駿里は思わずそう叫んでしまった。その駿里に対して松下がぶっきらぼうにそう返した。



「ちゃんと時間計ってよ…っ、タイマーとかでさっ、そうしないと終わりがわかんないじゃん…。」

「ああ、それもそうだな。」



駿里が自分たちを止めてきた理由を知った寛也がそう言った。ただ単に怖気付いただけだと思っていたがどうやらちゃんとした理由があったようだ。そのため寛也は近くにいる志方に指示を出す。



「おい志方。」

「はい。なんでしょう。」

「お前時計見とけ。時間ちゃんと測れよ。サバ読まずにやれ。」

「承知しました。」



そう返事をした志方だが駿里は不安でたまらない。志方の事だ。わざと遅く数えたり嘘をつく可能性だってある。だから駿里は不安が隠せないのだ。その駿里の不安そうな姿を見て松下が声をかけてきた。



「大丈夫だ駿里。ちゃんと守るから。俺も時計見ててやる。」



余程駿里が不安そうに見えたのだろう。松下がそう言ってきた。松下はこういう時ずるいのだ。駿里の限界や不安をちゃんと見極めてくるから。いつも誰よりもちょっかいをかけてくるくせにこうしてちゃんと見てくれる。だから駿里は何をされても松下を嫌いにならないし信用できるのだ。だって松下は嘘をつかないから。



「…ぜったいだよ康二さん。」

「ああ。約束する。」



まだ不安が消えない顔をする駿里の頭を撫でながら松下がそう言った。そのおかげで駿里は不安と緊張が少しだけ和らいだ。しかし次の寛也の発言によりその不安は元通りになってしまう。



「その辺でいいだろ康二。駿里、お前ももう文句は無いな?」

「…ない、けど、」



駿里は寛也のその言葉にそう返した。確かに文句はない。自分の口で言ったことには変わりないし寛也らが何を言ってもやめてくれないことは分かっているから。だけど…何度言われても嫌なものは嫌で…それでもそれを口にしたらきっと寛也らを怒らせてしまうから駿里は言えないのだ。そんな駿里に松下は再び声をかける。



「諦めろ駿里。それに長引かせたら長引かせるだけ辛くなるのはお前だぞ?」

「…………っ。」



松下が言った辛くなるというのは寛也の忍耐が限界を迎えたその時志方らも加わってくる…松下はそれを言っているのだろう。だから駿里は黙り込んでしまう。自らの口でやりますと言えるような内容では無いから。でも拒否ることも出来ない。そのため黙り込むしかなかったのだ。そんな駿里を催促するように寛也が急かしてきた。



「どうするのかさっさと決めろ駿里。こいつらもいれてやるか?」

「…やだ。」



当然だ。みんなに擽られるのは嫌だ。それに擽られるだけでは済まなくなる未来は容易に想像できる。だから腹を括るしか駿里には選択肢がないんだ。それでも嫌だった。そんな駿里をみて寛也が駿里の顔をグイッと上にあげた。



「な、なに…?」

「何じゃねぇよ。いい加減腹をくくれ…って言いたいとこだが…。」



寛也がそこまで言うと言葉を詰まらせたように止まった。駿里はそこでとんでもない嫌な予感に襲われる。それはただの勘だけどきっと当たっているに違いない。そう駿里が確信してしまうほど今の寛也は悪い顔をしていたのだ。

そして案の定…。



「これ以上待てねぇから始めんぞ康二。」

「はい。」

「え、まっ、まってっ!」



駿里の返事は聞かない。聞く必要が無い。待てないと言わんばかりに寛也はそう言ってきた。しかも松下はそれに賛同するように返事をした。それには本気で焦る駿里。だが2人はもう止まってくれないようだった。



「待たねぇって。ほら、口閉じとけ駿里。笑ったら地獄だぞ。」

「…っ!!」



松下にそう言われ駿里は思い出した。笑ったら駄目なんだ…と。志方も加わり島袋も加わってくる。きっと圷も止めてくれないだろう。その地獄だけは避けたかった駿里は慌てて自分の口を手で塞ぐ。その駿里をみて寛也はさらに悪い笑みを浮かべる。



