天魂〜ふたつの魂〜

𦚰阪 リナ

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第一章 日出る者と闇落とす者

第五話 蒼流剣

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「友ができてよかったな」
友ができたことを話すと、妹の僑温は自分のことのように喜んでくれた。
「うん。本当にいい奴なんだ」
鳳珠が嬉しそうに言うと、僑温は静かに笑らった。
「さっきも聞いたぞ?」
「嬉しいんだ。友ができて」
「兄上。そのことも大事だと思うが、兄上は青家次期当主で、あの剣を引き継がねばならない。今からあの剣を取りに行こう。父上から許可はいただいている」
友ができたことに、いつまでも浮かれてはいられない。なぜなら鳳珠は青家次期当主で、青家の秘宝ともいわれる、蒼流剣そうりゅうけんを使えこなせるようにならなればいけないのだ。
「剣には己の霊力を入れる。剣との相性が良ければ、すぐに使いこなせるようになるだろう」
「もしそうだとしたら、私たちの先祖はあの剣に困らされなかったのでは?」
鳳珠ははっとした。普通の剣のように、すぐに使いこなせることができたら、自分の父や祖父は蒼流剣に傷つけられずに済んだはず。
「では行くぞ」
僑温に手を引っ張られ、蒼流剣が眠っている洞窟に向かった。


(噂でしか聞いたことがなかったが、蒼流剣が眠っているという洞窟は本当にあるんだな…)
鳳珠は洞窟の周りをきょろきょろと見ている。
「兄上、こっちだ」
「これが…蒼流剣…?」
洞窟の真ん中に、蒼流剣らしき剣が石で作られている台の上に置かれていた。
「すごい…!」
蒼流剣はつかつばの部分が濃い青色だ。きっと、青家を想像して作られたのだろう。
「抜いてみて」
僑温にそう言われ、鳳珠が剣をさやから抜くと、刀身とうしんが柄や鍔とほとんど同じ色に光った。
「兄上は、蒼流剣に選ばれたみたいだ」
「剣に選ばれた?」
だいぶ昔だが、父にこのようなこを聞いたことがある。鳳珠はそのときの父の声を必死に思い出す。
ー蒼流剣は使う者を選ぶ。蒼流剣を初めて抜いた際、私は蒼流剣に殺されかけた。自分の霊力をなんとか入れ、蒼流剣を鎮めることができたが、あの時霊力を入れなければ、私は蒼流剣に殺されていたかもしれない。
五千年に一度の天才といわれた父が、剣に殺されかけたのだ。このことを思い出した鳳珠は、自分が使いこなせるか不安になった。
「思い出したようだな、兄上」
「ああ、思い出した。仙家大会までに必ず使いこなせるようにする」
仙家大会とは、各仙家の当主が自分を含め、六人の自分の師弟や兄弟を選び、仙家同士で腕を競う大会だ。しかし、相手の妨害や過度な争いをしていまうと、その者が失格となってしまう。失格となった者は、即会場から追い出され、二度とこの大会に出場することができなくなってしまう、という厳しい規則がある。
「仙家大会まであと二ヶ月。何も起きなければいいが…」
仙家大会が近づいてくると頻繁に事件が起こる。それは殺人だったり、自分の武器が盗まれたり、色々だ。その色々なことが起こるので、この次期はびょうの参拝客がどうしても増えてしまう。
「当主がいないの今の青家は、とんど無視されている。となると、今回の大会で注目されるのは白家だろうか」
なってほしくないが、恐らくそうなってしまうだろう。
「兄上の言う通り、そうなるだろうな」
ふたりの会話は現実となり、白家の人々は徐々に命を狙われていった。




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