極道の密にされる健気少年

安達

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創始

149話 異変

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「名前駿里だっけ?」

「洸(こう)はそう言ってたな。連れてきた時にでも名前聞いたんじゃないの?」

「駿里、いい名前だね。愛着湧くよ。」


男は止まらない涙を拭いながら駿里を見つめていた。


「最後まで抵抗してんのも可愛いよな。しかも泣きながらね。こんなに興奮するシチュエーション自ら作ってくれるなんてよっぽど抱いてほしんだね。」


駿里は足を踏み入れ歩くことを拒否していた。しかし、相手は駿里よりもがたいのいい男達。それに4人もいる。勝てるはずもなく嘲笑われていた。


「お前ら帰るまで我慢できるか?」


男が足を止めて駿里の顔を掴み、他の奴らにも見えるように上を向かせた。


「こんな顔見せられちゃあ出来ねぇよな。」

「もうすぐアジトじゃねぇかよ。歩こうぜ。」


そういった男は数十メートル歩けばアジトに着くであろう距離になって駿里を襲おうとする仲間を見て止めた。この男は常に計算をして危ないことがありそうなことは絶対にしない性格だ。


「そう言ってるけどさ、響(ひびき)は我慢できるの?俺は出来ないよ。」

「俺も出来ねぇけど、ここでしたら誰かに声聞かれるかもしれねぇだろうが。」


響はできるだけ警戒をしておきたいため、必死に性欲を抑えながらそう言った。


「こんな薄暗い所に来るやつなんて居ないよ。どうする?俺らはここでするけど、帰りたいなら先に帰ってて。」

「やるに決まってんだろ。仲間はずれにすんなよ。」


響はやりたくなくてそういった訳では無いので直ぐに参加した。


「うぅ、やめて、くださぃっ、…ぅ、やだっ、」

「はーい、邪魔なものは脱ごうね。」

「容赦ねぇな伊吹はよ、そういう所好きだぜ。」

「どうも。」


見た目はとても優しい。だが本来の性格は違う。伊吹は演技力を活かしてたくさんの少年を騙したのだ。いつもは少年を連れてくるのは伊吹の役割だったが今回は違った。役割を洸に取られ少しイラついていたが駿里が格別に可愛いのでそんな怒りなんて飛び去っていた。


「やだぁあっ、…っはなして、やめ、!」


駿里は着ていたものを全て脱がされその場に服を捨てられた。そして伊吹に後ろから手を回され拘束されてしまう。ほかの4人は駿里の前に立ち、待ちきれないと言わんばかりに陰茎をギンギンに勃たせていた。


「可愛い。」

「もう嫌だってなるほど可愛がってやるからな。」


駿里に10本の手が近づいてきた。ペニスを掴まれ、後孔に指を挿れられ全身を触られ始めた。















*********


「一応確認するか。」


志方は心配になり、まだ開店時間ではないが駿里の様子を確認しようとした。


「パスワード入れねぇと。」


外部への情報が漏れないためパスワードを入れないと映像が見れないようになっている。それは寛也が設定したのだ。まだこの組に入って浅い奴などは信頼性が低いためそうしたのだ。だが、この部屋には幹部と寛也しか入れないので安心といえば安心だ。それでも寛也は念の為にそうしたのだ。