「いい子じゃねぇか駿里。物分りの良い奴は好きだぜ。」

「じゃあ始めましょうか組長。」

「ああ。志方、お前の準備はいいか?時計みてお前が合図しろ。」

「はーい。」



志方はそう返事をすると時計を見始めた。駿里の心拍数がどんどん上がっていく。だってそれはいつ来るか分からないから。志方が合図しないと始まらないけどその志方の合図がいつ来るのか駿里には分からなかったのだ。だから駿里は全身に緊張が走った。そして…。



「じゃあ、スタートで。」

「いや、ぅっ………!!!!!」



志方の合図を聞いた駿里は最後の悪あがきとして寛也に訴えたがその願いを寛也が聞きいれてくれるはずもなく駿里は4本の手によっていたぶられ始めてしまった。松下には脇を擽られ寛也には脇腹を擽られる。それも容赦なく2人はくすぐってきた。序盤なのだから少しぐらい手を抜いてくれてもいいのに2人は始めっから容赦なく指を細かく動かしくすぐってきたのだ。




「ぅ…っ、いっ………ぅ!」



声を出したら誤って笑い声を出してしまいそうだった駿里は必死に口を手で抑えていた。しかしそれでもくすぐったいものはくすぐったかった。松下は容赦せず駿里の1番の弱点である脇をくすぐり続けてくる。しかも駿里がくすぐりに慣れないようにちょくちょく擽り方を変えてくるのだ。だから駿里は余計に苦しかった。



「可愛い奴だな。その顔たまんねぇよ。」



松下はあわよくば駿里を抱きたいと思っている。まぁ寛也がいる今それは出来ないだろうが可能性はゼロとは言いきれない。だから駿里にどうにかして笑い声を出させようと松下は本気でくすぐっていたのだ。そんな松下をみて圷が顔を顰める。



「康二、ちょいと手加減してやれよ。」

「そんなんしたら面白くねぇだろ。」

「そうかよ…。」



あまりにも松下が容赦なく擽ってくるので駿里は逃げようともがいていた。しかし手を口から退かす訳にもいかないし寛也の膝にいる今逃げることは不可能だった。そんな苦しみにもがいている駿里をみて圷は松下にそう言ったが松下が聞く耳を持たなかったので圷は諦めた。



「こら駿里、口を抑えるな。」



寛也は脇腹をくすぐりながら違和感を覚えた。それは駿里が息をしていないということだ。それに気づいた寛也はすぐさま駿里に息をさせようとそう言った。しかし駿里は聞く耳を持たなかった。それほど必死になっていたから。そんな駿里に今度は松下が声をかける。



「おい駿里やめろって。手を口から離せ。ちゃんと息しろって。」



松下も寛也に続くようにそう言ったがやはり駿里は聞かない。首を横に振り息を我慢していた。そんな駿里をみて松下は手を止めずに島袋を見た。



「島袋、お前駿里の手抑えとけ。」



このままだと駿里は酸欠になる。それを恐れた松下が島袋にそう言った。



「おうよ。」

「ふ………っ、ぅ、く゛っ!!」



島袋に手を無理やり口から剥がされてしまった駿里。そのおかげで声が漏れ始めてしまった。そして悪いことは重なるようにで先程よりも擽ったさが増してきている気がした。寛也にも容赦なく脇腹を揉まれ松下には指を細かく脇の上で転がされる。




「い゛っ、ふ………ぅっ、う!」



駿里はあまりの擽ったさに苦痛すら感じていた。そして笑い声が出そうになる。我慢できない。まずいまずい。このままじゃ最悪の事態になる。けどくすぐったい。暴れても逃げられない。どうしよう…と駿里が必死にもがいていると…。



