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ミニオーケストラ誕生

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その時、アナウンスが聞こえてきた。
 
 「お食事に、ご歓談に、御寛ぎの所を失礼します。
10分後には、ドンを含め、私設オーケストラ団の演奏を行います。
ホールにて行いますので、興味のある方は、お越しください」


皆が言い交してる。
嬉しそうに『御』も呟いてる。
 「ほう……。楽しみだな」

 「あれ?どこに……サト」

 
続いて、アナウンスの声が聞こえてくる。
 「飛び入り、大歓迎です。それでは、日本からのゲスト。サトル様です。バイオリンを弾いてくださるそうです」

 「えっ、サトルさん?ど、どうしましょう……」
ふぅっ……、と溜息吐いた『御』は優介にこう返した。
 「あいつは目立ちたがり屋だからな」


サトルは、ソロで3曲を奏でた。
 「サンキュ」
と言って、拍手をしてくれた人に投げキスを返した。

それを見ていたユタカは呟いていた。
さすが、スーザンの息子。目立ちたがり屋め……。

サトルは、ユタカの持っている楽器を見て驚いて首を傾げた。
フルートではなく、クラリネット?
なんでだ?



ステージ上では、エドワードが朗らかに言ってる。
 「私はね、バス仲間がいて嬉しいんだ!
タカとジュンヤと私がバスで、
ワンのチェロと、マサとユウマのヴィオラ。
ロンとヒロのバイオリンと、ユタカのフルート。
……あれ、フルートはどした、ユタカ?」

ここのところ、毎度おなじみのセリフで聞き飽きたユタカは苦笑を返す。
でも、エドは気にせずに続ける。
 「カズキのトロンボーンに、トモのペットに、ヨウイチのピッコロー! ロンもバイオリンだし、ヒロもバイオリン仲間が増えて嬉しいだろ」

歌う様に、軽やかに言ってくれる。

ヒロトは、そんなご機嫌エドに返した。
 「エドは、今日もご機嫌だな」
 「そりゃ、そうさっ。大好きな音楽に囲まれてるんだ」
ふふっと笑いながら、ヒロトはエドに言った。
 「今のエドの表情。あの頃と同じだ。私はね、しかめっ面のマルクより、明るく朗らかにしているエドが好きで、くっ付いていたんだよ」
 「嬉しい事を言ってくれるヒロに、ご褒美ー! 音出し時間を2分にしてあげよう」
 「ダンケ。それじゃ、アップを2分。レディ……?」

ヒロトのバイオリンがソロで10秒間、そして第二バイオリンのロンも10秒間、残り10秒間の計30秒間はバイオリンの音出しだ。
30秒後には、中低音の楽器が入ってきて60秒間を共にする。
残り30秒間には高音の楽器が入って、中低高が共にハモると、音が止んだ。


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