年下クンと始める初恋

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　デートと言われ、昨晩悩みに悩んだ末、茉歩は一番気に入っている小花柄のネイビーのワンピースを選んだ。かっちりとし過ぎていないがカジュアル過ぎない、綺麗目の透け感のある素材が気に入っている。
　通常、花柄はどうしても子供っぽくなりがちだが、小さい花ならばそこまででもない。ウエストマークにブラウンのベルトと、コットンパールのイヤリングを付けて、茶色がかった髪はハーフアップにする。その結び目をベルベットのリボンが付いたヘアクリップで隠すと、ブラウンのカバンを手に部屋を出た。

「葉ちゃん、ごめんね、待たせちゃって」
「いや、大丈夫」

　リビングで母が出したらしいコーヒーを飲んでいた葉一が顔を上げる。昨日はスーツを着ていたが、今日はラフな格好だ。長袖のオフホワイトのTシャツに紺のジャケットを合わせ、下は黒っぽいデニムのズボン。髪も今日はただ遊ばせているだけ。元々猫っ毛な彼の髪は、触ると気持ちよさそうなふわふわ具合だ。

「出ようか」
「うん、でもどこに行くの？」
「着いてからのお楽しみ」

　先立って出て行く葉一の後を追うと、近くの駐車場に黒の軽自動車が止まっていた。助手席のドアを開けて待つ葉一に促され、席に着くが何となく落ち着かない。もう何年も運転してないペーパードライバーだが、人の車の助手席にももう何年も乗ってない気がする。
　行き先を言わない葉一に訝りながら、彼の運転に身を任せ、茉歩の久しぶりのデートが始まった。