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5*完結

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 その日は突然やって来た。
 仕事が進んで、寝る時間だと遷都に告げられて仕事を終えた。この調子なら余裕を持って仕上げられそうだ。明日は一日休みにしよう。

 遷都とデートする?デートなんてそんなに行ったことないけど、遷都は知っていそうだ。成也は明日一日を充実した一日にしたいと思いながら眠りについた。





 性器が生暖かい柔らかな感触に包まれて気持ちいい。
 気持ちいい?
 成也は目を上げると股間に頭を埋める男がいた。

「起きた?朝勃ちしてたら、慰めてた」
 遷都の言うように朝勃ちしていたのだろう。じゃなきゃもっと早く気付いてたはずだ。こんな臨戦態勢になるまで気付かないなんてことはないと思う。

「ご奉仕すんね。俺、口でするの上手いらしいから一回これで出してよ」
 一旦口から出して、喋ってから口淫を再開した遷都の慣れた舌使い。喉の奥まで突っ込んで、喉が締まる感覚に性器が膨らむ。

 気を良くした遷都が口で入らない部分を手で上下しながら口に出し入れを繰り返した。

「は、は、で、でるっ!!」

 遷都の頭を掴んでいた成也は離れさせようとしたが、力が入って無くて遷都の最後の吸い込みと喉奥のきゅうう、という締め付けに呆気なく精液を喉に流し込んでしまう。

「馬鹿!出せよ。飲むなって。まずいだろ」
「んん~いいじゃん。俺の初めてだもん。飲んだのなるが初めてだよ。だから俺の初めても貰ってくれる?」

 明日を休みにするとは言ったかもしれない。だけどまさかこういう展開になるとは思っていなかった。そもそも抱いていいと言うのも、それぐらいの気持ちだよって意味で実際には抱かせてくれないと思っていた成也は面食らう。

「抱いてくれない?」
「いいのか?最初は痛いかもしれないぞ」
「望むとこ!大丈夫。自分でもほぐしてみたから」

 まずは尻の調子を見ようと、四つん這いにさせて後孔にローションを垂らす。遷都が持っていた媚薬入りの少し強いローションだ。ご丁寧に用意してくれていた。

「ん、何か、熱い。ジンジンする」

 即効性の媚薬なので初心者に使うのは向いている。一本の指をゆっくり出し入れすると遷都が快感を感じているらしく、気持ちよさそうな顔をしている。

 前立腺を探る指の動きにも喘ぎながら反応する可愛い遷都。余裕が出来てきたので二本目を追加したらより前立腺を探しやすくなった。自分はこの辺り、と男が自然と勃起する場所を発見した。

「あっああ!!!ひゃわ、なに?」
「前立腺。気持ちいいだろ?」
「や、や、あんま、強くしちゃ、で、でちゃ」

 とろり、とろり。
 遷都の鈴口からは蜜が溢れていた。指は三本入ったので入れてみるかと問いかける。

「前が、いい。顔みたい」
「体制キツくなるけどいい?」
「うん。せっかくなら、顔みたいじゃん」

 そう言った遷都をひっくり返して片足を持ち上げる。

「両足じゃないの?」
「だって、お前身体硬いだろ」

 顔を見たいと言ったくせに目をぎゅうっと瞑ってしまってる遷都。緊張しているのだろう。

「入れるよ」

 遷都が用意した薄いと有名なコンドームを装着してからゆっくり入れた。

「どう?」
「ん、なんか、窮屈?」
「なんだ、それ」

 成也が動き出すと余裕のあった遷都の顔から快感に溺れる顔に変わった。

「ん、あん、あぅ、いい?」
「んは、すげー、遷都の中、さいこー」
「へへ、っんあああ!!」

 前立腺を突いて、笑顔も消えて気持ちよくて気持ちよくて、切ないぐらいこの一瞬の行為がもっとしていたいのに、限界まですぐそこに来ていた。

「もっとぉ、いいぃ!」
 乱れる遷都に煽られて腰を振る速度が速くなる成也はこんな激しいセックスをしたのは初めてだと気付く。一心不乱に遷都と一緒に果てたい。その一心だった。

「らめぇ。あん、ん、んふぅ!なるぅ、でる、でちゃうぅ」
 先に出した遷都の締め付けにより耐えられなかった成也も腰を擦り付けるようにして吐き出した。

 成也は遷都の中から出て、コンドームを縛って捨てる。さすがに疲れた成也はベッドに横になり、休憩する。遷都も荒い呼吸とまだ初めての経験に浸っているようだ。

「シャワー浴びてきたら?」
「今は無理。ってか、一緒に入ろ」
 いつもなら狭いのに嫌だと言うが、今日は遷都の可愛いおねだりを聞いてもいいかなと成也は思った。

「一緒に入るなら湯船いれよう」
「え!入ってくれるの?」
「たまにはな。いいんじゃないの」

 疲れて頭のネジが飛んでいるだけかもしれないが、それでも恋人の初めてを貰ったのだ。少しぐらいサービスしても罰は当たらないだろう。

 成也が明日は筋肉痛だと思いながら湯船に湯を入れて、遷都の好きな入浴剤を入れた。



□□□



「なる~、ご飯~」
「ある物しかないけど」
「そう言っていつもちゃんとしたもの作ってくれるじゃん」

 一ヶ月を過ぎても遷都は成也の部屋にいた。
 ヒモになることを選んだ。わけではなく、家事代行会社に継続を依頼して、成也の家事代行として働いている。

 恋人だった二人はあっさり恋人を解消して、他に恋人を作って、セフレとして暮らしている。恋人の愚痴だったり、遷都は女役をやるときは成也と決めているので、したいなと思ったら成也に奉仕してその気になってもらってから行為をする。

 成也は最初から上手くいかなくなることはわかっていた。だから今の関係が一番気楽でお互い充実している。恋人に戻らないとは言い切れないけど、現状で満足している二人にその選択肢はない。恋人でなくても関係は変わらないのだから。



 宮崎の「ね、僕の言ったとおりでしょ」なんて自慢気な様子が癪に触るところ。




完結
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