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嘘
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「これは…渚さんを追いかけようとして暴れたから。」
と、俺は渚さんに嘘をついた。申し訳ないと思ってる。渚さんには良くしてもらったから。けど嘘をつかなきゃいけない。ここを出るために。
「そうだったのか誠也。すまなかったな。」
「ううん、大丈夫だ。それより星秀さんは…?」
さっき俺の事を抱いて帰って行った游さんは星秀が生きてると言っていた。けど俺はそれを完全に信じていた訳では無い。だからもう1人の意見が聞きたかったんだ。
「ああ、その事なんだがな…星秀はやっぱり生きていた。その証拠を組長が掴んだらしい。だから後は組長に任せる。」
「…そうだったのか。」
じゃあやっぱりあいつは信用していいのか?俺はヤクザの世界は分かんねぇから信用とかそんなすぐにしちゃダメなのは分かってる。けど確実にあいつは治よりもいいやつだった。
「誠也?どうした?」
「…あ、いや、なんでもない。」
「そうか。とりあえず手錠取ろうな。」
そう言って渚さんは俺の手に着いていた手錠を外してくれた。だから俺はやっと手が解放され背伸びが出来た。ずっと腕を上に上げていたからつりそうだったんだよ。
「ありがとう渚さん。」
「いやいや、お前が礼をいうのはおかしいだろ。これを着けたのは俺なんだから。すまなかった。」
「いいんだって。あんな事言われて気が動転しない方がおかしい。帰ってきてくれてありがとう渚さん。」
「ああ。」
渚さんはそう言うと俺の事を抱きしめてきた。そんでその後渚さんは俺を後ろから抱きしめるようにしてベットに座った。
「なぁ誠也。留守番の間は何も無かったか?」
「うん。何も無かった。」
「本当に?」
「…なにもなかったぞ。」
渚さんは明らかに俺の事を疑っていた。どうしてだ…?俺は変な事を言ってしまっただろうか。
「そうか。」
「…渚さん、なんでそんなことを聞くんだ?」
俺は恐る恐る渚さんにそう聞いた。游さんに言われたから。渚さん達には必ず内緒にして欲しいと。そうしないと俺はここから出ることが出来ない。それは嫌だったから聞くのは怖かったけど俺は渚さんにそう聞いた。
「それがな、お前が留守番してる間の時間、この屋敷についている監視カメラのデータが全部無くなってたんだよ。」
「…え?」
…まぁそうだよな。ヤクザだもんなあいつも。そういうところは抜かりなくやるはずだ。けどどうやって誤魔化す…?いや誤魔化す必要は無いか。俺は何も無かった。そう言えばいいんだから。
「それが意味すんのは一つだ。外部から誰かが侵入した。だからな、俺は誠也が攫われたと考えた。けど焦ってここに帰ってくりゃお前は無事。他の大切な情報も盗まれてなかったんだ。」
「…ならよかった。」
と、俺は言ったものの焦っていた。だって渚さん…俺の事を疑ってる。その証拠に俺の事を抱きしめているこの手に力が入ってきてんだから。
「良かった?いや良くねぇんだよ誠也。」
「…情報盗まれてなかったんだろ?なら良かったんじゃないのか?」
「まぁそこに関しては良かったかもな。でも疑問が生まれるんだ。そいつはなんのために監視カメラを止めたのかって事だ。お前はどう思う誠也。」
普段渚さんは仕事の話をしようとしない。俺が聞かない限りはな。俺が聞いたとしても話してくれないことがほとんどだ。それは多分渚さんが俺を信用してないから。俺はここに来て数日程度しか経っていない。だからそれは当たり前だった。なのにその渚さんがこうして俺にこんな話をしてくる。かなりまずい…。この渚さんを前にして上手く嘘がつけるか…俺は不安で仕方がなかった。
「そんなの…わかんねぇよ。俺はヤクザじゃねぇし。」
「そうだよな。けどお前さ、なんで監視カメラを止めたのがヤクザって知ってんだ?」
まずい…。もっと考えて話せばよかった。このままだと游さんがここに来たことがバレちまう。考えろ…考えるんだ俺…。
「適当だ。ここに一般人が来るわけねぇじゃん。渚さんみたいに怖い顔をしたヤクザがうようよしてんのにさ。」
「まぁそれもそうだな。」
「だろ?」
俺は渚さんに抱きしめられてっから少しでも動揺したら直ぐにバレちまう。だから今全神経を注いでいた。一つでも間違えればきっと渚さんは見逃してくれない。話の話題を…早く変えねぇと。
「てか渚さん。俺お腹すいた。」
「そうか。何か持ってきてやる。何がいい?」
「牛丼食べたい。」
「じゃあ店に電話してくるか。ちょっとだけ待っててくれるか?」
「当たり前だ。ありがとう渚さん。」
「ああ。けど電話する前にもう1つ確認してもいいか誠也。」