「こら駿里、顔上げろ。」



と言って松下が駿里の口を鷲掴みしてくれた。そのおかげで駿里はギリギリのところで笑い声を表に出さずに済んだ。松下に口が塞がれたからだ。きっと松下はそれを狙って駿里の口を塞ぐように顔を鷲掴みにしてくれたのだろう。駿里が本気で限界を迎えていることを察したから。あれほど松下は駿里を抱きたい一心でくすぐっていたのに急にそんなことをしてきた。やっぱり松下は優しい。松下は駿里が可愛いくて仕方が無いし抱きたい…そう思っているけどちゃんと駿里のことを見てくれているから。そんな松下の優しさのおかげで危機一髪難を逃れた駿里に志方はカウントダウンをし始めた。



「駿里。あと10秒だぞ。頑張れ頑張れ。」

「ふ゛っ…ぅ、!!」



あと10秒という志方の言葉を聞いたからであろうか。寛也も松下も先程よりも激しくくすぐってきた。だが松下のおかげで駿里は今も尚笑い声を出さずに済んでいる。そのおかげもあってかその10秒は一瞬にして終わることが出来た。



「終わりです組長。ラストの10秒終わりましたよ。」



志方のその言葉と共に寛也も松下も手を止めてくれた。やっとだ。やっと終わった。こんなに時間が長く感じたことはなかったと思うほど駿里には地獄の時間だった。



「っ、はぁ…っ、ぅ、きつ、ぃ…」



解放されても尚駿里は苦しんでいた。軽い酸欠になっていたのかもしれない。そんな駿里の頭を松下が撫でてきた。寛也も同様に駿里を優しく撫でてくれる。軽い酸欠になっている駿里を落ち着かせようとしているのだ。



「偉いじゃねぇか駿里。我慢できると思わなかったぞ俺は。」

「そうですね組長。俺もそう思いました。正直こいつこの顔もっと見たいところですがまぁ限界そうなんで解放してやりましょ。よく頑張ったな駿里。」



松下はそういうことで遠回しにくすぐりは終了と言ってくれた。やっと解放されこれからもくすぐられない。それを知った駿里は心から安心した。そしてパーティが楽しみになった。なのに…駿里は何故か猛烈な睡魔に襲われた。これまで緊張がずっと続いておりそれがやっと終わった。だからかもしれない。そしてその睡魔に駿里は勝つことが出来そうになかった。



「ねむ、たぃ…。」

「は?今から森廣さん達も来てパーティすんだろ?寝てどうすんだよ馬鹿。」



頭をカクカクとさせ眠そうにしている駿里をみて松下がそう言ってきた。あれほどパーティを楽しみにしていたのだ。ここで寝てしまえば日付を越してしまう恐れがある。そしたら当日ではなくなってしまうでは無いか。そう思った松下が駿里に声をかけたが駿里はやはり眠さに勝てない様子だった。



「ねむい……ねむっ、ぃ。」



そういう駿里をみて寛也も困り顔だ。こんなに眠そうにしている駿里を起こしたくない気持ちがあるのだろう。そしてそれは松下も島袋も志方も同じ。だがここで寝かせてしまえば後から後悔するのは駿里だ。だから松下は駿里を起こそうとしたが圷がそれを止めた。



「寝かせてやれ康二。森廣さんたちが来たら起こそう。それでいいですよね組長。」

「…そうだな。頑張ったことだし寝てろ駿里。ちゃんと後で起こしてやるから。」

「…うん。」



寛也の後から起こしてやるという言葉に安心した駿里は目を閉じた。そして一瞬にして寛也の膝の上で眠ってしまった。その駿里をみて松下は思わず笑った。



「はは、まじで寝てやんの。」

「だな。可愛いなこいつ。」

「おい志方、もう手は出すなよ。可愛いからって駿里は寝てんだからよ。」

「うるせぇな圷。分かってるよ。」

「おいお前ら喧嘩する暇ねぇぞ。駿里が寝てる間に全部準備を済ませとけ。」

「「「…は、はい。」」」

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