「志方いるか?」

「はい。こちらに。」


志方がパスワードを入れ終わりエンターキーをおそうとしたその時寛也が話しかけて来た。


「今忙しいか?」

「いえ、自分の仕事は終わったので忙しくないです。」


寛也が外に行く格好をしていたので志方は直ぐにこれから外へ行くのだとわかった。寛也のお供は久しぶりだった為志方は嬉しくなる。


「気を使わなくていい、パソコンで何かしようとしてたか?」


寛也が志方の机の上にある開いたパソコンを見てそう言った。


「これは暇だったので駿里の様子を見ようとしてたんです。だから本当に忙しくないですよ。」


志方は寛也にパソコンの画面を見せた。1度も寛也には嘘をついたことがないが嘘でないと証明するために。実際に目で見た方が信憑性があるからだ。


「良かった。これから外の仕事に行くから付き添いを頼む。森廣が居なくてな。」

「承知しました。」


志方は急いでディスクを片付け上着を持ち寛也の後を追った。いつも寛也の荷物は付き添いの誰かが持つのだか志方に言ったのが急だったため寛也は自分で荷物を持っていた。


「組長、お持ちします。」


志方は寛也が荷物を持っていることに気がつくと直ぐに手を差し伸べた。


「大丈夫だ。お前も荷物あんだろ。あと駿里の店が開店する前には戻るから安心しろ。」

「はい。お気遣いありがとうございます。」

「行くぞ。」


志方が助手席のドアを開け、寛也が乗ったのを確認すると自らも運転席に乗り込んだ。




その頃事務所に残っていた松下は圷と話していた。


「なぁ圷。俺さ駿里に告ろうと思ってんだけどさ、お前はどう思う?」

「やめとけ。結果は見えてるだろうが。」


こう見えて慎重な性格な圷は松下が傷つくとわかっていた為止めた。


「そうだけどさ、俺一生駿里にこの気持ちが伝わらねぇの嫌なんだよ。振られるのわかってっから辛いけどな。」

「ならお前がしたいようにすればいい。康二らしくねぇだろ。当たって砕けてこい。俺が慰めてやるから。」


圷は告白しろ、と言うからには最後までみとどけたいのだ。その後酒でも一緒に飲んで泣いて松下のことをスッキリさせてあげようとした。


「いいこと言ってくれんじゃん。」


こういう時松下にとって圷ほど頼りになる存在はない。自分のことを慰めてずっと寄り添ってくれる存在なんて数少ないからだ。


「だろ。つかさ、さっきから気になってたんだけどこれ志方のパソコンだよな?」


圷は志方のディスクを指さしながらそう言った。


「ああ、そうだ。何が気になってんだよ。」

「これパスワード入れてっけどまだエンター押してねぇじゃん。すげぇ気になんだけど。」

「たしかに、見ようぜ。」


松下が志方のディスクに座ってパソコンを弄ろうとした。圷も後ろで興味津々に見ていた。


「圷、押すぞ。」

「さっさとしろ。焦らすな。」


圷が松下の背中を早くしろ、と言いながらシバいた。


「お前ら何してる。」


松下がエンターキーをおそうと少し凹ました時、後ろから居ないはずの森廣の声がした。その瞬間松下と圷は肩をビクン、と跳ねさせるほど驚いた。


「森廣さん!、いつ帰ってこられたんですか?」


松下が驚きのあまり声を裏返した。それを聞いて森廣の顔が緩んだ。相当面白かったようだ。


「お前らが志方の机で楽しそうに話してる時からだな。」

「すみません。ほんの出来心です。」


今度は圷が背中を小さくしながらそう言った。森廣は昔のことを思い出した。こんなふうに2人を叱ったのは久しぶりの事だったから。


「たく、お前らは人のもん勝手に触んなって昔から言ってるだろうが。」

「「すみません…。」」


声を揃えてそういったのを見て森廣は優しく笑った。2人の姿はまるで小学生が悪いことをして叱られしょげているような感じだった。


「反省したならいい。仕事に戻れ。休憩も挟みながらな。」

「「はい。」」


そそくさと自分のディスクに戻ろうとしている2人を見て森廣も自身のオフィス部屋へと行こうとしたが、先程のパソコンが気になり松下の方を向いた。


「おい松下待て。」

「どうされましたか?」

「駿里のバイトは17時からじゃねぇのか?」


よく考えれば今はまだその時刻になってもいなかった。なんでこの時刻から行っているのか直ぐに松下に聞いた。


「今日は昼からだったみたいですよ。」

「そうなのか、お前仕事終わってんだよな?」

「はい、今日の分は終わらせました。」

「なら志方の代わりに映像チェックを頼む。」

「お任せ下さい。」


森廣からそう指示をされて松下は嬉しそうに志方のパソコンを持って自分の机に座った。そして映った映像を見て松下は首を傾げた。なぜならどの部屋にも駿里がいなかったから。


「どうした?」


松下とディスクが隣の圷にそう言われた。松下が不思議そうに考え込んでいたので何かあったのでは、と聞いたのだ。


「駿里がどこにもいねぇんだよ。しかもほかのバイトの奴らもいねぇんだよな。」

「それなら買い出しじゃねぇの?3人同時にいなくなるってことはそうだろ。」


圷は松下から映像を見ろと言われたので見てみた。そこには松下の言う通り店長の姿しかなかった。しかし、早めに行くということは仕込みでもするのだろうと思っていた圷はその材料を買いに行ったのでは、と考えた。


「まぁそうだよな。何かあったのかと思って心配になったんだよ。」

「考えすぎだ。」

「だよな。」


圷にそう言われたが、松下は不安が消えなかった。だから納得が行くまで映像を見続けることにした。駿里にまた過保護と言われてしまうだろうがそれならそれでいい。何かあってからでは遅いから。
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