「なんだ?」
「一人で留守番してたはずのお前の乳首…なんでこんなに腫れてんだ?」
と、俺は渚さんに嘘をついた。申し訳ないと思ってる。渚さんには良くしてもらったから。けど嘘をつかなきゃいけない。ここを出るために。
「そうだったのか誠也。すまなかったな。」
「ううん、大丈夫だ。それより星秀さんは…?」
さっき俺の事を抱いて帰って行った游さんは星秀が生きてると言っていた。けど俺はそれを完全に信じていた訳では無い。だからもう1人の意見が聞きたかったんだ。
「ああ、その事なんだがな…星秀はやっぱり生きていた。その証拠を組長が掴んだらしい。だから後は組長に任せる。」
「…そうだったのか。」
じゃあやっぱりあいつは信用していいのか?俺はヤクザの世界は分かんねぇから信用とかそんなすぐにしちゃダメなのは分かってる。けど確実にあいつは治よりもいいやつだった。
「誠也?どうした?」
「…あ、いや、なんでもない。」
「そうか。とりあえず手錠取ろうな。」
そう言って渚さんは俺の手に着いていた手錠を外してくれた。だから俺はやっと手が解放され背伸びが出来た。ずっと腕を上に上げていたからつりそうだったんだよ。
「ありがとう渚さん。」
「いやいや、お前が礼をいうのはおかしいだろ。これを着けたのは俺なんだから。すまなかった。」
「いいんだって。あんな事言われて気が動転しない方がおかしい。帰ってきてくれてありがとう渚さん。」
「ああ。」
渚さんはそう言うと俺の事を抱きしめてきた。そんでその後渚さんは俺を後ろから抱きしめるようにしてベットに座った。
「なぁ誠也。留守番の間は何も無かったか?」
「うん。何も無かった。」
「本当に?」
「…なにもなかったぞ。」
渚さんは明らかに俺の事を疑っていた。どうしてだ…?俺は変な事を言ってしまっただろうか。
「そうか。」
「…渚さん、なんでそんなことを聞くんだ?」
俺は恐る恐る渚さんにそう聞いた。游さんに言われたから。渚さん達には必ず内緒にして欲しいと。そうしないと俺はここから出ることが出来ない。それは嫌だったから聞くのは怖かったけど俺は渚さんにそう聞いた。
「それがな、お前が留守番してる間の時間、この屋敷についている監視カメラのデータが全部無くなってたんだよ。」
「…え?」
…まぁそうだよな。ヤクザだもんなあいつも。そういうところは抜かりなくやるはずだ。けどどうやって誤魔化す…?いや誤魔化す必要は無いか。俺は何も無かった。そう言えばいいんだから。
「それが意味すんのは一つだ。外部から誰かが侵入した。だからな、俺は誠也が攫われたと考えた。けど焦ってここに帰ってくりゃお前は無事。他の大切な情報も盗まれてなかったんだ。」
「…ならよかった。」
と、俺は言ったものの焦っていた。だって渚さん…俺の事を疑ってる。その証拠に俺の事を抱きしめているこの手に力が入ってきてんだから。
「良かった?いや良くねぇんだよ誠也。」
「…情報盗まれてなかったんだろ?なら良かったんじゃないのか?」
「まぁそこに関しては良かったかもな。でも疑問が生まれるんだ。そいつはなんのために監視カメラを止めたのかって事だ。お前はどう思う誠也。」
普段渚さんは仕事の話をしようとしない。俺が聞かない限りはな。俺が聞いたとしても話してくれないことがほとんどだ。それは多分渚さんが俺を信用してないから。俺はここに来て数日程度しか経っていない。だからそれは当たり前だった。なのにその渚さんがこうして俺にこんな話をしてくる。かなりまずい…。この渚さんを前にして上手く嘘がつけるか…俺は不安で仕方がなかった。
「そんなの…わかんねぇよ。俺はヤクザじゃねぇし。」
「そうだよな。けどお前さ、なんで監視カメラを止めたのがヤクザって知ってんだ?」
まずい…。もっと考えて話せばよかった。このままだと游さんがここに来たことがバレちまう。考えろ…考えるんだ俺…。
「適当だ。ここに一般人が来るわけねぇじゃん。渚さんみたいに怖い顔をしたヤクザがうようよしてんのにさ。」
「まぁそれもそうだな。」
「だろ?」
俺は渚さんに抱きしめられてっから少しでも動揺したら直ぐにバレちまう。だから今全神経を注いでいた。一つでも間違えればきっと渚さんは見逃してくれない。話の話題を…早く変えねぇと。
「てか渚さん。俺お腹すいた。」
「そうか。何か持ってきてやる。何がいい?」
「牛丼食べたい。」
「じゃあ店に電話してくるか。ちょっとだけ待っててくれるか?」
「当たり前だ。ありがとう渚さん。」
「ああ。けど電話する前にもう1つ確認してもいいか誠也。」
「なんだ?」
「一人で留守番してたはずのお前の乳首…なんでこんなに腫れてんだ?」
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